高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

津田智

2015-03-08 07:54:45 | 最終講義
 年末に送っていただいた,「ふるさとの・・・」を少し前に読み終わりました. たいへんおもしろく,良い本だったという印象です.これまでの高槻さんの本がつまらなかったというわけではないのですが,いち ばんおもしろい本だと思いました.
 ぼくが常日頃考えていることとかなり似ているので,そのせいでおもしろかったのかも知れませんが,中でも「里山がバッファーになっていて奥山の動物が 人里に近づけなかった」というのは,今まで考えたことがなかったので「目か らウロコ」的なおもしろさがありました.さとやまの荒廃が今日の野生動物と 人との摩擦をうんでいるというのは確かにその通りだと感じるしだいです.
 原子力(ぼくも使用をやめるべきだと思っていますが)や石油などのエネルギー問題や温暖化の問題などもあるので,少しだけ「便利」を犠牲にして「不 便」な生活にもどすことを考えたらよいのではないかと思います.薪による火 力発電とか,炭を使った暖房器具とか・・・.さとやまの荒廃がストップする かも知れないし,地方に労働力が帰っていくかもしれません.かく言う自分自 身はあまり実践できないでいるわけですが・・・
 本の話にもどりますが,高槻さんが以前「辛口のコメントを」と言っていたの で,ちょっとだけ気になった点を言わせていただきます.林業の話に言及する ところですが,その部分以外は「高槻さんの思い」がしっかり書き込まれているようで,すごく読み応えのあるものになっています.ところが林業の部分に ついては解説記事のようで,高槻さんの思いが伝わって来にくいと感じまし た.いわば,その部分だけは解説書や教科書を読んでいるのとあまり変わらない印象でした.逆に,震災に言及するところでは,あっさりしすぎている気がしました.高槻さんはもっともっといろんなことを思ったはずで,それが相当 に押さえ込まれてしまっているのではないかと想像します.確かに「唱歌ふる さと」を材料にしているので「山は青き」の部分を削ることは難しいのかも知れませんが,ムリにこじつけなくても良かったのではないかと思いました.そ の分を震災や三陸・福島への思いを書き込んでほしかったという感想です.< <失礼>>

旧友というのはありがたいもので、暖かくもあり、きびしくもあり、それがまた的を得ています。ほとんど反論はできないのですが、林業を解説的にしたつもりはないのですが、力不足ということでしょう。ただ私は、少し林学の人と交流しましたが、木本は知っていても草本はほとんど知らない人が多いのにびっくり、がっかりしたことがあります。ましてや昆虫などにはほとんど無関心です。「ああ、日本の林業はこういう人たちがリードしてきたのだ」と思いました。それではいけないこと(山は材木畑ではないぞ)を自分のことばで書いたのはあまり知りません。震災のことは、確かに思いが強すぎてうまく書けないという思いはあります。
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