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「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

野生動物と共存できるか 感想

2015-10-03 22:08:37 | 私の著作
共存は難しい
投稿者 志村真幸 トップ1000レビュアーVINE メンバー 投稿日 2015/9/22
 著者は保全生態学の研究者。
 岩波ジュニア新書で、中高生向けにわかりやすく書かれている。
 著者は日本でシカ、サル、クマを対象としているほか、モンゴルでモウコガゼル、スリランカでゾウなども研究しているらしい。モンゴルの茫漠たる草原で動物たちを追いかけた体験談なども盛り込まれており、おもしろい。
 人間の生活と、野生動物との衝突に関する現状がいろいろと挙げてあり、一部については解決例も示されている。基本的には人間側に立ち、しかし、動物への対処も可能なかぎり手厚くというスタンスだ。科学的な態度を徹底している点が特徴。
 野生動物との共存はかなり困難なようだが、それでも可能性はあると思った。

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2014/11/28 23:17
 以前読んだ、同じ著者の「動物を守りたい君へ」がとても良かったのでこちらも子供に読み聞かせしました。同じように良書でした。こちらの方が焦点が絞れているとも言えます。
 とても良いのは総合的だということです。基本的には生き物の話であるわけですが生態学ということで、社会科的な視点が必要になっています。たとえば、スリランカやモンゴルの暮らし、そこの人々の考え方や、ほんの少しだけれど歴史も。この本を読むと、多面的なものの見方をしなければいけないとか、人は社会全体で間違った通念を持ってしまうことがあるといった、とても大切なことが生き物という親しみやすい具体例を通して学べます。「かわいい!」とか「かわいそう!」とか表面的な衝動で終わってはいけなくて、詳しく検討して意見・行動すべきである、ということは知性に本質的なことだと思うんです。
 難易度が、親が適度に解説を加えながら小学生に読んでやるのにちょうどよいです。中学生なら自分で読むのにいいでしょう。
 「ラクダはラクダだが、ホルゴルはラクダではない。」

大人が読んでも手ごたえあり
投稿者 chairo 投稿日 2014/2/14
子供向けに簡単には書いてありますが
そうだそうだと納得することが多く、大人が読んでも
十分にいろいろ考えさせられる本でした

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2014/03/07 14:54
保全生態学入門のサブタイトルどおり理解しやすく目的を達成できた。
第1章の生物が消えていくの中で、農業基盤整備事業を農業基本整備事業と書き違えたり、暗渠排水の説明が咀嚼不十分からか間違っていて気になった。

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2013/07/27 14:21
生物の保全には生態の保全が必要、つまりその生物を取り巻く環境の保全こそが重要。
そこで力を発揮するのが、「保全生態学」。
本書はこの保全生態学の基本について丁寧に書かれてます。

今どんな問題が起きているか、絶滅とは、保全生態学とは、その実践とは、生物に対する価値観とは…
そういったテーマごとに多くの具体例で話をしてくれるので、とてもわかりやすい。

設定されてる読者層が中学生くらい(たぶん)のジュニア新書らしいつくり。
語りかける文体なので、非常にとっつきやすいです。

ただこの「ジュニア新書」、侮るなかれ。
読んだことのある人はわかると思うけど、「どこが『ジュニア』だ」と感じさせるしっかりした内容の本が多い。
本書もそのひとつ。

ウニや貝を食べて漁業被害をもたらすラッコを駆除したら漁獲高が減った。
サケの遡上による海・川・山のつながり。
オオカミをめぐる自然観・動物観の変化。

こういう内容はそれなりに知識を得てきた大人でも知らない、おもしろくて興味深いことだと思う。
大人にこそオススメ。

本書には、筆者の野生動物への愛と尊敬が満ちている。
「どうにかこの想いを知ってもらいたい」という熱のあるいい本。

筆者は動物を好きになってもらいたいと言う。
それは「かわいいから好き」だというのではなく、理解してほしいということ。
人間にとってどんな生物であるかは関係ない、その存在自体に価値があるし尊ぶべきだ、というわけですな。

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2012/10/16 22:59
野生動物とわたしたち人間とのつながりについて、とても分かりやすく書かれていた。日本のみならず、世界の野生動物や植物についても、興味関心を広げていきたいと思った。

ジュニア本と侮るなかれ!生物多様性入門に最適
投稿者 maimai 投稿日 2011/1/30
生物多様性については、いまだに個人や企業として何をすれば良いのかよく分からないし、十分な理解がないままに「何をすればいいのか?」という答えを出すことに急いだり、アクションリストに先走ってしまう雰囲気になんとなく抵抗感がありました。

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2012/08/23 21:02
ジュニア新書ということで子供むけに書かれた内容。
しかし生態学を知らない大人が読むにもわかりやすくてよくまとまった内容だった。
子供向けなのに「科学的な知見から」ということを徹底していたところがよかった。

私は大学である程度生物学を勉強したので、「生態学全般」に関してこの本を読むことで新たに発見したことは多くなかったけれど、恥ずかしながら個々の事象については新たに知ったことが多かった。
子供たちにこの本の内容を知ってほしいのはもちろんだが、ジュニアと言わず様々な人が読む価値があると思った。

アイヌの人々の考え方と保全生態学の考え方に通じるものがある、という記述に共感した。『カムイ・ユーカラ』(山本多助)を今度読もうと思った。

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2012/06/23 14:12
子供が読んだので語ろうと読む。自分の小学校時代に子供だけで山に冒険しに入りニホンカモシカを見た時は感動した(実は小学校にもシカが時々出没するほど田舎だった。熊に遭遇しなかった事が幸い)。小中で好きだった人の父親はハンターだったな…などと懐古。以降は本からの引用です//飼育動物と野生動物。メダカ。農業基本整備事業…田んぼに大きな変化。外来生物。農業被害、ラッコ、ウニ、昆布、漁獲高減。生息地の破壊。1900年は20億未満。世界中の島々…ヤギ…捕鯨のため。

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2011/04/16 12:46
是非ともこどもたちに読んでほしい一冊。
ペットと野生の生き物の違いは何?恐竜の絶滅とアマミノクロウサギの絶滅はどうちがう?同じ野生生物なのにトキは守って、シカを駆除するのはなぜ?
オオカミは欧米では悪者、日本では神様として扱われるのはどうして?
これらの答えは簡単ではありませんし、ひとつではないかもしれません。野生生物に触れ合う機会が激減し、ほとんと隔離状態ともいえる現代のこどもたちといっしょに考えながら読みたい本です。

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2010/12/19 14:32
この前に読んだ「捕食者なき世界」ウィリアム・ソウルゼエンバーグ著
や、「沈黙の春」レイチェル・カードン著の読破メモも書けていないけど
先にこっちをやっつける。

本書は
人間と野生動物とがどのようにしたら共存できるか!というノウハウ本ではなく
野生動物との共存を例に
1)動植物のつながりあいの重要性
2)単純なメディアから情報だけで信用せずに深く考える力
3)価値観や文化や生活習慣の違いの認識
を、判りやすく伝えている。

2010.12.12
生物多様性については、いまだに個人や企業として何をすれば良いのかよく分からないし、十分な理解がないままに「何をすればいいのか?」という答えを出すことに急いだり、アクションリストに先走ってしまう雰囲気になんとなく抵抗感がありました。

そんなモヤモヤしたなか、本書は、「そもそも何が問題なのだろう?」と自問自答させられるような、本質的な問いを投げかけてくれます。

動物は好きだけど、ペットと野生動物は全く違う。
何故そもそも野生動物は絶滅しているのか。
保全にとって大切なのはどういうバランスなのか。
そもそも人間優越、自然支配、自分たちの当たり前を見直す必要はないだろうか。
本当の豊かさとは。

ジュニア向けの本なので非常に分かりやすく、また著者のとても熱い思いが伝わってくる良書です。子供のころこんな本を早く読んでおけば良かったなぁ。としみじみ思いました。

f087022の日記
2010-06-26
 20世紀、特に後半になって野生動物に関する問題が多くなっている。生息地や個体数減少のような問題であるが、その大半は人間が原因である。この本はそのような時代において、人と動物との付き合いを示す一冊である。全体的に話し言葉でつづられているため、とても読みやすい本である。

 まず第一章では野生動物に関する問題をメダカ、ツキノワグマ、サル、シカ、ヤギ、マングース、ラッコを例に解説している。

例えばツキノワグマとサルでは農業被害や人に危害を加えることが問題になっている。この問題の原因は生息地が少なくなっていることや、食べ物が少なくなっていることが挙げられる。しかしそれらの原因のほとんどは人間が関係している。奥山の伐採であったり、山の恵みを過剰に採取したりしているのだ。このような問題を考えるうえで重要なことは安易に目先の結論に飛びつくのではなく、事実を確認し、長い期間、広い視野をもつことである。

第二章では「絶滅」について書かれている。

はじめに、イギリス、北アメリカでの出来事を紹介している。イギリスやアメリカでは現在は動物愛護や自然保護の精神が根付いており、大きな国立公園などを設置している。しかし、時代をさかのぼるとその精神は、多くの動物の犠牲の上になりたっていることがわかる。イギリスでは産業革命以降、森を切り開いたことでヒグマやオオカミなどが絶滅。アメリカでは食料、羽毛のためにリョコウバトが絶滅し、バイソンは娯楽のための射撃に利用され、激減した。これ以外にも多くの動物を絶滅させている。絶滅は自然界ではごく普通におきる現象であり、とても長い期間での出来事である。しかし近年の絶滅は人間が原因であり、かつてないスピードで起こっている。

絶滅した種の特徴を考えることで、これ以上の悲劇を引き起こさないヒントを得ることができる。ジャイアントパンダやガンジスカワイルカは生息地が限られる。何らかの理由で生息地の環境が変化すれば絶滅してしまう種だ。またスペシャリストと言って、特定の食べ物しか食べない種がいる。これらの種は食物に融通が利かないため、人間による環境変化が起きた場合に絶滅する危険性がある。スペシャリストの反対の言葉はジェネラリストと言われる。一方で生物学的な特徴ではなく、人間による利用ができる種も絶滅の危険がある。天然資源と考えられ、スポーツ狩猟に利用され激減する。また人口問題で食料、住居が必要になり動物たちの生息地を奪ってしまっている。

野生動物絶滅に対する深刻さに気付き、世界各地で保護運動が展開されている。絶滅が危惧されているジャイアントパンダ、タヒ、アホウドリを保護する運動を紹介している。これらの動物の減少した理由は生息地の減少であったり、乱獲であったり、人間が原因である。ここでは、保護に携わった人々の努力が記されている。保護するために研究が重ねられ、生息地を確保し、繁殖させる。これらには長い期間が必要で、失敗はつきものである。国同士の国際的な協力や、多くの人の協力が必要であることがよくわかる。

第三章では生態学、保全生態学の考え方やそれを通じた生物のつながりを解説している。まず分類学、生理学、遺伝学などを総合し保全生物学が生まれた。そのなかで生態学は生物と環境、生物個体同士、種間の関係などを研究対象にしており、保全にはとても重要な学問である。保全生物学の中で特に生態学に重きを置く学問が保全生態学である。保全生態学の考え方で、キーストーン種、アンブレラ種、フラッグシップ種、コリドーがある。キーストーン種を金華山のシカを例に解説している。キーストーン種というのはその生態系で最も影響の強い種を言う。またアンブレラ種の解説するためにコウノトリが例になっている。コウノトリを守ることで、関係する小動物、植物が守られる。フラッグシップ種はその名の通り、旗のように目立つ種である。パンダが例になっている。パンダは生物学的にも特徴があるのだが、世界的に人気があるということで特別である。その人気を利用することも大切なことだ。この言葉は保全生態学というより、保全のための言葉である。コリドーは回廊という意味である。人間によって森が減少し、小さな森がとびとびに存在するようになる。範囲の狭い森林では生息できなくなる種が出てきてしまう。広い範囲の森を再生することは困難であるが、狭い範囲では可能であるかもしれない。ということで小さな森をつなげようという考え方が生まれた。それがコリドーである。

次は生物同士のつながりをオオカミ、サケを中心にして解説している。まずオオカミはヘラジカと森林との関係である。オオカミが減れば、ヘラジカが増え、森林が荒れる。その逆もある。自然界の微妙なバランスが存在し、それは時間的にも場所的にも存在する。サケはクマやタカとの関係が記されている。遡上してきたサケをクマなどが食べ、山で糞をすることで栄養が山に運ばれる。その栄養は森林に吸収され、健全性が保たれるのだ。

生物同士が複雑な関係を持つことが分かる。保護する対象のみを考えるのではなく、もっと広い環境を守ること、微妙なバランスを保つことが大切である。

第四章では筆者の研究に関する体験が書かれている。

まずは岩手県五葉山一帯で起きているシカの食害に関する体験である。シカが増え、山に食べ物が無くなると人里に下りてきて、農作物を食べてしまう。筆者はシカが増えすぎていることを収集したデータから示し、シカを減らす提言をした。そして行政と地元ハンターと共同し、農林業被害を減らすことに成功した。このプロジェクトは筆者にとって初めての経験であり、研究成果を対策に生かしたいと思う経験であったそうだ。

このほかに、モンゴルにおけるモウコガゼルの研究や、鳥の渡りに関する研究が記されている。これらは研究者の実際がよくわかるように書かれている。網を張って対象を捕獲したり、地味な作業はつきもののようだ。動物には国境がないが、人間にはあり、それらの相互協力がなければ研究は成り立たない。また行動範囲が広いため、調査器具の進歩が研究に大きな影響を与えることもよくわかる。

第五章ではクマ、サル、シカ、ヤギを例にしてどういう取り組みが必要なのかを解説している。クマやサルは山が荒れ、農山村が衰えて農林業被害につながっている。シカも同様であるが加えて自然林に影響を与えている。ヤギは人間が持ち込んだ外来種であり、その被害が広がっている例であった。それぞれ違った性質の問題を抱えている。違った性質を見極めるためにはそれぞれに綿密な調査を行い、必要なデータを集めることで、科学的な判断をとることができる。これらの問題はメジャーになりつつあるが、里山の動物のようにありふれたものの保全は遅れている。

第六章では人と動物との関わりを通じて、その国の人を理解しなければならないという筆者の考えが述べられている。ここではモンゴル、スリランカでの体験が書かれている。モンゴルでは家畜との関係、スリランカではゾウとの関係が例に挙がっている。この章では同じ人間でも環境が変われば、生活習慣が違い、その違いによって自然環境や野生動物に対する考えが異なることがよくわかる。国によって、人によって様々な価値観を持っている。その例をオオカミ、アイヌ民話を例に書いている。

生物保全に必要なことは、本当に動植物を好きになること。動植物をよく知り、理解することである。また自分にとって当たり前なことが、実は違うかもしれないと常に疑うことで、様々な価値観を理解することである。

野生動物の価値として、「薬や食料になる可能性がある」とか、「美しいものを見て感動できる」とか、人間にとって役立つから価値があるとする人がいる。しかし、いま地球上の生命のほとんどが人間より先に生まれ、互いに微妙なバランスをとりながら生きてきたのだ。そのこと自体がかけがえのないことであり、価値があるのだ。動物が地球に存在している価値は、人間の存在には関係がなく、人間も動物も同じ価値であると認めることが必要である。だが人間は特異な存在であることは理解しなければならない。特異ということは知能が発達し、あまりにも大きな力を持ち、人口が増加し、資源を使いすぎているということである。だからこそ立場を正しく評価し、野生動物の立場を考慮して、いかに生きるかを考えていかなければならない。

本書で筆者はさまざまな野生動物の問題を紹介している。そのなかには筆者の経験した出来事が多く含まれている。実体験が交えられていることで、現実味があり、研究者の苦難などがよくわかる。問題に対する研究後の対策では行政などとのやり取りもあり、交際的な協力の必要性もわかる。動物のことだけでなく、その土地の特徴などの描写もあり、関わった地元民とのやり取りもある。そういった人間との関わりから、価値観の違いがあることがわかる。価値観の違いが異なる環境から成立した生活習慣や異なる宗教などが関連していることも書かれている。岩波ジュニア新書であるから、やさしい言葉で書かれているが宗教の価値観などにも言及し、生物保全にはさまざまな分野を知っておくことが必要であることがよくわかるだろう。保全生態学の考え方もわかり、生物の関わろうとする子どもにはとても参考になる本であると思う。また全く関係のない人でも生態学についての考えや、野生動物に関する問題についてよくわかるだろう

【釋知恵子 2006/12/22】
 とにかく読みやすく、わかりやすい。野生動物の現状と問題に人間の営みがどんなに関係しているのか、それを解決するために何を考えて行動しないといけないのか、実例が随所に織り込まれ、著者の考えるところがよくわかる。特にいいなと思ったのは6章。暮らす環境の違いで野生動物に対する考え方もいろいろあるんだから、自分の価値観が全てと思わず疑ってみようというところ。スリランカの人が、バナナをゾウに食べられて被害が大変でも、「ゾウを殺すなんてとんでもない、ただどこか遠くに行ってほしいだけだ」と答えたという例とともにストレートに伝わってきた。

【六車恭子 2007/02/23】
 人里に出没するツキノワグマ、農作物を食べるサル、国立公園の貴重な植物を食いつくすニホンジカ・・・、いま野生動物たちに何が起こっているのか。ここ数十年の人々の暮らしの変容が背景にあるという。かって北アメリカで起こったリョコウバトやバイソン、インド洋のモーリシャス島のドードー、イギリスのヒグマ、オオカミ、そして日本のオオカミ、これらは生物の進化の過程で起こった絶滅ではない。彼らの生息地の森林が切り開かれ人的要因で滅ぼされたのだ。その滅びの途上にある野生動物は枚挙にいとまがない。保全生態学の見地から人知を結集して危機を脱した野生たちもいるのだ。真に豊かである意味を野生動物との関わりで探ろうとする好著。何を知り何をしなければならないかを見極める、保全生態学の果たす役割は大きい。

【和田岳 2006/12/04】
 著者は、もともとシカの研究者。海外では、モウコガゼルやアジアゾウの研究や保護活動に関わってきた。そんな著者が、動物好きの子どもに向けて、哺乳類をおもな題材に、保全生態学を、そして、人と野生動物との付き合い方について書いた本。
 野生動物と言いながら、出てくる大部分が中型~大型の哺乳類。というのは、少し片寄ってる気もする。でも、出てくる動物になじみやすいという意味では、大型哺乳類を中心にするには間違ってないかもしれない。近年、日本で問題になっているクマ、サル、シカの問題についての、著者なりの考え方も示される。
 この本を読んで、少しでも多くの人が、野生動物との付き合い方について多少でも考えてみて欲しい。という意味でお薦めの本。ただ、全体的に牧歌的というか、現実のきれいな側面しか紹介していない感が強いのが、少し気になるところ。子ども向けだから?

【西村寿雄 2006/08/05】
 この本は〈ジュニア新書〉とはいうものの、子どもたちがすっと手にする体裁の本ではないかもしれない。しかし、今の人間にとってかけがえのない自然観について切々と説いている。わたしたち大人が手ほどきをしてでも、ぜひ生徒たちに伝えたい本である。
 最終頁に著者は〈野生動物の価値〉について問いかけている。〈いま地球上にいる生命は、おたがいにつながりを保ちながら生きている。そのこと自体かけがえのない価値をもっている」と語りかけている。〈保全生態学〉という新しい学問分野から、今の野生動物の実態と研究過程が紹介されていく。シカやクマ、サル問題を考える材料を提供してくれている。

ヲチ後感想文

ウニやアワビを食害するので、ラッコを駆除した。
漁獲高は上がるかに思われたが、逆に下がってきた。
なぜか。
ウニが増えすぎて、ジャイアントケルプを食べ尽くしてしまい、ウニやアワビはもちろん、その他の海中の生き物の生活の場が失われてしまったから。

クマの話、ニホンザルの話、オオカミとシカの話などでよく聞く話なんだけど「自然環境を守る」ことの難しさを研究者の立場で著したもの。

豊かさの基準を少し変える必要があるんですよね。
便利であること=豊かさではないってことで。
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