竹とんぼ

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緑鋭の虚無老い声の疳高に  兜太

2018-07-19 | 金子兜太鑑賞
緑鋭の虚無老い声の疳高に  兜太

    突出の鬼色曼珠沙華朽ちて  兜太





昭和52年、「旅次抄録」より。

前書きに、金子光晴死去2句、とある。
詩人金子光晴の亡くなったのは昭和50年6月30日、
79才、気管支喘息のため急死とある。
この詩人光晴さんを、兜太さんは深く敬愛している。
昭和40年には短歌結社「心の花」に
「光晴覚え」という一文を書いている。
この海程40周年で兜太さんの4巻にわたる俳句だけでなく
著作物のほとんどを網羅した全集が出版され
私も購入したので
その「光晴覚え」を今読んで、この句を揚げてみた。
多分、兜太さんが、詩人の死に俳句を寄せられたのは
光晴さんだけではないだろうか。
私も、以前にここでも話題になったので「
金子光晴詩集」白鳳社を買って読んでいた
それを今読み直している。
兜太さんが、
光晴の詩が好きだと言われるすべてが納得できます。
光晴さんの詩は、兜太さんの俳句にもっている体質に
通うものがとても多いと思います。
ところで、掲句だが、

一句目は死因となった気管支ぜん息の
声を詠んでいるのではないだろうか。
「緑鋭の虚無」とは心から敬愛する人
を失った虚しさがぎゅっと詰った表現だと思う。
「緑鋭」というのは造語だろうか。
光晴さんの苦しい声が作者の体を貫いたのであろう。

2句目は「突出の鬼色曼珠沙華」というところに光晴さんの詩、
作者の抱くイメージをここに入れているように思う。
「鬼の児の唄」が好きだ、
その鬼は光晴自身であろうと「光晴覚え」にも書かれている。
きょうは兜太さんと詩人光晴さんのことを
この鑑賞を通して知ることが出来ました。
調べながらの鑑賞なので、
足りないところがあるだろうと思います。

参照 http://www.shuu.org/newpage24.htm

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