2016年4月30日、インドからタイ・バンコクを経由して、
カンボジアのシェムリアップに入国した。
世界遺産アンコールワットを観るためであった。
その後、プレアヴィヒアに行ったのが5月6日だ。
シェムリアップからプレアヴィヒアまでの距離は120Kmあり、
当時でも12人乗りの車をチャーターして120ドルだった。
1ドル=106円くらいだったので12,720円だ。
12人乗れるので宿泊した周辺のゲストハウスで同行者を募り、
結局、男性6人+女性4人で10人集まった。
これは寺院の裏手の断崖での集合写真である。
プレアヴィヒアとはクメール語で「神聖な寺院」、
タイ語の「プラサート・プラウィハーン」も同じ意味だ。
そもそもこの寺院は9世紀にクメール王朝によって、
ダンレク山地の海抜625mの山頂に建てられた。
1431年にタイ・アユタヤ王朝のサームプラヤーが、
カンボジアのクメール帝国を攻め周辺を支配下に置いたため、
タイ領土となった。そしてカンボジアの衰退と共に、
1867年にフランス領土となった。
1904年、タイとフランスとの間で国境線画定条約が締結されたが、
フランスの測量が間違っていたためフランス領となった。
1934年、タイ側の測量で間違いが発見されたが、
この時は意義を唱えなかったため、そのままになっていた。
以降、タイ側から何度も異議申し立てがなされたが、
カンボジア領土のままである。
そして今年2025年5月24日にこの地で、
銃撃戦となり死傷者が出てしまった。
プレアヴィヒア寺院へはカンボジアからタイ領土を通って行く。
片道3時間かかるので1日仕事である。
現地のチェックポイントでこの車に乗り換える。
入場料は当時1人10USドルだった。
国境地帯なので途中でチェックポイントを通過する。
見上げれば目的地が見える。
頂上に到着すると国連の旗とカンボジア国旗がはためいていた。
これがプレアヴィヒア寺院。
シヴァ神を祀ったヒンドゥー教寺院である。
寺院を背に下方を見る。
かなり近いところにタイとの国境があるため、
タイ側の監視所があった。
見学ルートを逸れると撃たれる事もあると言われた。
死にたくないのでルートを死守。
その後の砲撃によって遺跡が破壊されたとのニュースもあり、
なんとも悲しい気持ちになった。
以前、アフガニスタンのバーミヤン遺跡も、
タリバンの攻撃で破壊されたし。
破壊するのは容易いだろうけれど、
世界的にも大きな意味を持つ歴史的な物を破壊するという、
その気持ちがわからない。
意見の違う人はいるけれど、その意見も間違ってはいない。
違うと間違う、は大きく違う。
他者を尊重し思いやる気持ちが持てない事は残念だ。
プレアヴィヒアでもプラサート・プラウィハーンでもいい。
これ以上「神聖な寺院」を汚さないで欲しいと祈るのみである。