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104 鰯

2012-10-04 01:37:29 | 雑記

 イワシ(鰯・鰮・鰛)

狭義には、魚類ニシン目ニシン亜目の複数種の小魚の総称。日本で「イワシ」といえば、ニシン

科のマイワシウルメイワシ、カタクチイワシ科のカタクチイワシの計3種を指す。

★名前の由来

外圧に弱く水を離れれば直ぐに死ぬ意、または他の魚の餌になってしまう意の「弱し」から転じ

たとする説や、卑しい魚の意で「卑(いや)し」が転じたとする説がある。

 マイワシ(真鰯・真鰮)

マイワシは東京や新潟での呼び名で、「真」はイワシ類の代表的なものの意。別名はイワシ・ユ

ワシ(各地)、ナツボシ(七つ星、関東の市場)、ヒラゴ(平子、日本海側)など各地で様々な呼

び名がある。また出世魚で、シラス・マシラス(稚魚)、カエリ・アオコ・ヒラゴ・タツクチ(数cmの

幼魚)、コバ(小羽、10cm前後)、チュウバ(中羽、15cm前後)、オオバ(大羽、20cm以上)

などと呼ばれる。

★特徴

成魚の全長は30cmに達するが、20cmくらいまでの固体が多い。体は背は青黒く、側面から

腹にかけて銀白色、また体側にに縦に並ぶ黒い斑点がある。別名のナナツボシもこの斑点に

由来する。他のイワシ2種との区別は、斑点があることと、体の側面が比較的左右に平たいこ

とで区別できる。

★生息域

沖縄を除く全国各地。樺太から南シナ海までの東アジア沿岸域。

★生態

産卵期は12月~7月と比較的長く、南のものほど早く、2~5月が最盛期となる。産卵は夕方

から深夜までに、水深数十mで行われ、メスは3万~5万粒の卵を数回に分けて産む。受精

卵は2~3日で孵化し、体長2mmほど、半年で6cm前後になる。1年で10cm前後、2~3

年で20cm前後に育つ。

★一般的評価

スーパーなどで頻繁に見かけるが、鮮魚・加工品とも国産であれば決して安くない。古くは

青魚などといい、好き嫌いの出る魚であったが、近年は流通手段の発達から、刺身でも煮て

も焼いても好まれている。加工品はスーパーなどでは定番的なものになっている。

★水産基本情報

鮮魚は途切れることと無く入荷してくる。値段は平均的かやや高め。

*漁法・・・巾着網、巻き網、定置網

*主な産地(2010年水揚げ量、単位百トン)

  1茨城(286) 2千葉(116) 3神奈川(58) 4三重(56) 5静岡(46) 5島根(37)

 6福島(28) 7愛知(25) 8高知(15) 9東京(12) 全国計(734)

★雑学

*節分に鰯の頭を柊(ひいらぎ)の枝に刺し、戸口に立てる習慣がある。節分に訪れる鬼が

 柊の棘で目を刺し、鰯の臭いで逃げ出すようにという魔除けの意味。

*「和泉式部鰯くいし歌」として

 「日のもとに はやりまいらせ給ふ いわし水 参らぬ人は あらじとぞ思ふ」

 鰯は卑しい下等な魚だが、栄養豊富なことで認められており、たまに貴族の食膳にも上が

 ったようだ。室町末期の伽草子の『猿源氏物語』には、和泉式部がイワシの日干しを好ん

 で食べたという記録が残されている。ある日、和泉式部がイワシを美味しそうに食べてい

 ると、夫の藤原保昌が「下魚を食べるのはみっともない」と冷やかした。すると才媛である

 彼女は即興でイワシをおり込んだ和歌で応酬した。

 この日本で有名な岩清水八幡宮にお参りしない人なんていないんじゃないかしら。

 (それと同じように、こんなに美味しいイワシを食べない人なんているのかしら?)

*紫式部にも同様なエピソードがあるが、後世の創作と考えられる。

*宮廷の女房言葉でイワシのことを「御紫(おむら)」「紫(むらさき)」と呼んだ。

*鰯雲は巻積雲(けんせきうん)の通称。小さな雲片が無数に連なる雲形。名前の由来は

 イワシの群れに似ているからとも鱗(うろこ)に似ているからとも言われる。(漁師仲間で)

 イワシの大漁の前兆と言われる。鰯雲が出たら3日のうちに雨(確率70%)。

★選び方

って丸みを帯び、触ってぬめっとした感触のものがいい。細く硬いものは脂が少ない。

つやのない色合いの鈍いもの、鰓に赤みがなく黄色くなったものは避ける。

★味わい

旬は夏から初冬。最近ではイワシは最もクセがなく万人向けの魚となっている。料理法も

多彩で、焼く、煮る、揚げる、ときには蒸すなど重宝する。旨味が強いので煮干にしても優

れている。旬の脂ののったマイワシは刺身にするとトロっとして美味しい。

★栄養成分

ビタミンB2、B6、B12、D、E、鉄、カルシウムが豊富

★機能成分

EPA(エイコサペンタ塩酸)、DHA(ドコサヘキサ塩酸)が豊富。動脈硬化予防(血液をサラ

サラにする)、中性脂肪を下げる効果がある。メタボリックシンドロームの予防・改善したい

人にお勧め。

★調理法

刺身(カルパッチョ)、なめろう(みそたたき)、塩焼き、オイルサーデイン(オイル煮込み)、

フライ、天婦羅、煮物、鍋物、その他色々。

★好んで食べる地域

*金沢周辺の郷土料理の「いわしの塩いり」:イワシを塩と酒を加えた湯で茹で、最後に湯

 を切って軽く空煎りするのがポイント。

*北九州周辺の「いわしのぬか(みそ)だき」:糠みそを煮付けのだし汁として新鮮なイワシ

 を炊いた料理。「じんだ煮」とも呼ばれる。骨まで柔らく煮込んであるのでカルシウム摂取

 が期待できる。

*千葉県外房などで「いわしのなめろう」「いわしのさんが焼き」がある。

 「なめろう」:イワシを三枚におろし、捌いた身の上に味付けの味噌・日本酒とネギ・シソ・

 ショウガを乗せ、そのまままな板の上などで、包丁を使って粘り気が出るまで細かく叩いた

 ものである。元は地元の漁師が船上で作っていた料理であることから「沖膾(なます)」と

 いう別名もある。

*いわしのちり・・・北九州市、博多市などではマイワシを鍋物にする。昆布だしで煮ながら

 食べるいわゆる「ちり鍋」。

 ★加工品・名産品

*おからを使った寿司・・・マイワシを酢で味付けしたおからをすし飯に見立てたものが各地に

 残る。「いわしのおかべ」「あずまずし」「おまんずし」「まるずし」

*くさりずし・・・千葉県九十九里などで作られるマイワシのなれずし。塩漬けしたマイワシをご

 飯とつけ込む。

*よしる・・・能登半島で作られる魚醤「よしる」の原料。よしるは醤油のようにつけて食べる。

 鍋物の味付け、野菜などの漬物の味付けにも使われる。

*ひらご煮干・・・主に日本海側で作られる煮干。

 ウルメイワシ潤目鰯

日本では、他の2種(マイワシ、カタクチイワシ)とともにいわゆるイワシの一種として重要な

水産資源となっている。名前の由来は大きな目が透明な脂肪の膜に覆われて、潤んだよう

に見えるから。地方名はウルメ(各地)、ダルマイワシ(新潟)、ドンボ(富山)などと呼ばれる。

★特徴

成魚は30cmほどになり、マイワシより大きくなる。体色は背中側が暗青色、腹側が銀白色

で他に目立つ模様はない。腹側に稜鱗がない。腹鰭が背鰭より明らかに後ろにあることで他

の2種と区別できる。

★生息域

本州以南、特に暖流に面した沿岸海域に多い。

★生態

春から夏は北上、秋から冬は南下するという季節的回遊をする。夏は北海道沿岸にも出

現する。海面近くで群れをなして遊泳するが、群れの規模はマイワシより小さい。産卵期は

10月~翌年6月にかけてで、盛期は冬から春。南方ほど早い。 1年で13cm前後、2年で

17cm前後、3年で20cm前後になる。

★一般的評価

一般的には目刺など干物として出会うことが多い。干物は高級品ともいえそう。しらす、ち

りめんなどにも混ざるが少ない。鮮魚ではあまりお目にかかれない。市場など流通の場所

では珍しくはないが、スーパーなどで売られることは稀。

★水産基準情報

市場での評価は、干物原料と考えられている。ときに纏まって入荷しても価格は安い。冬に

は脂がのり一部で人気がある。

*漁法・・・巻き網、刺し網、釣り

*主な産地(2010年度水揚げ量、単位百トン)

  1島根(103) 2長崎(66) 3宮崎(63) 4鹿児島(54) 5三重(50)

  6熊本(30) 7高知(29) 8山口(20) 9大分(15) 10愛媛(13)

★選び方

干物は脂焼けしていないもの。ふっくらと膨らんで、表面がきれいなもの。鮮魚は硬く、鰓が

赤いもの。触って柔らかい、腹が割れているものは避ける。

★味わい

旬は冬。脂が乗る時期は鮮魚としても旨いが、それ以外は専ら干物になる。これは全般に脂

が少ないから。加工し干してはじめて旨いといった魚である。

★調理法、

 干物、刺し身(酢じめ)、唐揚げ

★食べ方

干物は絶品。比較的よく干して作るのがウルメイワシならでは。高知県などでは、釣り物の大

きなウルメを丸干しにする。寒くなると脂が乗り、この時期の刺し身は絶品。酢でしめても美味。

★好んで食べる地域

*刺し身・・・千葉県外房では冬期にあがったものを好んで刺し身にする。

★加工品・名産

*干物・丸干し・目刺し(ウルメイワシの目刺し・頬刺しは高級品で人気が高い)

 目に串やワラを刺したものが「目刺し」、鰓から通したものが「頬刺し」である。

高知県のウルメ干し:小型船によって秋から冬にかけて一本釣りされている。この大型の

 ウルメイワシを干物にしたものが、高知名産になっている。

 その他

カタクチイワシは明日投稿します。明日は「105 トウゴロウイワシ」です。