宗恒の茶庭

「茶道 思いつくまま」や「和の美術」など

引出し黒

2017-11-27 15:07:03 | 茶道
昨日の茶会で、遠州流では楽茶碗は使わないということ知りました。

そこで濃茶では《引出し黒》の茶碗が使われていました。


これは瀬戸や美濃で焼かれた黒い茶碗です。一見楽茶碗かしらと思いますが、まったく違います。光沢があって、今回は前面に渋い緑の釉薬が垂れている織部黒でした。

引出しという名は窯から出して急激に冷やすということで、鋏のようなもので引き出すからだそうです。

たまたまですが、今 柳宗悦の《茶と美》の本を再読していました。
宗悦は高麗の井戸茶碗の信奉者、茶のために作られた楽茶碗を相当嫌っています。

井戸茶碗は飯碗・汁椀として日常的に使われていた雑器。どういう人が造ったかは定かではない民窯品。
自然に生まれた茶碗である井戸茶碗に対して、茶を飲むために作られた物で作者がはっきりしている楽茶碗。
「無意識の作」に対して「意識の作」とか「無作為のもの」に対して「作為のもの」と違いを鮮明にしています。
井戸茶碗に無上の美を見出した茶の先人には宗悦は敬意を表しています。

宗悦の自説はちょっと激しさも感じますが、遠州流が楽茶碗を使わないということと何等か関係があるのでしょうか?
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2 コメント

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楽しそう (とおりすがり)
2017-12-30 10:07:42
茶道ブログをきょうから拝見し始め、ここを通り過ぎようとしましたが、楽しいしいのでお邪魔させていただきました。

井戸茶碗はその完璧さ故、神のために使われていた器、という説が出てますよ。

引き出し黒のことを知って本当に良かったです。肌は凹凸しているのですね。

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Re楽しそう (そうこう)
2017-12-30 17:35:03
初めまして。コメント有難うございます。
井戸茶碗については諸説あるようですね。
高台が高いので、茶碗を置いたままご飯を頂く朝鮮の風習には合わないとの説を読んだことがあります。
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