秩父駅近くまで戻ってきて、お土産を買うために、和菓子屋さんに入りました。いっこさんは小麦アレルギーがあるので、和菓子なら食べられるものがあります。いろいろ吟味して、いくつかおまんじゅうを購入しました。ボクも1つだけ買いました。
さて、秩父駅に入ると、大変なにぎわいでした。なぜかと言うと、秩父鉄道は「パレオエクスプレス」というSL列車を、1日上下各1本運行していて、あと10分ほどすればSLが秩父駅に着くところで、いわゆる撮鉄さんたちや、鉄道ファンが集まっていたのです。そして、ボクたちは乗車券を購入していて、SLに乗って熊谷に戻ることにしていました。これが今回の秩父散歩の目玉でした。
ホームに上がると、たくさんのお客さんがいました。14時36分発の列車で、その数分前に、遥か遠くにまずヘッドライトが見えました。どうやら黒い機関車かな?トンネルかな?等と思って見ていると、徐々に(ほんとにゆっくり)、機関車が見えてきました。煙突からは煙が出ている様子も見えました。なかなかホームに入ってこないので、とても待ち遠しく思いました。
いよいよホームに機関車が入ってきて、ボクたちのそばを過ぎて停車しました。ボクたちのそばを機関車が通る時、ほわっと温かい空気を感じました。石炭を燃やして熱を出しているわけで、こんな距離でもその熱を感じるのが、ボクたちにはとても新鮮でした。
そして、初めてのSL列車に乗車。車内は夏休みということもあって、子供がたくさんいました。みな大はしゃぎです。
駅を出発する時、機関車が汽笛を鳴らしました。その汽笛の音のなんとすばらしいことか。もし、別れ際に駅でこんな汽笛を聞いたら、泣き出してしまうだろうなあと思いました。子供たちはお構いなく、汽笛に合わせて「ポー」っと大きな声を出していました(やや雰囲気台無しです)。
パレオエクスプレスはゆっくりゆっくり熊谷を目指して進みます。そのスピードがとても心地よかったです。その反面、ゴトゴトと客車がよく揺れました。いつも電車などに乗るとすぐに寝てしまういっこさんが、パレオエクスプレスに乗っている間、一睡もしませんでした。
途中、長瀞渓谷の上を通過したり、鄙びた、風情のある駅舎のある駅で停車したり、停車時間を長く取っているので、列車を降りて機関車を撮影することもできました。でも、撮影に夢中になっているうちに乗りすぎしてしまったお客さんもいました。沿線でパレオエクスプレスを見た人はみな、手をふってくれました。
車内では、沿線の名所や、機関車のことを解説するアナウンスが流れていました。それによると、パレオエクスプレスのC58機関車は、実は小学校の校庭にずっと展示されていたそうで、これを引きとって修復して走らせているそうです。校庭で眠っていた機関車にまた活躍の場を作ってあげるなんて、その心意気がとてもうれしく思いました。また活躍できて、C58もうれしそうに見えました。
ゆっくりゆっくり、秩父駅を出て約1時間半で、終点熊谷駅に到着。名残惜しかったので、駅で何枚も写真を撮ってから別れました。
秩父の街は静かで、ほっと息を抜いて、ゆっくりした時間を過ごすのにとてもよいと思います。長瀞渓谷や、三峰神社等、見どころもたくさんあるそうです。都心から少し距離があるかもしれませんが、ぶらりと列車で旅するのもいいですね。お勧めします。