旅にしあれば

人生の長い旅、お気に入りの歌でも口ずさみながら、
気ままに歩くとしましょうか…

可燃物

2024-05-30 20:00:50 | 図書館はどこですか



昨年末に朝日新聞記事「ミステリー小説ランキング紹介」で取り上げられた
「可燃物/米澤穂信(ほのぶ)著」、図書館での順番がようやく回ってきて、
このたび読むことができました。この小説は各ランキングで上位を独占、
紹介記事中でも『大本命』的な扱いで、なるほどとても面白く、私もあっと
いう間に読み終えました。

米澤さんと言えば、アニメファンには京都アニメーション作品「氷菓」の
原作者としても馴染みのある方ですよね。京アニ作品中では、個人的には
あまり高評価でない氷菓なのですが、学園もの、ヤング(←死語)向けとして
は異例の凝ったシチュエーション、トリックなどには、目を見張るものが
ありました。学園生活の何気ない日常に謎、真意が隠されていて、その意外性
に驚かされました。米澤さんはその後直木賞を受賞されるなど作家としての
名声をより高められ、その最新作がこの可燃物、米澤作品をいつか読んで
みたいとの願いとタイミングがクロスし、ようやく叶いました。

オムニバス形式で五つの物語が並び、いずれも群馬県警の葛(かつら)警部が
それらの謎を解き、事件を解決します。どの事件も概要は平凡というか、
日常我々の身近でも起こりうるようなありふれたもので、たとえば連続放火
だったり、人質を伴う立てこもりだったり、交差点の出合い頭事故だったり等々、
現実のニュースでも時々見聞きする、一見特殊性からかけ離れた単純な事件
のはずが、実はいずれもひねりが効いていて、動機や凶器など思いもよらない
展開を経て、予測しがたい結末を迎えるのです。このあたりは氷菓の延長線上
であるとも言えるでしょう。

こういう切り替えの鮮やかさ、本格推理なのに気負っていない点が、米澤作品
の魅力のひとつなのかもしれないですね。


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