活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

現代萌衛星図鑑

2010-01-20 23:00:16 | 活字の海(読了編)
著:しきしまふげん 漫画:へかとん 監修:松浦晋也
三才ブックス刊 定価:1680円(税別)
初版刊行:2009年7月7日(入手版)
帯コピー:これが萌え擬人化の最先端!
     とてつもない日本の人工衛星娘(さてらいこ)たち
裏帯コピー:衛星(ホシ)に願いを、科学で夢を。
      これは、人類の未来のために過酷な宇宙で奮闘する
      人工衛星たちの感動の物語である。



今日。
JAXAから。
準天頂衛星初号機の愛称募集結果について」というプレスリリースが
あった。

その名も、「みちびき」。

(※ 画像は、JAXAより)

昨年の10月から、約2ヶ月間に渡って。
公募が続けられていた、この募集イベントに。
僕も奮って応募したのだけれど、あえなく選外。
#因みに、私の命名は「ともしび」「しるべ」だった。

でも、マイミクの天燈茶房亭主さんや、つぶやき仲間の ALUMIIさん
見事!当選を果たされた。

おめでとう!

そして。
うらやましいぞぉぉ!!

(はぁはぁ)

すみません。
少し、取り乱しています。


ともあれ。
そんな目出度い日に因んで。
本日取り上げたのは、この本。

「現代萌衛星図鑑」



全く。
こうして。
単なる無機質である機械に、ここまで思い入れが出来るなんて。

人間ってヤツは、本当に面白っ!(by リューク)
なのである。

こうした傾向が、特定の性癖を持つ人に限ってのことなのか。

そも。
八百万の神や付喪神(つくもがみ)を生み出した、日本人のメンタリティ
あってのものなのか。

確かに。
一神教がその文化の根底にある国々では、こうしたものの見方は
馴染まないようにも思える。

が、まあ。
それも。
結局は、個々人の特性に左右されるのだろう。


で。
僕は、といえば。

ばりばり、そうした傾向=モノへの肩入れ大好き! にあるのである。

一般に。
モノに対する思い入れが深いというのは、功罪両面を持っている。

そして。
日常生活を送る上では、概ね罪の方が大きいときている(笑)。

それは、例えば。
ものを捨てられなかったり。
やたらと、ものを集めたがったり。
その結果、居住スペースがどんどん圧迫されたり…(笑)。


それでも。
やはり。

縁(えにし)あって自分と袖摺り合うことになった、様々なモノ
について。

愛しいと感じてしまうのは、いけないことなのだろうか?

と、まあ。
些か(いささか! あくまでいささか!)フェティシストな僕に
とっても。

この本の持つインパクトは、強烈なものがあった。

何しろ。
科学の粋を集めて開発され、打ち上げられた衛星たちが。
可憐な女の子たちに擬人化されてしまったりしているのだから。

しかし。
この本を、その見かけで判断してはいけない。

そこに書かれている情報量の多さは、半端ないものであるし。
何よりも、著者の衛星にむけた熱い思いが。
魂を宿しているともいえる、熱い文章となって存在しているのだ。


取り上げられた衛星は、以下の通り。

・気象観測衛星 ひまわり
・ハレー彗星探査機 すいせい/さきがけ
・技術試験衛星VⅡ型 きく7号(おりひめ/ひこぼし)
・環境観測技術衛星 みどりⅡ
・次世代型無人宇宙実験システム USERS
小惑星探査機 はやぶさ
月周回衛星 かぐや


それぞれの、衛星毎に。
その誕生秘話や、運行上の様々な出来事、事件が語られていく。

そこに書かれてある事柄は、僕にとって旧知なものもあるが、しかし。
その殆どが本書で初めて知りえた情報であり、とても興味深く拝読した。

しかも、その科学的見地からの考察は、非常に精緻であり。
含有している情報量とともに、読み手の知的好奇心を刺激して止まない。

例えば。
「はやぶさ」のリエントリカプセルの重量。

これは、昨秋に京都であった「宇宙科学技術連合講演会: 宇宙を楽しむ
市民シンポジウム」に出席した際に。
その中でクイズとして出題され、JAXA「はやぶさ」プロジェクトの
メンバーである吉川氏と山川氏との間でも答えが割れていた難問なのだが


いともあっさりと。
しかも、さらりと。

本文中に、17Kgとその答えが書いてある。
(※ 京都では、16kgが正解として発表されていた)
(※ ちなみに、直径は40cmだそうである)


こうした、密度の濃い情報に織り込まれるように。

へかとん氏による、さてらい娘漫画が三話。挿入されている。

・【かぐやのお話】 たったひとつの
・【おりひめ・ひこぼしのお話】 いつもふたりで
・【はやぶさのお話】 みあげるよぞらに

その、どれもが。
ほろりとさせる、いい出来なのだ。

へかとん氏の絵柄の可愛らしさと、ストーリーの切なさ、愛しさが
ないまぜとなって。
実によい味わいとなっている。


著者のHPによれば。
この冬のコミケにも、衛星萌漫画を出品したとのこと


コミケには、足を踏み入れたことも無いけれど。
この本は、買いたかったなぁ。


と、思ったら。よくしたもので。
やはり、著者のHPにネット販売の情報が。

喜び勇んでクリックしてみると、発売不可(恐らく在庫切れ)の文字が…。

う~ん。
残念。なのである。


しかし。
本書については、まだまだAMAZON等で購入可能である。
是非、この。
羊の皮をかぶった狼ならぬ。
萌え擬人化の皮をかぶった硬派科学漫画を。

手にとって、その目で確かめていただきたいと思う。

(この稿、了)



現代萌衛星図鑑
しきしま ふげん
三才ブックス

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2 コメント

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Unknown (シャドー81)
2010-01-21 23:35:08
またまた、すごいところに手を出した、というか、幅が広い!!。
でも、そんな硬派な内容の本だとは知らなかったなぁ。

次は、元素、萌えですかね。これは、さすがにものではないので、違うかな?

PS
MOLTAさんのブログでの擬人化もなかなかものものですよ。
返信する
Unknown (MOLTA)
2010-01-22 00:36:44
いや、中身はほんと、凄いです。

是非、書店で見かけたら、手にとってご覧下さい。

どの娘も可愛いけれど、夭折した「みどり」姉妹のエピソード。

泣けます。
返信する

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