宗恒の茶庭

「茶道 思いつくまま」や「和の美術」など

柿右衛門の五色展 @戸栗美術館

2023-05-31 16:49:37 | 美術
濁し手と言われる白地に「赤」「青」「緑」「黄」「金」の五色で優美な絵付けをした【柿右衛門様式】は1670年代佐賀有田で完成されました。
その柿右衛門様式の器、お皿、香炉、壺が展示されています。

柿右衛門窯がそんなに古くからあったとは私の認識不足でした。早くも江戸初期には有田から【柿右衛門様式】の伊万里焼の磁器が西欧に輸出されていたのです。
西欧では東洋に匹敵するような磁器がまだありませんでした。【柿右衛門様式】の優品に驚き、ドイツのザクセン選帝侯はさっそくマイセンに王立磁器製作所を設立。そして【柿右衛門様式】の伊万里焼を模して花鳥文、竹虎文、甕割人物文・・など盛んに写されました。
それらの絵皿もいくつか展示されてましたが、白地を背景に細かく梅や鳥がそっくりに模写されていました。

濁し手の白の部分をたくさん残してそこに細かく5色で花鳥など繊細に描く【柿右衛門様式】は 華美ではなく、楚々とした控えめの美です。

18世紀にはこの【柿右衛門様式】が途絶えてしまいましたが、いろいろ制作方法の記録が残っており、昭和28年に250年ぶりに濁し手が12代と13代の柿右衛門によって甦りました。
昭和46年には「柿右衛門 濁し手」として 重要無形文化財の指定を受け、現代まで受け継がれています。

余談ですが、主人の実家から来た道具の中に、今回美術館で見た「竹虎梅樹文」ととても良く似たお皿があります。大きさも縁の感じも、虎の形も、梅も色合いが良く似ています。しかも裏には小さな目土が3個付いているのも似ています。


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送別会

2023-05-24 17:49:17 | 茶道


今日水曜クラスでは お稽古の後、お引越しされる生徒さんの送別会をしました。
水曜クラスは日の出も早くなったのでサマータイムを導入。朝8時半から稽古が出来るようにしています。
今日は送別会があるので小習いの荘り物のお点前で早めに切り上げて、後はゆっくり引っ越される方を囲んでの茶話会を。
普段買ったことになかったドーナツ、とフルーツゼリー、紅茶も添えて・・・ドーナツはこの頃いろいろな種類があって半分に切ってお互いにシェア。

いろは歌のように ”我が世誰ぞ 常ならむ” です。 ずっと同じ状態が続くことはありえません。

とても熱心にお稽古に励まれていらした方なのに残念ですが、お引越し先でまた茶道を続けられると思います。

私も振り返ってみますと大学時代、就職してから、結婚してからなどの生活の変化に応じて茶道の先生も何人か変わりました。
それぞれ先生の個性も、ご性格も、お教え方法、お教室の雰囲気も違ってとても良い経験をしました。

「お元気でね」と最後に握手させていただきました。

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明治美術狂想曲 @静嘉堂文庫@丸の内

2023-05-21 18:32:20 | 美術


静嘉堂文庫は世田谷から丸の内に引っ越されました。今日そこへ初めて出かけました。
入ってすぐのロビーは天井が高く、広く椅子も沢山あり、明るいです。
展示室は4部屋でこじんまりしていて展示品の数もちょうどよい数のよう感じました。

明治時代に入り、天皇制になり、幕藩制度が無くなりました。
そして西洋文明がどっと入ってきて世の中がガラッと変わった時代です。

油彩画が外国から入り画家は油彩画を描くようになったり、欧米に好まれる華麗な日本の工芸美術品が沢山輸出されました。欧米人に好まれそうな有田焼や薩摩焼の華麗なお皿や、大きい花瓶、香炉、また漆器等・・。
大名家から出た古美術などの展覧会も催され、外国の万博にも参加しました。
「美術」という言葉もこの時期に出来たそうです。

柴田是真の漆器は素晴らしいです。印籠・重箱↑などその細かい漆絵には驚きます。
また、彫金の加納夏世の小刀は3本あり、それぞれ長さ15cm幅1cmほど小さな刀に細い線で、柳・月にホトトギス・薄が彫られていました。
小箪笥では4枚の引き戸に四天王が彫られていて素敵な木工でした。
日本画の屏風や、物議をかもした黒田清輝の「裸体婦人像」、菅原直之助作の刺繍絵画「鞍馬天狗」は結構大きなもので、絹糸で刺繍したもので、気の遠くなるような仕事、天狗の衣装の細かい模様まで表されており「見事!」でした。

日本の工芸品は本当にすばらしいです。明治の優品を堪能してきました。


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立礼の稽古

2023-05-20 14:47:12 | 茶道
久しぶりに立礼の稽古をしました。
設えは家にあるものを総動員してそれらしく設えました。
半東さんまでつけてお茶会風にしたのは水曜クラスの稽古。


土曜クラスは点茶盤と考えてのお点前を稽古しました。


畳に座ることの少なくなった昨今、たまには立礼の稽古も良いです。
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「重要文化財の秘密」展  @近代美術館

2023-05-04 16:47:26 | 美術


明治以降の絵画・彫刻・工芸のうち重要文化財に指定された作品51点が展示されています。
TVの美術番組でも取り上げられていましたのでぜひ見なくてはと、中でも高橋由一の「鮭」の本物を見たかったのです。

緑の日の今日、高校生の孫を誘ってこの展覧会に出かけました。
体育系の孫ですが今日はワンピース姿でネックレスも付けて肩から小さなバックを掛けてエレガントな姿にまぶしく感じました。私はサンバイザーにリュックをしょってスニーカーです。
ネットで予め時間予約のチケットを求めたので行列はしていましたが割とうまく入場できました。

大観の「生々流転」は40mもの長ーい絵巻物です。樹木も一本一本細かく川の流れも気の遠くなる作業で描いた超大作!やはり大観はすごいです。
日本画は軸・絵・屏風も大きなもので、歴史画、美人画等さすが見事な作品ばかりです。念願の「鮭」は縦長で等身大の鮭でやはり実際に見ると皮の質感や赤身の色、吊るしているワラのぼさぼさ感も見事でした。写真で見たり、TVの画面で見るものとは少し違って見え、やはり実物を鑑賞することが大切と思いました。孫も「教科書に出ていた」と言っていました。
洋画のコーナーでは、明治以降西洋から入ってきた油彩画をいろいろな画家が挑戦しています。岸田劉生・萬鉄五郎・黒田清輝など・・・


彫刻では高村光雲の「老猿」は圧巻!鷲の羽を握って取り逃がした鷲を恨めしそうに見上げている姿が何とも悔しそう。
工芸では鈴木長吉の「十二の鷹」は見事!鋭いくちばし、目、動きなどリアルな作品。
宮川香山の「蟹貼付台付鉢」もすごかったです。
常設展の方も見て、2階の外が見える明るい休憩室で持参の飲み物でのどを潤し帰途に。

お昼は竹橋駅地下のレストラン街の予定でしたが残念なことにすべて休業していたので、結局三軒茶屋駅近くで済ませることにしました。ここではオーダーは卓上にあるPCで頼む形式になってます。
美術展のチケットと言い、レストランのオーダーと言い本当にネット社会になっていること実感!

沢山の素晴らしい絵画を鑑賞して、普段忙しい孫とゆっくり過ごせ沢山お話しできて嬉しかったです。
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