2022年に今回された映画で、
2008年にムンバイで起きた同時多発テロで殉職した、
インド陸軍のサンディープ・ウニクリシュナン少佐の生涯を描いたもの。
少佐は1977年に南インドのケララ州出身で
カルナータカ州のバンガロールで育ち、
子供の頃からの夢であった軍人になるために、
高校を卒業した1995年に陸軍士官学校に入学。
1999年に卒業後、国境地帯などで活躍し2005年に少佐に昇進。
国家治安部隊の教官を歴任し特別行動グループに所属し、
2008年11月26日にムンバイのタージマハルホテルで、
テロリストと対峙し14人の人質を救出したが殉死した。
この映画は4月29日にインド大使館が一般人を無料で招待し上映されたが、
上映の数日前にインドのカシミール地方でテロ事件があったため、
よりいっそうインドとパキスタンの対立を濃く映し出すことになった。
<ストーリー>
カシミール地方のインドとパキスタン国境で、
サンディープ・ウニクリシュナン少佐(アディヴィ・セシュ)が
問題を起こした事から始まる。サンディープ・は国境の中立エリアで、
パキスタンの少年たちとクリケットに興じていた。
少佐によればこのエリアはインドであるから入っても問題がない。
少年たちも楽しそうにクリケットをしており平和そうに見えたのだが、
両国からすれば挑発に見え大きな問題であったわけだ。
そしてサンディープの幼少時代から高校時代へとストーリーは進み、
デリーからの転校生イシャ(サジー・マンジュケカール)と出会い、
恋に落ちる。軍隊に入った事でいったんは疎遠になるが、
2人は結婚する。この辺りはテロ事件とは全く関係ないのだが、
少佐の伝記と言う事なので。
いろいろな前線での活躍を認められ国家治安部隊(NSG)の教官となり、
そしてその中の51SAGと言うテロ対策部隊の中核を担う。
2008年11月26日武装した複数のテロリストが
マハラシュトラ州ムンバイのタージマハルホテルや、鉄道駅、病院、
カフェなど8か所を爆弾や銃の乱射で攻撃した。
サンディープは部下たちとタージマハルホテルに突入し、
解決までの間にテロリストと凄まじい交戦を繰り返した。
多くの犠牲者を出さない為に1人で向かって行ったサンディープは、
壮絶な打ち合いの末に殉死してしまった。
インドでは数年毎に国家に命を捧げた軍人にスポットを当てた
映画を撮影し上映している。何作品か観ているが、
英雄たちに祈りと感謝の気持ちを捧げ、彼らを忘れず、
愛国心を鼓舞させ、テロに屈しない強い心を植え付ける。
いつも前面に出ているのは反パキスタンである。
この作品でもテロリストの非情さや残虐さが、
必要以上に演出されているように感じた。
無関係な外国人観光客を含む多くの人々の命を奪ったのは事実で、
実際には非情で残虐だったに違いないのだが。
事件は4日後の29日に解決するまでに犯人を含む175人が死亡、
300人以上が負傷した。
4月に起きたカシミール地方でのテロ事件を発端に
インドとパキスタンの間で衝突が起きているが、
今回はインド政府も強硬な手段に出ている。
両国の軍事力と財政の差を考えれば、
圧倒的に不利なパキスタンが戦争を起こすはずはないのだが、
どうしちゃったのかパキスタン・・・・。
これ以上、大きな事にならない事を心から祈っている。