ハツカダイコン(廿日大根、二十日大根)
アブラナ科ダイコン属の一年草で、ラディッシュとも呼ばれる。
■特徴
主に肥大した根、茎、杯軸を食用とする。ヨーロッパから中央アジアが原産で、日本には明治
時代に導入された。小型ダイコンの早生種で、根の直径は2cmほどで、品種によっては根の
形状や色は様々である。ふつう春・秋で30~40日、夏なら25日、冬でも50~80日で収穫
できる。
■選び方
*葉が生き生きしているものを選ぶ。葉は柔らかく美味しいので、洗ってサラダなどに無駄な
く使う。
*丸い根部の色鮮やかなもの、形はあまり味には影響しない。
■利用法
*ラディッシュの持ち味は可愛いサイズと表面の赤い色合い、そして大根らしい清清しい歯触
りと食味。それらを最大限に活かすには、主に生のまま薄くスライスしてサラダの色味やアク
セントとして使う。また、綺麗に飾り切りして添え物に使ったりする。
*スライスして葉の部分も刻み、味噌汁やスープの具に使う。
*浅漬けにしても美味しい。
*レシピクックパッド: http://cookpad.com/category/1286
*節約レシピ(URLが長いので短縮、「ラディッシュ」で検索)
http://www.kikkoman.co.jp/homecook/search
■保存法
新鮮なうちに食べるべき。葉つきのものは、買ってすぐに葉を切り落とし、湿らしたキッチンペ
ーパーなどにくるみ、密封して冷蔵庫で保存する。葉の部分は別にする。
■品種
*コメット(赤丸二十日大根):最も親しまれている丸くて赤い品種。発芽・生育適温15~20
℃、ほとんど周年栽培ができるが、夏の高温期は丸くならず、細長くなって形が崩れやす
いのが唯一の欠点。
*レッドポピンズ:サクサ系の交配種で耐高温性の夏用二十日大根。コメットより生育が3~
4日遅い中早稲種。葉は灰緑色で、根部はカブ形の扁円球で緋紅色。根径は2~3cm位
で肉質緻密。特に耐暑性が強く高温栽培に適し、根部が細長くならず順調に育つ。
■スプラウト
スプラウトポットで簡単にハツカダイコンのスプラウト(種子を発芽させ杯軸と子葉を食用とする
新芽作物)が手軽に栽培できる。要領は貝割れ大根と同じ。
カブ(蕪)
アブラナの一種で、チンゲンサイや菜の花、キャベツなどの仲間にあたり、日本では古くから親
しまれてきた野菜(根菜・葉菜類)の一つで、全国各地で沢山の品種が栽培されてきた。また、
その呼び名も様々あり、「カブラ」、「カブナ}、「カブラナ」、「スズナ(鈴菜、菘)」などがあり、江戸
時代は、漢語で蕪青(ブセイ)、蔓青(マンセイ)、扁羅蔔(ヘンラフク)などと呼ばれていた。
■概要
*アフガン原産のアジア系と中近東から地中海沿岸原産のヨーロッパ系の2変種に分け
られる。
*「カブ」の語源は諸説あり、頭を意味する「かぶり」、根を意味する「株」、または、カブラの女房
詞である「おかぶ」からなどである。
*別名「すずな」は春の七草の一つ。
*『古事記』の「吉備の菘菜(あおな)」がカブと見られるほか、『日本書紀』では持統天皇がカ
ブの栽培を推奨したと記されている。
*肥大した根を可食部として利用するが、この部位は正確には根ではなく「杯軸」で、根はその
下に伸びたヒゲ状の部位で通常は食べず切り捨てる。漬物用の日野菜かぶや薬味用の遠
野蕪ではこの杯軸部分が大根のように長く伸びる。一方で野沢菜では、ここが肥大しない。
■別種・・・根が太る特徴的な姿から、「カブ」の名を冠することがある。
*ハツカダイコン(赤カブ):ダイコンの変種
*食用ビート(血カブ):アカザ科ホウレンソウの仲間
*野沢菜(カブナ):別変種であるほか、アジア系の天王寺カブの子孫と言い伝えられて
いたが、ヨーロッパ系カブに近いことがわかった。
■根(杯軸)も葉もおいしい
根(杯軸)は淡色野菜で、葉は緑黄色野菜。
■品種
*小かぶ(金町こかぶ):最も生産量が多い。関東を中心に周年栽培。根は純白で柔らか。
*天王寺かぶ:大阪天王寺付近で生まれた白い扁球形のカブで、中型かぶの代表品種。
*温海かぶ:山形県の山間地帯温海町で焼畑栽培されていた庄内藩名産の赤かぶ。
*聖護院かぶ:5kgほどにまでなる日本最大の白くて丸いカブ。京都名物の千枚漬けに
される。
●天下分け目の関が原
カブの品種は、愛知県ー岐阜ー福井を結ぶラインでおおまかに分けられる。東の西洋系は寒
さに強い品種が多く、西のアジア系日本型は気温に敏感で、とう立ちしやすい品種が多い。
■カブの主な産地と生産量(平成22年全国のカブ生産量ランキング)
*全国計144,600t
*1位千葉県41,800t(28.9%)で圧倒的に多い。
*2位埼玉県18,400t(12.7%)
*3位青森県8,280t(5.7%)
■カブの旬
小カブは通年出荷されているが、寒い時期のほうが甘みも増しておいしい。11~1月頃。
■名物にうまいものあり
*千枚漬け:京都特産の聖護院かぶをごく薄切りにし昆布、唐辛子とともに酢漬けにしたも
の。かつての乳酸菌発酵は行わない浅漬けである。聖護院かぶの生産時期(11月~翌年
3月)に合わせて漬け込みが行われ、販売時期もこの時期に限定される旬の漬物である。
*すぐき漬け:京都上加茂の特産品。カブの変種である酸茎菜(すぐきな;酸茎鏑ともいう)を
原材料とする乳酸発酵漬物である。塩を使わず、味付けもしない調味なしの日本唯一の自
然漬物といわれる長野県木曽地方の「すんき漬け」に対して、京都の「すぐき漬け」は塩を用
いる伝統的な京浸物の一つである。暖かい室(むろ)で乳酸発酵させる。
*赤かぶ漬け:飛騨高山地方の王滝かぶなどの赤かぶを食酢、塩、砂糖で漬けたほ
どよい酸味の漬物。
*すんき漬け:長野県木曽地方に伝わる伝統的な発酵食品で、カブナの漬物の一種で無塩
乳酸発酵を行うことに特徴がある。地元ですんき菜と呼ばれるカブナを材料とした、在来の
の漬物の一種である。独特な酸味としゃきしゃきした食感を持つ食べ物として食べられる。
塩分を含まないので適当な長さに切り、削った鰹節と醤油をかけてご飯と一緒に食べる
か、茶漬けにして食べる。
(料理の例)
・すんき汁:細かく刻んで味噌汁に入れたもの。さっぱりしている。
・すんきそば:すんき漬けを、乾ししめじ、煮干しなどで作る出汁つゆに入れて煮、茹でた
そば切りにかけて食べる料理。