佐渡第三日目。この日は、佐渡の南端、小木町に向かいました。ここには、「佐渡太鼓体験交流館」(通称「たたこう館」)があり、ボクたちは、たたこう館で太鼓を習う予定を組んでいたのです。
宿泊先から小木町までは、車でだいたい1時間ちょっと。真野湾を右手に見ながら湾岸ドライブを楽しむことができました。
たたこう館に到着したのは、午後12時過ぎ。約束していた時間は午後1時からだったので、お昼ごはんを食べ、散策してから、会場に入りました。山道を走っていて、突然、和風の大きな建物、たたこう館が現れます。この日の練習は、ボクといっこさんのふたりだけでした。
玄関です。なんだか、昔の銭湯のような趣がありますね。
館内です。太鼓がたくさん置いてあります。
練習で使わせていただく太鼓です。全部音が違います。
ボクたち二人に太鼓を指導して下さるのは、宮崎先生です。有名な「鼓童」でも演奏されたそうです。先日、認知症予防に太鼓が効果的だと、とある番組で紹介されましたが、その際にテレビに出演されたのが先生です。傍にいるだけで元気が伝わってきて、ボクたちも元気になるような、そんな力を持っている方でした。
太鼓なんて、ドコドコと叩けばできると思っていましたが、重心を下げる姿勢をとって体幹を使って演奏するとか、力を入れてバチを振り下ろすのではなく、むしろ腕の力を抜くように等と、まるでアーチェリーにも通じる指導でした。早速叩いてみましたが、先生はボクたちの何倍も大きな音を出しました。それもまったく力みがなく...
しばらく先生と一緒に太鼓をたたいた後、今度は、樹齢600年のケヤキで作った大きな太鼓を使って先生が演奏して下さいました。生で、しかもソロで、しかも、ふたりだけのために演奏して下さるなんて、とてもありがたいことです。
先生は、太鼓の前に立つと、まるで伸脚体操をするかのように大きく足を広げ、腰を下げ、体幹を立ててから、腕をまっすぐに上に伸ばし、徐々に背中を反らせたかと思うと、素早く打ちおろして、ドンッと太鼓をたたきました。お腹に響く重低音のなんと心地よいこと。それから、その姿勢と動きのなんともしなやかで、美しいこと。和の美、ここに極まると言っても言い過ぎではありません。その後、リズムに乗って連打が始まり、数分間演奏して下さいました。譜があるのでしょうが、どちらかというと先生がアドリブで奏でているようにも聞こえました。
写真を撮らせていただくか、録音をさせていただければよかったのですが、とにかく感動してしまいました。ボクたちも、この大太鼓と、もう一台ある大太鼓を、好き放題やっちゃってくださいっと先生がおっしゃるものだから、ドンドコ叩きました。
太鼓を叩くって、こんなに気分がすっきりするものだとは思いませんでした。練習を終える時、お土産の曲をひとつプレゼントしていただきました。先生のお手本を聞くだけではとても難しくてできないと思いましたが、何と歌に乗せて叩けば、すぐにできてしまいました。頭で考えてしまうと動けません。でも、身体を動かす、つまり声を出すことと太鼓をたたくことから始めたらできてしまうことに、感心しました。そういえば、昔の習い事って、理屈よりも先に身体で覚えろと言われたように思います。
いろんなことにびっくりしましたが、たたこう館を出た後も宮崎先生がボクたちに手を振って下さっていたのがとても印象的でした。またぜひ、たたこう館に行って太鼓をたたきたいです。
たたこう館から宿泊先に戻って、お寿司をはじめ、佐渡のおいしいものをたくさんいただいて、翌日、東の国のボクたちの家に帰りました。
次に佐渡に行くのは、たぶん来年5月頃ですね。本当は佐渡でお正月を迎えたいのですが、海が荒れると船が出なくなって戻れなくなるおそれがあるので、ちょっと行きづらいのです...