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こんな記事が・・・FRBを悩ます弾不足(NY特急便)

2019-09-07 09:11:45 | 日記
FRBを悩ます弾不足(NY特急便)
NQNニューヨーク 松本清一郎
北米
2019/9/7 6:46日本経済新聞 電子版

6日のダウ工業株30種平均は3日続伸し、一時は2万6860ドルと7月に付けた過去最高値まであと1.8%に迫った。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長がスイスの討論会で「景気拡大を続けるため適切に行動する」と追加利下げを示唆し、買い安心感が広がった。

パウエルFRB議長は追加利下げを示唆

パウエル氏は「FRBは(市場の)金利見通しを押し下げるように対応し、米経済を支えてきた」と自らの政策運営を自賛した。米中貿易摩擦が企業の投資意欲を冷やしていると懸念しつつ「我々の道具を使って対応する」と政策面で支援する考えを強調した。

6日朝に発表された8月の米雇用統計も市場の利下げ期待を補強する内容だった。景気を映す非農業部門雇用者数は前月比13万人増と市場予想(16万人)を下回った。50年ぶりの低水準にある失業率は3.7%で前月と同じ。雇用は好調を続けつつも徐々に勢いが鈍っており「利下げ方針は変わらない」とみなされた。

企業収益の減速、米中の貿易摩擦と株式市場には逆風が吹く。その中で株価が再び過去最高値を視野に入れているのは、市場に優しいFRBの対応を期待しているからだ。JPモルガン・チェースのエコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「年内3回ある米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ずつ利下げする」と予想する。

しかし、FRBを悩ます政策の「限界」も頭に入れておく必要がある。政策金利のフェデラルファンド(FF)金利は現在2.00~2.25%。1回の利下げを0.25%とすれば8回で弾は尽きる。年内に3回実施すれば残りは5回だ。戦後最長の11年目に入った景気拡大期が終盤に差しかかっているとすれば、中央銀行の弾薬庫としては心細い。

7月のFOMCで利下げに反対票を投じたボストン連銀のローゼングレン総裁。3日付の米ワシントン・ポスト紙で「利下げを急ぎすぎれば、より大きな問題が発生した時に持てる力が枯渇する」と警告した。

利下げが無理なら量的緩和策があるが、再導入は難しい。長期金利が低下し、利回り曲線が平たん化している状況では「長期債を買って企業の借り入れコストを減らすという量的緩和の目標は機能しない」(バンクオブアメリカ・メリルリンチの金利ストラテジスト、マーク・カバーナ氏)ためだ。長期債を買って、短期債を売る「ツイストオペ」も意味がなくなる。世界的な金融危機に対応し、09年にFRBが量的緩和第1弾(QE1)を導入した際は10年債と2年債の利回り差は2%あった。

手詰まりになれば、日銀のようにマイナス金利やイールドカーブコントロールなど「非伝統的政策のさらに外縁にある手段」(カバーナ氏)に出ざるをえなくなるかもしれない。FRBはそこまで視野に入れているだろうか。

連日の株価上昇で主要500社ベースの予想PER(株価収益率)はほぼ17倍に達した。過去1年のパターンでは米株相場はPERが17倍を超えると割高感が意識され、悪材料に反応しやすくなる。閣僚級の貿易協議を再開する米中が劇的に和解でもすれば、足元の株高は正当化されるだろう。そこまで楽観できないなら、FRB頼みの株高には警戒が必要だ。

(NQNニューヨーク=松本清一郎)

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