椋鳥の朝餉に割って柿を捥ぐ 2015-10-29 | 秋 椋鳥の朝餉に割って柿を捥ぐ 最近は柿を子供も孫も喜ばない 鴉もあまり寄ってこない 木守柿というにはおびただしい 量の実がいつまでも鈴なりだ 脚立を持ち出して少し捥いだのだが 今朝は椋鳥が朝餉であった
竹の春歩数のびたる朝参り 2015-10-28 | 秋 竹の春歩数のびたる朝参り 竹の春 朝のウオーキングで紅葉し始めた樹木の背景に 青々とした竹林をみた 納得である いつもより歩数を伸ばして神社に立ち寄った 《若竹が生長し、新葉の盛りになるところから》陰暦8月の異称。 竹春 (ちくしゅん) 。《季 秋》 「おのが葉に月おぼろなり―/蕪村」
秋風に尻まるごとの逆上がり 2015-10-26 | 秋 秋風に尻まるごとの逆上がり 人影まばらな公園 少女が一人懸命に逆上がり いまひとつの勢いがほしいところで失敗を繰り返す 何度も何度も繰り返す お尻を秋風があらっている
枯蓮ひとの容に長考す 2015-10-25 | 秋 枯蓮ひとの容に長考す 蓮池の四季の移ろいは鮮やかである 春の池面の緑の葉 その葉を割って見事な大輪を咲かせる夏 次々に咲き変わる秋の風情 そして晩秋から冬 花はあとかたもなく朽ちてその茎もしおれてくる 1年は人の一生のようだ 晩秋の夕暮れ池面に映る黒い影は 痩身長躯の鉄人の長考の姿勢にみえる
満月の終電あとの貨車長き 2015-10-24 | 秋 満月の終電あとの貨車長き 今年はアウーパームーンとかで素晴らしい満月をみた 何年も前のことだが 家族旅行で奥那須温泉に行ったことがある 満月を宿からみたが空気が澄んでいて冷たい 旅館が高台にあるので東北本線のp駅がいくつも見渡せた そこに長い長い貨物列車が北へ進んでいた
木守柿戦友のやうな妻佇てり 2015-10-23 | 秋 木守柿戦友のやうな妻佇てり 現在の家に住みついて凡そ25年になる 横浜/熱海/新宿/渋谷/麻布/相模原/洞爺村/そして栃木 世帯をもってから妻とは50年の歴史がある 柿の実を毎年眺めるようになっておちついた老年夫婦になっている 子供や孫も近くに住んでいる 柿の木の下で柿を見上げている妻 まぶしい戦友の顔だ
煌めくは終あればこそ冬銀河 2015-10-21 | 秋 煌めくは終あればこそ冬銀河 秋も終章の季節となった 秋空はなんとも澄み切って美しいが 冬の空は夜が素晴らしい その煌めきに息をにむばかり 地球に届いている光は何年も以前に消失している星たちもあるそうだ だからこそ美しく寂しい
老男の口一文字秋の暮 2015-10-20 | 秋 老男の口一文字秋の暮 たけし 秋の暮 暮の秋 この季語の使い分けが面白い 今ひとつ 理解していないのだが魅力的な季語である 朝のウオーキングで行き交う馴染みの人々の面もちが季節で変化する 最近は「口を真一文字」の人が多い 何ということは無い、自分も同じだ
水澄むは蒼天映す身ごしらえ 2015-10-19 | 秋 水澄むは蒼天映す身ごしらえ たけし 朝の40分ほどのウオーキングに 季節のうつろいは鮮やかだ 今日も秋晴れで気持ちははずんだ 池の水は澄みきっていてなんとも静かだ 青い空をしっかりと受け止めている 秋の空の色をそっくり映すためには 水は澄んでなければならない
桐の実の音に急かれし終始末 2015-10-18 | 秋 桐の実の音に急かれし終始末 桐の実が風にのってその割れる音をとどける 晩秋の寂しげな感じに相応しい 高いところで乾いた音がすることだろう 桐の葉の大きな葉がゆっくりと揺らぎながら落ちるのも風情がある 秋もそろそろ終わりに近い なんとなく身の回りを急かれるように片づけたくなってくる
難病をかたりし友と温め酒 2015-10-17 | 秋 難病をかたりし友と温め酒 癌告知をうけたと友が語る 治療の事、家族の事、来し方の自省など 低い言葉でゆっくりと話す 慰めにもならない無責任な言葉を ときおりはさみながら聞いている ぬるめの癇酒を酌み交わすのが精いっぱい
声かけし妻の来ぬ間に秋入日 2015-10-16 | 秋 声かけし妻の来ぬ間に秋入日 午後5時になると7才になった小型犬チワワと散歩する 近所の1歳半のMちゃんが大好きで Mちゃんの家の前で吠えて合図をする ここのところの秋晴れで夕日がまことに綺麗で息をのむ 家内に見せたくて大声をだすのだが なんでもゆっくりの妻は間に合わなかった
まるで天職ひねもす落葉掃く 2015-10-15 | 秋 まるで天職ひねもす落葉掃く 山法師の葉が落ちてくると秋の終わりが近い 桜の葉はもうほとんど落ちてしまった 柿の実がその姿があらわになってくるとその葉のみななくなる ここのところ庭木の葉の始末に追われている 時間のたっぷり使える自分には 自然とのと会話ができるありがたいミッションかもしれない
露けしや魂祓いせし石の山 2015-10-14 | 秋 露けしや魂祓いせし石の山 たけし 墓終いをする際には「魂払い」が必要なのだという 墓石を建てた際には「魂入れ」をするのだから当然かとも思う 魂払いが終わると墓石はただの石塊となる ひとかたまりの元墓石 この寂しさには目をそむける
今年米嗅いで零してまた掬ふ 2015-10-13 | 秋 今年米嗅いで零してまた掬ふ たけし 新米がで届いた 毎年の事だが弾んだ気持ちになる 嗅いで零してまた掬う 毎年の仕草だ <動詞が三つも入っていてどうにもならない と句会では講師に酷評された 三つの動作がひとつの主張なのだが理解されなかった>