皆様、あけましておめでとうございます。
今年もマイペースでブログを続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。
今年のスイスの大統領は1963年生まれの女性弁護士のドリス・ロイトハルトさんです。2006年に経済大臣になった、中道保守派のキリスト教民主党出身の政治家です。今年の、と書くのはスイスでは、毎年順番で、大臣の一人が大統領を勤める制度になっているため。そのため大統領といっても、特別な権限はありません。それでも、若く、そして統率力の優れた彼女によって、スイスの閣僚に新風吹くことを期待します。
スイスの家庭には毎週、生協コープが無料配布する広報誌が届きます。そのお正月号に載せられたロイトハルト大統領のインタビューの中で彼女は、今、スイスの経済を持続可能な方向に導いていく上で、スイスの銀行産業は今後小さくなることが予測されるが、その分を再生可能エネルギー技術といったクリーンテクノロジーの分野で職場を増やしていくことが重要だ、と語っていました。そして、スイスが今後より努力する課題については、生活の質を今日も未来にも保っていくために、気候保全、教育、研究、そして賢いモビリティ(交通)のコンセプトを挙げています。
ロイトハルトさんの新年の抱負を見て、私は2010年は改めて、「長持ちする日本やスイスづくり」に尽力する女性の活動を、意識的に応援したいと思いました。昨秋の日本での講演ツアーの時にも感じたのですが、女性は日本の資源利用や環境との付き合い方を持続可能にしていく上で、男性とは違った意味で、まだ巨大なポテンシャルを潜ませていると思います。
日本の女性は、あまり会社組織や既得権に縛られない柔軟な考えをもち、そして温暖化や環境対策に関して前向きな姿勢が強い人が多いように感じられました。聴衆の中でも、女性の方々は特に一生懸命聞いて下さっていました。そういった関心の高い女性たちが、専門や家庭においてレベルの高い実践・選択を行ってくれたら、「長持ちする日本」づくりは、もっと早く進むのではないかと思います。
そんな実践を行う女性の1人に、岩手県で活動される知人の若手建築家の片岸弓枝さんがいます。昨秋に、彼女が岩手県滝沢村に住むお施主さんのために設計したH邸を訪問する機会がありました。年明け第一号のブログにふさわしい、美しく、環境面において大変優れた住いです。
岩手の家H邸 設計 かたぎしゆみえ建築設計事務所(写真提供:片岸さん)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/06/6d6437b39cc9755bfde96a0d44081e3e.jpg)
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![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0b/55/f5e61015fbd3ba6bbab07e2938ce2b30.jpg)
かたぎしゆみえ建築設計事務所のHP(HouseA)www6.plala.or.jp/katagishi/
片岸さんのブログ http://pub.ne.jp/mominoki/
この岩手の家は2009年にはエコ・ハウスコンテストいわての大賞を授賞しています。躯体には地場産の無垢材が用いられていて、屋根には43㎝のセルロース断熱材(U値0.08)、壁は23.5㎝(U値0.20)、窓は木製サッシの三層ガラス(U値1.4~1.6)、熱交換式の換気設備を入れています。Q値は0.97だそうです。暖房は居間にあるストーブ1つで行い、薪は一日2~3本を一回焚くだけ、というお施主さんの話でした。給湯はエコキュートです。
空間の印象は、暖かく、居心地の良く、家事・収納が機能的。自然素材の質感が、強さと安定を感じさせると同時に、洗練されていて、品があります。芯の通った、それでいてしなやかな片岸さんの人を見るようです。そして80㎡という面積(暖房面積)を感じさせないゆとりがある空間でした(2人暮らしには十分な広さですが)。建設コスト面でも優れています。経済性・環境性・快適性、そしてデザイン性において、東北の普及型の省エネ住宅プロトタイプとしてふさわしい家と感じました。このような住いが、『当たり前』になる未来を願います。
さてさて、話は変わりますが、「建設技術」誌の2010年1月号に拙筆の「スイスの省エネルギー建築政策の今~規制・ミネルギー・省エネ改修」が掲載されています。特集は、「『省エネ住宅新時代』さらなる省エネ要求にどう応えるか」。南雄三さん監修の興味深い記事が満載ですので、是非ご覧になってください。日本で初めてパッシブハウス認証を受けた家を設計したパイオニア、森みわさんの記事も掲載されていますのでお楽しみに。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/0a/1fd2cdc2f6bb2349164f2849ca91c2e9.jpg)
今年もマイペースでブログを続けていきますので、どうぞよろしくお願いします。
今年のスイスの大統領は1963年生まれの女性弁護士のドリス・ロイトハルトさんです。2006年に経済大臣になった、中道保守派のキリスト教民主党出身の政治家です。今年の、と書くのはスイスでは、毎年順番で、大臣の一人が大統領を勤める制度になっているため。そのため大統領といっても、特別な権限はありません。それでも、若く、そして統率力の優れた彼女によって、スイスの閣僚に新風吹くことを期待します。
スイスの家庭には毎週、生協コープが無料配布する広報誌が届きます。そのお正月号に載せられたロイトハルト大統領のインタビューの中で彼女は、今、スイスの経済を持続可能な方向に導いていく上で、スイスの銀行産業は今後小さくなることが予測されるが、その分を再生可能エネルギー技術といったクリーンテクノロジーの分野で職場を増やしていくことが重要だ、と語っていました。そして、スイスが今後より努力する課題については、生活の質を今日も未来にも保っていくために、気候保全、教育、研究、そして賢いモビリティ(交通)のコンセプトを挙げています。
ロイトハルトさんの新年の抱負を見て、私は2010年は改めて、「長持ちする日本やスイスづくり」に尽力する女性の活動を、意識的に応援したいと思いました。昨秋の日本での講演ツアーの時にも感じたのですが、女性は日本の資源利用や環境との付き合い方を持続可能にしていく上で、男性とは違った意味で、まだ巨大なポテンシャルを潜ませていると思います。
日本の女性は、あまり会社組織や既得権に縛られない柔軟な考えをもち、そして温暖化や環境対策に関して前向きな姿勢が強い人が多いように感じられました。聴衆の中でも、女性の方々は特に一生懸命聞いて下さっていました。そういった関心の高い女性たちが、専門や家庭においてレベルの高い実践・選択を行ってくれたら、「長持ちする日本」づくりは、もっと早く進むのではないかと思います。
そんな実践を行う女性の1人に、岩手県で活動される知人の若手建築家の片岸弓枝さんがいます。昨秋に、彼女が岩手県滝沢村に住むお施主さんのために設計したH邸を訪問する機会がありました。年明け第一号のブログにふさわしい、美しく、環境面において大変優れた住いです。
岩手の家H邸 設計 かたぎしゆみえ建築設計事務所(写真提供:片岸さん)
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かたぎしゆみえ建築設計事務所のHP(HouseA)www6.plala.or.jp/katagishi/
片岸さんのブログ http://pub.ne.jp/mominoki/
この岩手の家は2009年にはエコ・ハウスコンテストいわての大賞を授賞しています。躯体には地場産の無垢材が用いられていて、屋根には43㎝のセルロース断熱材(U値0.08)、壁は23.5㎝(U値0.20)、窓は木製サッシの三層ガラス(U値1.4~1.6)、熱交換式の換気設備を入れています。Q値は0.97だそうです。暖房は居間にあるストーブ1つで行い、薪は一日2~3本を一回焚くだけ、というお施主さんの話でした。給湯はエコキュートです。
空間の印象は、暖かく、居心地の良く、家事・収納が機能的。自然素材の質感が、強さと安定を感じさせると同時に、洗練されていて、品があります。芯の通った、それでいてしなやかな片岸さんの人を見るようです。そして80㎡という面積(暖房面積)を感じさせないゆとりがある空間でした(2人暮らしには十分な広さですが)。建設コスト面でも優れています。経済性・環境性・快適性、そしてデザイン性において、東北の普及型の省エネ住宅プロトタイプとしてふさわしい家と感じました。このような住いが、『当たり前』になる未来を願います。
さてさて、話は変わりますが、「建設技術」誌の2010年1月号に拙筆の「スイスの省エネルギー建築政策の今~規制・ミネルギー・省エネ改修」が掲載されています。特集は、「『省エネ住宅新時代』さらなる省エネ要求にどう応えるか」。南雄三さん監修の興味深い記事が満載ですので、是非ご覧になってください。日本で初めてパッシブハウス認証を受けた家を設計したパイオニア、森みわさんの記事も掲載されていますのでお楽しみに。
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