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1010 トマト

2012-10-10 00:12:23 | 雑記

ト(10)マト(10)の語呂合わせで、日本トマト工業会が制定。

 トマトの歴史

(1)トマトの語源と各国での呼び名

■語源は「膨らむ果実

トマトという呼び名は「膨らむ果実」を意味するナクトル語(メキシコ南部の先住民の言語)の

「トマトゥルtomatl」から来ている。 はるか昔、ベラクルス地方のアステカ人がこう呼んだのが

始まり。トマトゥルとは元来「ホウズキ」を指し、メキシコではホウズキを煮込み料理に使ってい

たところから、形がよく似たトマトも同じ名前で呼ばれていたようだ。

■黄金のように貴重な果実

トマトに関する世界最古の文献は植物学者マッティオーリが1544年に発行した「博物誌』で、

イタリア語でトマトを意味する「ポモドーロpomodoro」は同じくマッティオーリが10年後の改

訂版で記載している。語尾のoroには、黄金や富のような貴重な物、あるいは金色という意

味がある。『博物誌』改訂版には「熟すると黄色になるものと赤色になるもの」と書いている。

イタリアでは「ポモドーロ(黄金のリンゴ)」、フランスでは「ポム・ダムール(愛のリンゴ)」、イギ

リスでは「ラブ・アップル(愛のリンゴ)」と様々。貴重な野菜をリンゴと呼ぶ習慣があったようだ。

■リンゴから桃へ

トマトの学名は、ラテン語で「リコペルシコン・エスクレンタム」。リコペルシコンは「狼(lycos)」

と「ペルシコン(persicon)」の合成語で、エクスレンタムは「食べられる」という意味。つまり

「食べられる狼の桃」となる。名付け親はイギリスの植物学者フィリップ・ミラーで、1754年に

発表している。

(2)アンデス生まれのメキシコ育ち

■元祖はチェリータイプトマト

 トマトの故郷は南米ペルーを中心としたアンデス高原の太平洋側の地域という説が最有力。

植物学者たちの調査で、アンデス高原には8~9種類の野生種トマトが自生していることが

確認され、いずれも現在のミニトマトに近い形で、多数の小さな実をつけるチェリータイプ

トマトだった。

■メキシコへの旅

この野生種のトマトが人間や鳥によってメキシコに運ばれ、栽培され食用になったと考えら

れている。中でも「ピンピネリフォリウム」は糖度が高く、熟すと真っ赤にになる野生のトマト。

これらを人間や鳥、獣が好んで食べ種を排泄し、種が発芽し再び実を結ぶ。こうして少しずつ

分布を広げていき、やがてメキシコで食用として栽培されるようになった。

■220年前に北米へ

栽培トマトの発祥地メキシコの隣にありながら、アメリカにトマトが伝わったのは、ヨーロッパ

に遅れること200年余。当時バージニア州知事だったトーマス・ジェファーソン(後の第3代

大統領)が1781年に自宅の庭で栽培を始めたという記録が残っている。しかし、農産物市

場に並ぶほどの本格的栽培が始まったのは、19世紀半ばになってから。

(3)トマトの大航海時代

■南米からはるかヨーロッパへ

コロンブスが新大陸発見以降、大勢のスペイン人が続々と新大陸に押し寄せ、その戦利品

の一つとしてトマトを持ち帰り、ヨーロッパに広めたと考えられている。トマトに最初に出会った

ヨーロッパ人は、1521年にアステカ文明を征服したエルナン・コルテスという説が有力。

■鑑賞用として栽培がスタート

 ヨーロッパでトマトを食べるようになったのは18世紀になってからのことといわれている。

ヨーロッパに持ち込まれてから200年もの間食用として受け入れられなかったのなぜか?

その理由は強烈な臭いやあまりにも鮮やかな赤い色への抵抗感、更に、ナス科の植物に

は麻酔作用や幻覚作用のあるものが多かったことから、トマトも有毒であると信じられた。

一説によると、トマトをはじめて栽培し食用としたイタリア人は飢餓のため仕方なくトマトを

食べたといわれている。

(4)トマトの日本デビュー

■江戸時代に渡来

日本にトマトが伝わったのが17世紀半ば。徳川四代将軍・家綱のお抱え絵師狩野探幽が

「唐なすび」と呼び、1668年にスケッチしている。文献で最も古いものは、江戸前期の儒学

者貝原益軒の『大和本草』(1709年)で「唐ガキ」と紹介されている。最初はヨーロッパ同様、

鑑賞用に珍重されていた。食用となったのは明治以降。キャベツ、タマネギ、アスパラガス、

ニンジンなどの西洋野菜とともに改めてヨーロッパやアメリカから導入された。 

 トマトのおいしさの秘密

(1)おいしさをもたらす旨み成分

■トマトの数々の成分が「おいしい」と感じさせる

「おいしさ」を感じさせる大きな要因は「旨み」成分で、主に「グルタミン酸と「イノシン酸」で、

他にも30数種類の物質が確認されている。

(2)トマトは地中海の味噌・醤油

■イタリアの家庭料理ではトマトがお袋の味?トマトソースが日本でいう味噌や醤油の

で活躍している。西洋には「トマトの時期には下手な料理人はいない」という諺がある。

トマトは「旨み成分で」ある「グルタミン酸」「アスパラギン酸」の宝庫。「グルタミン酸」と「アス

パラギン酸」が4:1の割合で含まれると最もトマトらしい味になると言われている。

イタリアでは、夏の終わりのトマトの値段 が下がる時期に、各家庭で1年分のトマトソースを

作る。その作業には家族総出で2~3日を費やすほどで、出来上がったトマトソースは消毒

されたビンなどに密封され保管され、日々の料理のベースとして活躍する。

 トマトの赤は太陽の恵み

(1)赤系トマトの秘密

■日本トマトはピンク系が多い

少し前までは、スーパーや八百屋で見かけるトマトは完熟しても色づきが浅い「ピンク系」と

呼ばれる品種がほとんどだった。しかし、最近、ピンク系一色だった日本の市場に変化が見

えてきた。イタリア料理の流行などで、パスタに欠かせない食材としてトマトを調理して食べ

られるようになってきた。同時に生活習慣病の予防につながるとしてトマトの色素・リコピン

が注目されるようになり、店頭でも赤系品種の真っ赤に熟した姿をちらほら見かけるように

なった。実際は世界的に見て、主流は赤系のトマト。

■自然の姿で育つ加工用トマト

サラダなど生で食べるトマトは、支柱で茎を支えられながら、脇芽を摘み、上へ上へ伸びる

ように育てられる。この栽培方法はビニールハウスの栽培に向くため一年中収穫が可能。

一方加工用トマトは、栽培コストを下げる理由もあるが、より多くの日差しを浴びることがで

きるように、支柱は使わず地面に這わせるように育てる。当然収穫は真夏に限られる。トマ

トはもともと地面を這う植物。加工用トマトは生で食べるトマトより野生に近いため、自然に

近い育て方が向いている。また、生で食べるトマトと収穫するタイミングも違う。加工用の

トマトは農林水産省の規格で、完熟してからの収穫が定められているので、収穫するのは

真っ赤になってからである。

■栄養は完熟時がピーク

品種による違いに加えて、栽培方法と収穫のタイミングの違いが、実はトマトの栄養成分

に大きな影響を与える。赤系トマトは、緑色から熟すにしたがって、「リコピン」は大幅に増

加し、食物繊維やビタミンC・Eなどの成分も増加する。日光を浴びて育った加工用完熟ト

マトには、生食用に比べて「リコピン」は約3倍、ビタミンCは約2倍、食物繊維は約1.5倍

多く含まれ、栄養成分が凝縮している。

(2)トマトの種類

■大玉トマト

一般的に流通している大きめのトマトの総称。概ね150以上のものが『大玉トマト」と呼ば

れる。生でも加熱してもおいしく、サラダ、煮込み料理、炒め料理など様々な料理に活用で

きる。

●「桃太郎」

大玉トマトの主流品種。重さは220g前後で、桃色の果皮は熟すと赤くなる。甘みが強く、

適度な酸味もあり、ゼリー状の部分は多め。果肉がしっかりしていて熱しても実が崩れにく

いので、パスタやサラダにお勧め。1985年に発売されて以来、市場シェア1位を維持。

●「ファースト」

大玉トマトの代表品種の一つで、お尻(果頂部)がとがっているのが特徴。甘酸のバラン

スがよく、ゼリ-部分が少なめで、カットした際実崩れしにくく、サンドイッチやサラダに向

く。現在は主に愛知県で栽培され、出回り時期は2~5月頃。

■ミディートマト(中玉トマト)

基本的には大玉トマトとミニトマトの間の中玉サイズのものが「ミディートマト」と呼ばれる。

大きさは40~150g程度、色は赤や黄、オレンジと多彩で、品種も「フルティカ」や「レッドオ

ーレ」など様々。

■ミニトマト

3~4cmくらいで、20~30gほどの小さなトマトの総称。「プチトマト」とも呼ばれ、1980年

頃から普及しはじめ、しばらくは赤いものが主流だったが、最近は黄色やオレンジ色、紫色

などバリエーション豊かになった。品種も「千葉」、「サンチェリー」、「キャロル」など様々。

●「アイコ」

「ロケットミニ」とも呼ばれ、細長い品種。果肉が厚めで歯ごたえがよくゼリー部分は少なめ。

甘みが強くて酸味はあまりない。サラダなどの生食はもちろん、加熱してもおいしく食べられ

る。果皮の黄色い「イエローアイコ」という品種もある。

●「シシリアンルージュ」

イタリアのマウロ氏が育成したシシリア島生まれの生食調理兼用トマト。20~30gほどのミ

ニサイズで、皮はかためで、果肉は程よい柔らかさで、ゼリー部分は少なく・、甘味と酸味が

適度にある。生食でもおいしいが、加熱すると濃厚な味わいになり、パスタやスープ向き。

●「マイクロミニ」

5~7mmくらいのとても小さいミニトマト。愛知県の三河温室園芸組合から出荷される。

見た目の珍しさとかわいらしさで注目されている。小さいながらもしっかりと味と香りがあり、

料理の飾りつけやソースなどに大活躍。

■その他

●「フルーツトマト」(高糖度トマト)

大きさに関係なく、糖度が特別に高いものを総称して「フルーツトマト」または「高糖度ト

マト」と呼ぶ。栽培時に水の量を控えることで果実に糖度やうまみが貯えられ、フルーツな甘く

て濃厚な味わいになる。糖度は一般的に8度以上で、サイズも普通よおり小さめで50~

120g程度、デルモンテの「フルーツルビーEX」やブランドトマトの「アメーラ」などがある。

●「ピッコラルージュ」

「シチリアンルージュ」と同じくマウロ氏が育成した糖度10度前後の甘いミニトマト。果皮は

赤色で「シチリアンルージュ」より濃厚で甘いのが特徴。

●「塩トマト」

品種名ではなく、土壌の塩分濃度が高い畑で栽培されたトマトを指す。生育時にあまり水

分を吸わないため糖度が高く、強い甘味の中に適度な酸味もあり濃厚な味わい。やや小

ぶりで果肉がしまっていて食感も良好。

●「調理用トマト」

加熱して食べるのに適したトマトの総称。基本的には縦長なものがおおく、生食だと酸味が

強かったりかたかったりするが、加熱することで甘味やうまみが引き出されて食味がよくな

る。

●「加工用トマト」

一般には流通せず、ジュースやソース、ピューレなどに加工される赤系トマトの総称。基本

的には契約栽培により生産され、赤い色素リコピンの含有量によって完熟したかどうかなど

一定の基準が設けられている。

  その他

■各地のトマト年間出荷量(2010年)全国合計73万2,800トン

1熊本(15%) 2北海道(7%) 3愛知(7%) 4茨城(7%) 5千葉(6%)

■トマトの見分け方

全体が赤く(赤系トマト)染まりずっしりと重いもの。皮に張りとツヤがあり、ヘタが緑色でピン

としているものが新鮮。ヘタが萎びて黒ずんでいるものは収穫してから時間が経っている。

お尻(果頂部)を見た時に放射線状にきれいなスジが入っているものは甘いと言われている。

■トマトの保存法

*新鮮でかたいものは常温(15~20℃前後)の涼しいところに保存。トマトに青みが残って

 いる場合は追熟するのでしばらく常温で保存。酸味もやわらぎ赤くなってくる。

*完熟したトマトはラップに包むか、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室にいれる。完熟し

 たらなるべく早く食べる。

■トマトに含まれる「リコピン」=赤い色素

トマトに含まれるリコピンは、「抗酸化作用」が強く、βーカロテンの2倍以上ある。抗酸化作

用とは、生活習慣病の原因となる活性酸素を除去する働きのことをいう。老化防止や発ガン

を抑える効果を持っているといわれている。

また、リコピンはメラニン生成にに必要な「チロシナーゼ」の働きを抑え、その結果、美白に

つながるといわれている。