2010年9月
「ヴァント様、お忙しいところ失礼いたします。本日はスペシャルな商品をご紹介に伺いましたの」
長い金髪のセールスレディのようだ。アナスタシアと名乗る彼女はどこから聞きつけたのか、クラブの資本金が少し潤っていることで来たのだろう。
「スペシャルな商品?」
ヴァントは少し怪訝そうにしている。
「その商品というのは、こちらの不透明サングラス。効果は使ってみての、お・た・の・し・み」
最後は焦らすような感じでゆっくりと言った。
「代金は少々お高めの2億円ですの。ご購入して頂けますかしら? ウフ・・・」
アナスタシアはヴァントを誘惑でもするかのようにサングラスを勧めるが、ヴァントは即答した。
「いえ、結構です」
アナスタシアは少し驚いたようだが、すぐに気を取り直した。
「あら、そうですのぉ・・・とても残念ですわぁ。それでは、今度お伺いする時は、別のサービスを考えておきますわ」
別のサービスとは一体?
話変わって、グラッドバッハに移籍したデニス・ベーエだが、今はスペイン1部のオサスナにいることが分かった。
第4節から2週間後、首位シュツットガルトとの首位攻防戦が始まる。首位攻防戦というのは2部以来で経験している選手は少ないだけに緊張もするだろう。パウル・フライアーも復帰してマンシャフトの準備は万全だ。スラマー監督は、いつものようにやればいいとだけしか言わなかったそうだ。
「1部で首位攻防戦をやるくらいにまでなったんだなぁ」
ヴァントは感慨深そうにしている。
立ち上がり、選手たちに硬さは無く、最初のシュートはマンシャフトでフライスが放った。シュートは左に逸れてしまったが、シュートで終われたのは良い。シュツットガルトも黙っている訳がなく、左にパスを出してクロスを上げようとするが、グロンキアにはクリズペラとモリツ・フォルツの2人でプレッシャーをかけていた。
グロンキア(ぐっ・・・こいつら)
グロンキアは結局ボールを外へ出してしまう。
42分、フライアーが右からクロスを上げて、エリア内のヤン・バーデに渡り、決定的なチャンス化と思われたがオフサイドで先制ならず。前半アディショナルタイムには左に大きく蹴り出されたが、シェファーがエリアからかなり出て蹴り出し、前半終了のホイッスルが鳴る。
58分、バーデのスルーパスからフライスにボールが渡る。
フライス(よし、必ず決める!)
フライスのミドルシュートは大きく枠を越えた。
ヴァント(フライス、気負い過ぎだ。力が入りすぎている)
0-0と試合は動かなかったが、均衡が破れる時が来た。ユングニッケル、トレコフ、フライスと渡るとシュート。今度は枠を捕えていたがGKに大きく前に弾かれる。それをユングニッケルがシュートでゴールネットを突き刺し、マンシャフトが先制。
ドイツ1部リーグ第5節
マンシャフト 1-0 シュツットガルト
(得点) 81分 ラルス・ユングニッケル(マンシャフト)
首位攻防戦を制して4連勝で単独首位浮上。1部に所属して4年目で初めてのことである。しかも、シュツットガルトをシュート1本に抑えていた。トマソンやグロンキアがマンシャフトの成長ぶりに戸惑いを見せる。
【基本情報】 チケット料金 4400円
来場者数 25000人
【収入】 チケット収入 9372万
勝利ボーナス 3000万
施設収入 2512万5000円
【支出】 試合運営費 1237万5000円
【合計】 1億3647万
【資本金】 71億1014万2733円
そして、ヴァントを悩ませる代表招集の時期がやってきた。今回はレンジング選手1人だけであるが、シェファーが故障したらきつくなる。