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日本郵政 ゆうちょ株売却はグループ崩壊の序章か 郵便局の統廃合加速も 2023/05/16 11:00産経新聞

2023-05-16 16:35:29 | 日記
日本郵政 ゆうちょ株売却はグループ崩壊の序章か 郵便局の統廃合加速も
2023/05/16 11:00産経新聞


日本郵政が保有するゆうちょ銀行株の売却を始めた。今後も売却を進める見通しで、日本郵政は完全処分にも言及している。いよいよ郵政民営化は最終段階に入ったともいえるが、日本郵政グループの圧倒的な稼ぎ頭であるゆうちょ銀行の株式売却が進めば、グループ一体のビジネスモデルが揺らぎ、郵便局の統廃合の加速など国民生活にも影響が出ることが懸念される。

日本郵政がゆうちょ株を売却したのは今年3月。売却は平成27年11月の同社、ゆうちょ銀、かんぽ生命保険の3社同時上場以来、初めて。ゆうちょ銀による自社株買いも含めて、日本郵政の保有割合は約89%から約62%にまで低下した。

日本郵政は依然として、ゆうちょ銀の筆頭株主。だが、保有割合が3分の2を割り込んだことで、株主総会での特別決議を無条件で議決することはできなくなった。事業譲渡や定款変更など、ゆうちょ銀の経営にかかわる重要な事案を一存で決めることが難しくなったのだ。

利益の7割をゆうちょ銀に依存

一方のゆうちょ銀にしてみれば、経営の自由度が増す。15日の決算会見でゆうちょ銀の池田憲人社長は「民営化、株式上場、3月の(日本郵政による)株式売却と当行の民営化プロセスは着実に進行している」と語った。

同日発表された令和5年3月期連結決算では、グループの経常利益は6574億円だったが、うち約70%がゆうちょ銀によるものだ。

郵便局の窓口事業のうち、ゆうちょ銀からの委託手数料は直接・間接を合わせて5700億円を超え、同事業の営業収益の実に53%に上る。郵便局網はゆうちょ銀やかんぽ生命からの手数料収入によって支えられていると言っても過言ではないのだ。

ゆうちょ銀に全国一律サービス義務はなし

グループの中期経営計画「JPビジョン2025」では、期中の早期に「(ゆうちょ株の)保有割合を50%以下とすることを目指す」と明記している。さらには、「株式の完全処分後」にも言及している。

日本郵政の増田寛也社長は15日の決算会見で「資本関係が薄れていっても、郵便局を核として、ゆうちょ銀やかんぽ生命がある」とグループ一体のビジネスモデルを強調した。だが、グループ内からも「資本の論理でいえば、株式を完全処分したら一体であるわけがない」との声が漏れる。

しかも郵政民営化法で金融を含めたユニバーサル(全国一律)サービスを義務づけられているのは、日本郵政とその完全子会社の日本郵便だけ。ゆうちょ銀には、全国の郵便局窓口に業務委託をしなければならないという法的根拠はない。

日本郵政以外のゆうちょ銀の株主が郵便局への委託をいつまで容認するかは不透明だ。保有割合の低下、さらには完全処分でグループの業績への寄与度は著しく落ち込む。とりわけ収益力の乏しい日本郵便では現在進行中の3万人相当の人員削減に加えて、新たなコスト圧縮が求められる公算は大きい。

郵便事業では、普通郵便の土曜休配や配達日数の緩和などに踏み切って間もないが、さらなるサービスの低下も予想される。そして、全国に約2万4000局を展開する郵便局の統廃合の議論も避けては通れない。

増田氏は「経済合理性だけで、郵便局を整理していくことは適切ではない」と強調する。だが、ゆうちょ株の売却はグループの一体感を低下させ、郵便局統廃合などに向けた圧力を強めることは否定できない。(福島徳)

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