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1028 もめんの日

2012-10-28 02:06:17 | 雑記

愛知県尾西市の天竹(てんじく)神社には綿が伝わったという伝説がある。10月の第4日曜日には「棉

祖(めんそ)神」のお祭りが行われる。それに因み「もめんの日」は制定された。

 もめん(木綿・木棉)

もめんはワタの種子から取れる繊維。ワタはアオイ科ワタ属の総称。もめんは種子の表皮細胞の周り

に付いた細い繊維状の綿毛のこと。これが集まった子房の部分をコットンボール(日本では桃)と呼び、

繊維の成長が熟すとコットンボールが弾けて、中から白い綿毛が顔を覗かせる。その様子が花のよう

に見えることから綿花と呼ばれる。

ワタ属の栽培種には、4大種と呼ばれる相互に異なる野生種に由来する系統がある。これらは相互に

交配できないとされる。

●オーストラリア野生綿(スツルチアヌム)・・・オーストラリア

●アジア綿(アルボレウムとヘルバケウム)・・・アジア・アフリカの野生種と栽培種

●アメリカ野生綿(アルモウリアヌム)・・・北米西南とガラパゴス島

●アメリカ栽培綿(ヒルスツム)・・・北米、南米、アフリカ、太平洋諸島

※和綿は、古くはインドに発達し、中国や日本に伝わったアルボレウム(アジア綿)と呼ばれる種類。

和綿の特徴:

下向きに実(朔果)がなる。

綿花は比較的小粒で弾力がある。

綿毛が太く短い。

■もめんは単にめん(綿・棉)とも言う。摘み取ったまでの状態を棉、種子を取り除いた後のものが綿

だが、棉・綿を区別しないことも多い。

■性質

ワタの種子は硬い朔果(サク)の中にあり、成熟するとはじけて綿花が現われる。サクの中は数室に分

かれ各室には数個の種子があり、それに綿毛が密生している。この綿毛は種子の外皮細胞が変形し

たもの。生の綿毛は管の中に水を入れたようなもので、熟するにつれて中の水分が涸れて中空になり

、更に全く乾燥すれば、綿毛はよじれてくる。

■材料

綿毛には長く伸びた繊維と短い地毛がある。繰綿(くりわた)機で実綿から分離された長繊維をリント

または繰綿(くりわた)と呼び、次いで地毛除去機で分離された地毛主体の短繊維をリンターまたは

繰屑綿と呼ぶ。リントは紡績し、綿糸・紐・綿織物製品や装飾品、または不織布あるいはそのままの

形で医療・衛生用品、ぬいぐるみ等の充填物(中綿)として広く使用される。リンターは紡績材料には

ならないが、リンターパルプ、レーヨン、セルロース誘導体調整の材料になる。

■歴史(麻から木綿への変化

戦国時代に木綿は日本に入るが、最初は普及しなかった。

苧麻(ちょま)は1反(成人の着物1着を作るのに必要な量)織るのに40日くらいかかるのに対し、木

綿ではおよそ4日で織ることができる。ワタの栽培が日本で始まり、衣料に木綿が普及すうようになる

と(織る)その作業量の少なさから急速に普及したようだ。

作物として木綿は必ずしも日本の気候に適したものではなかったが、それまでの日本にあった衣料

向けの繊維であった苧麻(ちょま)・大麻(おおあさ)に比べ繊維の質がよく、収穫後の加工も容易であ

った。また木綿の服は藍染めとの相性がよく、藍の栽培も木綿の普及にに伴い拡大する。更に都市で

は夜に起きて生活するようになっていたが、農村でも夜仕事をするようになり、ナタネ油の必要性が

増し、ナタネ栽培も増加した。ナタネは冬作物で、稲やワタと競合することもなく好都合だった。

こうしてワタ・アイ・ナタネという工芸作物は農業だけでなく、農産加工、流通を通じ日本の社会を大

きく変えていく。

ワタは畑だけではなく、水田にも植えられるようになる。水田に畝(うね)を立て、畝にはワタを、稲を

溝に植える半田(はんだ)という栽培方式も考え出された。

ワタは水ばかりでなく肥料も多量に必要。綿毛の繊維は基本的には光合成生産物に由来するセルロ

ースからなり、光合成の量が多ければ繊維は多くなるので、窒素を中心とした肥料を多く与えると多く

生産できる。ワタは種子の周りの綿毛を収穫するので、施肥を増やせばそれによく反応して収穫量は

増える。それで干鰯(ほしか)など金を払って肥料を購入しワタを栽培するようになった。刈敷きや下

肥などの自給的な肥料から購入する肥料の転換は、日本農業の近代化をいろんな面から進めること

になる。例えば肥料を購入するわけだから経営的観念が生まれ、肥料を効果的に施用するため施肥

を分けて与える分施技術なども考案された。除草・中耕などの集約的管理をワタ栽培は要求する。

したがって労働力を効率よく割り当てる必要も生まれる。更にワタは周到な栽培を要求するが、うまく

栽培すれば高い収益を約束したので農家は勤勉になった。それまでの日本ではいくら働いてもその

働きに応じて収入が増えるわけでもなかった。一方農繁期には勤勉に忙しく働き、農閑期には祭りや

神社仏閣へのお参り、旅などを楽しむようになった。

そしてワタは製品である着物になるまで、様々な工程を経る。江戸時代には村々に紺屋があった。

江戸時代後半になるとワタの栽培の中心が畿内(奈良、大阪)などから東海、関東、山陽、山陰に移

り始める。ワタの栽培が全国的に広がった結果、もめんの価格は低下し、一方、肥料の需要が拡大

し、肥料の価格は高騰する。山陰のワタ栽培は肥料の干鰯の量を少なくし、代わりに中海、隠岐、山

陰海岸に豊富な海藻を肥料にした。安価な肥料によって山陰地方のワタ栽培は明治時代に発達し

た。しかし、日本で栽培できるワタでは、太くて短い繊維の綿花しかとれなかったため、新型の紡績

機が登場すると不適当になった。結局。外国産綿花の関税が撤廃されると、ここで日本のワタ栽培

は事実上終焉することになった。

 わた(綿)

わた(綿)は、繊維または繊維状のものが絡み合って、ひとまとめの状態になっているもの。

現代日本では通常、ワタから取られた木綿(もめん)を意味する。しかし戦後時代に木綿綿が普及

する以前の古代や中世では、蚕の繭から作られた絹の真綿を意味するのが普通である。

現代でも布団や座布団の中の詰め物は、繊維の種類を問わず「綿(わた)」と呼ばれる。

■綿の種類

●木綿(もめん)・・・ワタのわた。布団の詰め物などに用いられる。

●木綿(きわた・もくめん)・・・キワタの種子からとるわた。 

●木綿(ゆう)・・・楮(こうぞ)の木の皮を剥いで、蒸した後、水にさらして白くした繊維。

●真綿(まわた)・・・絹繊維による「わた」。保温性・通気性・吸放湿性が良く軽い。高級詰め物。

●パンヤ(カポック)・・・カポックの果実から取る「わた」。吸油性にすぐれる。

●麻綿(あさわた)・・・麻繊維による「わた」。吸放熱性が良く、さらっとした肌触りが特徴。夏用布団。

●羊毛綿・・・羊毛繊維による「わた」。弾力性・吸湿性・吸放熱性に優れる。

●合成綿・・・合成繊維による「わた」。主にポリエステル製が多い。木綿綿の2倍のカサがあり、保湿性

 に優れ、軽く、体に馴染みやすい。木綿綿と混合されて使われる場合が多い。