10月は「て(ten)」の語呂合わせと10本の指から、29日は「ふ(2)く(9)」(拭く)の語呂合わせで、
「手を拭く」の意味から、日本おしぼり協同組合連合会が2004年に制定した。
おしぼり
■歴史
おしぼりは、日本では客向けに飲食店などで使用される手を拭く道具で、「(お)てふき」とも言われる。
おしぼりの歴史は、古くは『古事記』、『源氏物語』の書かれた時代まで遡ると考えられる。おしぼり
の前身となっているものは公家が客人を持て成す際に出される「濡れた布」。江戸時代になると木綿
の手ぬぐいが普及し、旅籠(はたご)と呼ばれた宿屋の上がり口に、旅人をもてなすために、水を張っ
た桶と手ぬぐいが用意され、客は手ぬぐいを桶に浸して水を絞り、旅で汚れた手足をぬぐった。この「し
ぼる」という行為が「おしぼり」の語源になったと言われている。
現在のようなレンタルを中心としたおしぼり専門業者が登場したのは、昭和35年(1960年)前後で、
戦後復興と高度経済成長にあわせて、外食産業などと共に発展した。現在関東地区1都6県で、組合
に所属する業者が取り扱う貸しおしぼりの出荷本数は週間約5,600万本、1日当たり実に800万人
の人々に使われている。
■おしぼり「行間」に潜むもてなしの心
「おしぼり」。もとは木綿のタオル。それが水の重みを含み、二つ折で丸められ供されると、単なるモノ
でなくなる。付け加わるのは、お客さんを迎える人の真心そのもの。言葉はいらない。暖かさや肌触
りといった感触を入り口に、客は「おしぼり」の行間に潜む「もてなしの心」を感じ取るのかもしれない。
おしぼりを使ってまず感じるのは「ほっとする」こと。暑い日のツメシボ、寒い日のアツシボで「あ~」と
か「う~」とか思わず声が出てしまうのも、大脳生理学的には体性感覚のシグナルが脊髄、延髄、視
床やらを駆け巡っているそうでしごく当然のこと。おしぼりはとかくストレスを感じる現代社会において、
ささやかながら一時(いっとき)のリラックス感を与える癒し系のサービスなのである。
■おしぼりに関する意見
※「四季がはっきりしている高温多湿な風土だからこそ、おしぼりの爽快感は魅力的。本題に入る前
に”ため”を作りたがる日本人の所作にあっていた」
※「例えば『愛している』と思っていてもそのまま口には出しにくいでしょう?チップを払う習慣はない
し。恥ずかしがり屋で笑顔も苦手。(そんな)日本人だからこそ編み出せたもてなしの形だと思うん
です」「そんな寡黙なコミュニケーションは文字通り空を飛んで世界に知れ渡っていく」→日航のおし
ぼりサービス
■「もてなす(持て成す)」とは「ご馳走で歓待すること」。しかし、「表裏なし」が語源という説もある。
表も裏もなくまごころで接することで、そこには英語のサービスという言葉にはない温かみがある。
手拭(てぬぐい)
手拭は汗や手や顔を洗った後の水を拭ったり、入浴時に体を洗ったりするための木綿の平織りの布
である。その他寒暑除けや塵除けなどの目的や祭礼において装身具として頭にかぶるものである。
江戸時代にほぼ現在と同じの大きさ約90cmX35cm程度になった。手拭の端が縫われていないの
は、清潔を保つため水切れをよくし早く乾くようにという工夫である。
染物としては、晒(素地、白地)のものや、藍染めなどを施しただけの無地や、無地や白地に柄を施し
たものがある。本来日本古来のものを指すが、明治時代に西欧からもたらされたタオルを含むことも
ある。
■歴史
手拭の歴史は、日本の織物の歴史でもあり、古くは麻や絹でできた平織物であった。平安時代から
養老律令の衣服令により、庶民は麻を高貴な者は絹織物を使用した。綿は主に中国大陸から輸入
され絹より高価であったが、江戸時代初頭前後に、日本で大々的に栽培されるようになり普及した。
また用途においても神仏の清掃以外では、神事の装身具や儀礼、日除けなどにおいての被り物(
簡易な帽子や頭巾)であったとされ、木綿が普及するにつれ、手拭きとしての前掛けなどの役割を
帯びていったと考えられる。
●江戸時代
江戸時代木綿の着物がよく作られるようになると、手拭は端切れなどからも作られ、生活用品として
庶民に欠かせないものになった。このころから「手拭」と呼ばれるようになり、入浴に使われたものは
「湯手(ゆて・ゆで)とも呼ばれた。
また、実用だけでなく、自身を着飾るおしゃれな小間物として、己の気風や主義主張を絵文字の洒
落(しゃれ)で表し、染め抜いたものを持ち歩いたり、「手拭合わせ」などの品評会も開かれるなど、
庶民文化として浸透していった。
職業による手拭の被り方にも差異が生まれ、芸能や舞踊の「見立て」としての小道具として使用され
たりもした。その他に贈答、餞別、心付け、大入り、不祝儀などとして配られた。
この時代には、手拭は手拭染屋といわれる専門の染屋があり、意匠が複雑に詳細になるにつれ、染
色業の細分化もあり染色の技術も向上していった。
●明治時代
「注染」という染色技術が新たに考案され、もっと複雑な図柄にも対応できるようになり、繊維産業の
隆盛とともに染色の技術も普及していった。ただし、文明開化とともにタオルやハンカチといった物の
流入や、日本古来のものは、古い時代遅れといった風潮から排斥されたり廃れる傾向にあり、手拭
もその一つであった。
●現状
もともと布巾(ふきん)と呼ばれる生活必需品は晒し手拭・晒し木綿といわれるものが原型。ガーゼや
包帯などの役割から、今日のタオル、雑巾やハンカチなどの役割を担っている。そして現代日本での
日常生活では、タオルやハンカチの使用が多いが、手拭は廃れたわけではない。
粗い平織りの手拭にはタオル地の製品にはない利点があり、農作業、伝統芸能、祭り、剣道などでの
被り物、ヘルメットの裏地、鉢巻、目隠し、汗ぬぐいなどとして、あるいは布巾として今なお利用されて
おり、古来から慣習として商店などの贈答品やイベントの際の記念品としての需要も少なくない。近年
では見直され、風呂敷同様の包装としての利用法の提案もあり、いろんな柄の手拭が和小物や手芸
店等で見られるようになってきた。
タオルの種類
タオルと一括りに言っても、いろいろな種類があり、目的に適したサイズ、重さ、厚さなどがある。
乾いた状態で使うドライユースと濡らして使うウェットユースに大きく分けられる。一般的にドライユース
のタオルはボリューム感があり、ウェットユースのタオルはもともと手拭の用途をタオルに流用している
ため、薄手であることを良しとされる。
■ドライユース(乾いた使い方)
濡れた体や顔、髪の毛などを拭くことを目的として作られている。従って、吸水性や給水容量の大きい
ものが要求され、ウェットユースのものに比べ厚手。(例)バスタオル、フェイスタオル、ウォッシュタオ
ル、スポーツタオル。タオルケット
■ウェットユース(濡らす使い方)
お湯などにつけて濡らした状態で使うことを目的として作られている。代表例として浴用タオルがあり
水を含んだ状態で使いやすい仕様とサイズを持ち、絞りやすく、乾きも早い。(例)おしぼりタオル