2010年6月
バウアーの元に向かわせたスカウトが戻って来た。
「レバークーゼンのバウアー選手についての調査が完了しました。移籍金は51億4000万円から87億3000万円掛かる見込みです」
ヴァントはスラマーにスカウトから来たメールを見せた。
ヴァント「それにしても、上限で87億以上なんて・・・」
まだまだバウアーを獲るには時間が掛かるんだなとヴァントは思った。
スラマー「オーナー、我がクラブの資本金は57億円でしたよね。それなら、低いメール作戦でいきましょうか」
ヴァント「低いメール作戦・・・ですか?」
スラマー「ええ、スカウトが見込んだ下限の移籍金が51億4000万円ですから、それよりも低い値段を提示してみるんです。とは言っても45億円は必要ですね。あまり低すぎても話になりませんから」
ヴァント「それで、レバークーゼンは応じてくれるだろうか」
スラマー「それはもう運に任せるしかありません。ですが、交渉する価値はあります」
ヴァント「分かった。45億円で提示してみよう」
ヴァントは45億円を提示してスカウトに向かわせた。
今度は残り契約年数が1年の選手と契約更改を行う。
(契約更改)
まずは、セバスティアン・フライス(24)だ。彼ほどの選手がここまで接触が無いのは信じられないが、これまでの月経費が掛からなかったことを考えると有難かった。現在1年・4800万円で希望年数が3年で妥当年棒が8100万円だった。そこから300万円増の8400万円を提示する。そうすると交渉は成立した。世界レベルにまで成長していたし、リーグ得点王を経験している選手にしては格安である。
もう1人、リュディガー・タルナートもいるが、ヴァントは一旦、保留した。
レンタル組の成長度はと言うと、カイ・ガイスラー選手は高いレベルのままであったが、左サイドならウイングまでこなせるくらいになっていたし、右サイドもそれなりにできるまでに成長している。ロベルト・バスラー選手はそれほどに伸びてなかった。それはシュテファン・ヴェヒターも同じだった。年齢が30近いと厳しいのか。ダニエル・ブリンクマンもそこそこの成長だった。これはレンタル先によるものだな。
その3日後にキルステンからメールが来た。レバークーゼンはバウアー選手を放出する気は無いとのことだった。
スラマー「まぁ、あれだけの選手をそう簡単に出す訳がありません。ですが、根気よく続けることです。またスカウトを向かわせましょう」
今度はヴァントはクラブの交渉を得意とするクリスティアン・ヤーンを向かわせた。
6月も中旬に差し掛かり、ヤーンからメールが届いた。今度は44億2000万円から66億6000万円が相場らしい。スラマー監督は低いメールとか言ってたけど、45億円が範囲に入っているのならそれで提示してみようかと45億円を提示したが、中途半端な気がしたので、初心に帰って42億円で提示した。
そして、3日経った。ドイツ2部で苦しんでいるフランクフルトが移籍金2億円でセバスティアン・フライスに完全移籍のオファーをしてきたものだった。2億円は欲しいが、フライスは手放せずに断る。それでバウアーだが、やはりダメなようだ。
6月も終盤になり、ヤーンからの今度のメールは39億9000万円から62億4000万円が相場と出た。クラブ交渉が得意なだけに相場も安くできるのか。今度の範囲なら低いメールではなく、中間より少し高い52億円を提示してみた。これだと資本金がギリギリとなるが、来月のスポンサー契約で息を吹き返せると判断した。しかし、結局3度目もダメだったのである。どれだけの運なんだ、とヴァントは少し嘆いた。
6月も残り僅かとなったところでヴァントはタルナートと契約更改の席を設けた。能力は低下していたが、トーナメントを戦うにはメンタルの強い選手が必要で、彼がだけで選手たちも心強いだろう。ただ、交渉の場は1回しかなく、失敗すれば終わりだ。
(契約更改)
MF リュディガー・タルナート(34) 現在1年・6000万円
スカウト予想は3年で9000万円だった。上限で1億800万円となっている。彼を1億円プレイヤーにしても良いだろうと思い、75%アップの1億500万円を提示した。
すると、相当喜んでもらえたようで、もう少し落としても・・・いや、これでいい。彼は精神的支柱としてクラブに少なくとも貢献したのだから。
交渉を終えたタルナートの元にムニル・ドナートがやって来た。
「マンシャフトとの契約を3年も延長してもらったんだってな。しかも1億円を超えるとはな」
「1億円を切ったらどうしようか迷ってたよ。今となっては9000万円でもいいと思ってた。まぁ、試合には出られなくなるかもしれんが、マンシャフトのリーグ優勝のために頑張るさ。お前もブルクハウゼンで頑張れ。そして1部で勝負しよう」
2人は互いに握手を交わした。
「ああ、必ずブルクハウゼンを1部に上げてみせる。その時は勝負だ」
おそらく、それは厳しいものとなるだろう。
お互いの手が離れると、ドナートは荷物を整理するために自分の部屋へと向かった。