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竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

遠蜩何もせざりし手を洗ふ  友岡子郷

2019-08-18 | 今日の季語


遠蜩何もせざりし手を洗ふ  友岡子郷

何もしてないのにどうして手を洗うのだ、可笑しいな。という意味にとると日常の無意識の動作を詠んだ句になる。でもそれは何もしてない、汚れてもいないのに手を洗ったという面白くもないオチにもなる。この句は何もしていないことを喩として詠んでいる自己否定の句だ。ほんとうに自己否定している句は少ない。自己を戯画化しているようでどこかで自分を肯定している作品もある。こんなつまらねえ俺なんかに惚れてねえで嫁に行きやがれ、なんて昔の日活映画だ。俳句を自解する人も自句肯定の人だ。意図通りの理解を強く望んでいる。何もせざりしという述懐に作者の生き方、考え方が反映している。『黙礼』(2012)所収。(今井 聖)

【蜩】 ひぐらし
◇「かなかな」
晩夏から秋にかけて、暁方や夕暮れに鳴く蝉。カナカナ、カナカナと涼しく美しい一種哀調のある声で鳴く。《蝉:夏》

例句 作者

蜩のあけくれ山の町古りぬ 太田鴻村
書に倦むや蜩鳴いて飯遅し 正岡子規
蜩のひびかふ顔の暮るるなり 飯田龍太
ひぐらしや点せば白地灯の色に 金子兜太
かなかなや何かが遠くとほくなる 中田俊也
蜩の鳴く頃井水で甕満たす 大野林火
ひぐらしのこゑのつまづく午後三時 飯田蛇笏
蜩のやみて微塵の空のこる 富沢赤黄男
母の間はいつも点して夕かなかな 中村真千子
かなかなや手熨しに畳む嬰のもの 湯橋喜美