名古屋城天守の木造復元事業で、名古屋市の河村たかし市長は29日、現天守の解体許可を文化庁から得られていないことなどを挙げ、2022年末の完成目標を断念し、工期を延期することを初めて表明した。復元事業自体は断念せず、新たな工期については施工業者の竹中工務店、文化庁、有識者との協議を進めて決めるという。
文化庁への先行解体許可を申請しているが、いまだに継続審議中であり、解体許可がいつ出るのかもまったく分からない状態ではとても22年とう完成は不可能であるし、果たして、本当に木造復元ができるのかも不確かな物になった。
石垣部会(有識者会議)の言う所の解体により石垣に影響を与える可能性あるとう判断は確かにある意味では正当な見識だろう。 しかし、現在、名古屋城自体が老朽化により観覧禁止状態であり、この先、自然災害などの影響で石垣どころか、名古屋城自体が崩壊する危険もあるのである。 いくら鉄筋とは言っても、この先石垣を存続させるためには膨大な管理費用や改修費用が必要になるだろう。逆に、名古屋城の復元に伴って、石垣自体の補修等も含めてしっかりと改修することは今後数百年先を見据えると復元事業自体は無駄ではないだろう。
姫路城などはこれまでも何度も繰り返し補修事業が行われている。 ほぼ、石垣も含めて本丸から瓦、外壁も含めてほぼ全てが補修されている。 震災で石垣などが崩壊した熊本城も現在復元を進めている。 石垣に影響を与えるとう理由は正当性はあるだろうが、本当に名古屋城を守り続けるとう見方からすると少し違っているような気もするのである。
河村市長が今回木造復元を目指してきたことはある意味では良いタイミングだろうと思う。 もちろん、その費用は公金で賄われるわけだから市民目線で考えると本当にそれが必要なのか? とう疑問も残る。 財政的な負担に見合った復元と成りうるか? これは娯楽施設や公共施設とう観点からすると当然、その費用対効果を求めるのは当然だろう。 しかし、名古屋城は文化庁により特別史跡に指定している城であり、日本の100名城にもなっている歴史建造物である。 こうした観点からも復元、及び補修、保全、管理費用などはある程度文化庁からの補助もある。 しかし、その復元費用に関しては愛知県、名古屋市、寄付によるところがほとんどだ。 それでも、日本の城を守るとう観点からすると費用等に関しては適正な支出である以上はこれは致し方ないと言わざる得ないだろう。
私は愛知県に在住だけど、名古屋城にはこれまで数える程度にしか訪れていない。 それでも、やはり名古屋を象徴する一つには違いなく、本来の木造復元が可能であるならそれを望んでいる。 名古屋城は戦争で焼け落ち、復元された城は鉄筋コンクリート造で、中に入って見学しても城のイメージを感じさせない。 鉄筋の階段が丸出しになっているし、壁面や窓などもコンクリートであることが解るほどに情けない作りになっている。
外観だけの城であり、単に作り物である城のイメージは寂しいと感じる。