会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

會津八一 1210

2016-10-01 20:24:57 | Weblog
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南京新唱(なんきょうしんしょう)・自序より 2008・10・29(水)

 会津八一第一歌集(大正13年)は、初めて奈良を訪れた明治末期の荒廃する古都・奈良での歌を主にしている。自序の一部を紹介する。

 「われ奈良の風光と美術とを酷愛して、其間(そのかん)に徘徊(はいかい)することすでにいく度ぞ。遂(つい)に或(あるい)は骨をここに埋めんとさへおもへり。ここにして詠じたる歌は、吾ながらに心ゆくばかりなり。われ今これを誦(じゆ)すれば、青山たちまち遠く繞(めぐ)り、緑樹甍(いらか)に迫りて、恍惚(こうこつ)として、身はすでに舊都の中に在(あ)るが如(ごと)し。しかもまた、伽藍寂寞(がらんじやくまく)、朱柱たまたま傾き、堊壁(あへき)ときに破れ、寒鼠(かんそ)は梁上に鳴き、香煙は床上に絶ゆるの状を想起して、愴然(そうぜん)これを久しうす。おもふに、かくの如き佛國の荒廢は、諸經もいまだ説かざりしところ、この荒廢あるによりて、わが神魂の遠く此間に奪ひ去らるるか」           (全文へ