カレーなる日々 / शानदार दिन

インドの日常を中心に日々を綴っています。

「海と月の迷路」大沢在昌

2021年12月13日 21時37分59秒 | 本 / BOOKS

軍艦島と言った方が通りが良いが、長崎県の端島が舞台。
2015年に世界遺産に登録され、私も行ってみたいと思っていたので、
興味深く読ませてもらった。

2013年に発行された大沢在昌氏の小説である。フィクションなので、
作品中にはN県、H島、M菱などと書かれている。

 

石炭を掘るために埋め立てられ設備や住居が建てられ、
外観が軍艦のように見える事から軍艦島と呼ばれる。
アメリカの潜水艦が戦艦と間違えて魚雷を発射した事もあったそうだ。

昭和34年、定年を迎えた警官が若かりし頃に赴任したH島での経験を、
後輩たちに聞かせて行く。

赴任した直後に13歳の少女が溺死する。事件性はないと思われたが、
閉鎖的な島の人間関係や歴史を知っていくうちに、
ただの事故で済ませてはならないと言う何かを感じ、
独自に越権行為ではあるが調査を進めていく。

南北約480m、東西約160mの島は、半分が炭鉱であり、
残りの半分は5000人の人々の居住エリアである。
ほとんどが鉱員とその家族で、警察官は2名、郵便局や食堂や商店で
働く人々もいるが、流れつく前は何処で何をしていたか?謎の人物も多い。

ことなかれ主義で下手に詮索したり波風を立てずに日常を送ろうと、
そう考える人々が多い中、独自の推理と捜査を進めていく。

上巻と下巻を合わせると軍艦島になる。

 ドロドロとした人間関係と犯人の異常性にもかかわらず、
 それほど嫌な感じを受けずに読み進められたのは、 
 私が軍艦島に興味を持っていたせいだけではないと思う。

 筆者のタッチが軽いのかもしれないけど、
 お勧めの作品である。

 

コメント
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