宗恒の茶庭

「茶道 思いつくまま」や「和の美術」など

木島櫻谷展 @泉屋博古館東京

2023-06-26 07:45:54 | 美術


大分前に初めて木島櫻谷(このしま おうこく)という画家を知りました。
「寒月」↑という屏風に描かれている雪中を歩いている狐の鋭い目つきがとても印象的でした。
またその絵に会いたいと出かけました・・・・ところがこの絵18日までの展示で残念ながら見られませんでした。

動物画で名を馳せた櫻谷ですが、今回は写生画に焦点を合わせた展覧会でした。耶馬渓など各地に出掛け山海風景を徹底的に写生し、写生帖はなんと600冊もあるそうです。
写生した通りに屏風等に描いたのではなく、それを醸成して心の中の風景を本描きしたそうです。
中国の山水画は景色の中に楼閣や賢人などが描かれることが多いですが、櫻谷の山水図には雄大な風景の中に庶民目線の小さく人物や馬、小屋等が描かれていて、何かホッと親しみを感じます。

「馬路之春」は色彩豊かに宿場の風景を描いた屛風です。左隻には出立する人や荷物を置いて休んでいる旅人を繊細に、右隻では外でくつろいで待ってる馬が描かれ、これも櫻谷かしらと思わせる絵でした。どんな絵を描いても素晴らしい・・・


櫻谷は漢詩も書も素晴らしく、稀有な才能に恵まれそれをじゅうぶん楽しんだ61歳の人生だったのだと思いました。
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未亡人

2023-06-24 18:32:31 | 日記
小学校時代の友人が先月連れ合いの方を亡くされました。
仲良し三人組で、私はもう4年前に夫を見送りました。もう一人の方も今年の冬に連れ合いの方を見送られました。
それで3人とも未亡人になりました。
私たちも78歳なのでそういう事態になっても不思議ではありません。

早速お悔やみに行ってきました。
3人で話しているうちに、皆それぞれ連れ合いを立派に悔いなく見送られたこと確認し、亡くなったことは悲しいけれど「良かった」とお互いに慰めあいました。

我々3人は時代が時代、共にお見合い結婚でした。金婚式を上げられるまで まさに共白髪になるまで仲良く夫婦で過ごせ孫にも恵まれたことは大変幸せなことでした。
お悔やみに伺ったつもりが いろいろなこと話しているうちに大笑いしてしまうこともあり、不謹慎だったかしらと反省する場面も…
とにかく私たち妻のほうが先にならず、夫たちを無事見送られ良かったです。
帰るときにまたお線香をあげて帰りました。

夜、伺った友人からLINEで、「”3人未亡人”でまた集まりましょう」と。
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各服点の時の問答

2023-06-22 17:59:09 | 茶道
濃茶点前がコロナ禍で各服点になり、稽古でも一客一亭にしています。
客は一口頂くと亭主から「お服加減は」と聞かれます。そして一口残して茶碗を下座に置き、「お茶名は?」「お菓子は」など伺います。
以前の方法の流れでこうしていました。
しかしせっかくのお濃茶を一口残してお尋ねして、それを終えて最後の一口を頂くのはお味もぬるくなって良くありません。

そこでお濃茶は全部美味しくいただき、茶碗を下座に置いてお茶名などお尋ねし、その後茶碗の飲み口を清めた方が良いと思いました。

生徒さんから「飲み口を清めるのは回し飲みの時のためではないでしょうか? 先日伺ったお茶会では次客以下のお濃茶は水屋で点ててお盆に何碗か載せて運ばれていました。飲み口はそのままでということでした」
確かに飲み口を清めるのは回し飲みの時に次の方への礼儀として行う事です。
各服点では飲み口をあえて紙茶巾で清める必要がないかもしれません・・・

研究会では各服点前の時 お客様が3人です。正客だけが頂き、後の方は頂くふりをされています。こうするとお茶名等お尋ねするタイミングやお茶碗をお返しする動作も以前の方法の流れです。
我々も稽古の時に頂くふりをする次客に座ってもらえれば良いのでしょうが、果たして以前の流れをこれからも続けられるのであろうかは疑問です。
コロナを経験してしまった今、「回し飲みはちょっと」と思う方が多いのではないでしょうか。

利休様が回し飲みを始められたそうですが、その時代はいつ何どき戦いが始まるか分からない不穏なものだったのでいちいち各服点をしているより回し飲みした方が時間短縮にもなり、また一碗を飲みまわすことで連帯感が生まれるということだったのだと本で読みました。
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還暦茶会

2023-06-08 15:36:44 | 茶道
生徒さんから還暦茶会のご案内を頂き、昨日行われました。
世田谷の松本記念音楽迎賓館でです。勾配のあるお庭も樹木が豊か、池には鯉がいて、本格的の茶室もあります。
今回はお庭をのぞむ立礼のお部屋で行われました。
社中の方も水屋でお手伝い、緊張の中にもお薄点前が始まりました。お菓子はお誂えの干支の兎がデザインされた練り切り。柑橘類の酸味もある爽やかな美味でした。
私は正客でご亭主思い入れのお茶碗でふわっとしたお薄を美味しく頂きました。
ご亭主は多趣味でウクレレやフラダンスも習われています。今日はその先生がたもお招きしてご披露されました。
フラダンスはテーマのお話があり、それを体現するダンスです。”宇宙の循環”のお話で、偶然今日のお軸「〇」円相と響きあうものでした。
まじかでウクレレの演奏にあわせて、にこやかに指先 つま先いっぱいに体全体で体現されたダンスは素晴らしかったです。
最後にご亭主もウクレレを弾かれて 皆で竹内まりあの「人生の扉」や「やさしさに包まれたなら」を歌いました。
最後に菊乃井のお弁当を頂き、とても盛りだくさんの楽しい還暦茶会でした。
こういうお茶会は初めてでしたが ご亭主の素晴らしいご趣向であったと思いました。

帰りには音楽迎賓館内を館の方にいろいろ案内していただきました。
チェンバロやパイプオルガンの部屋では練習されていた方から細かく説明を受けチェンバロのキーにも触れてみたりし、なかなか経験できない事でした。


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マティス展 @都美術館

2023-06-04 10:51:06 | 美術

昨日、上野へ「マティス展」を見に、大学生の孫と行ってきました。マチスは私が好きな画家のひとりです。

2000年に行った「マティスとモデルたち展」のカタログに書いてありましたが、マティスが言っています。

”私の夢は心配や気がかりのない静穏な芸術、疲れを癒す肘掛け椅子のような芸術である”

確かに静かな室内の人物画や静物画が多いです。
窓辺を描いた作品も、室内には机 椅子 食器、果物、金魚鉢、花 動物などが黒い輪郭線ではっきりと描かれています。

彫刻作品も数多く、畳の大きさ程の人物の背中シリーズは初めて見ました。

特徴ある赤を背景にしたチラシのある室内画↑などマティスの赤は印象が強いです。

素描画も多く、シンプルな線で人物の顔など描いてます。リトグラフも素晴らしかったです。

最晩年にはロザリオ礼拝堂の設えもしました。
4K映像で見ましたが、切り絵手法のステンドグラス、外からの光により室内が淡い黄や青に映り込み美しく、周囲の壁には独特の素描の線で人物をいろいろ描いています。
こじんまりとした礼拝堂で、マティスの個性があふれる素敵な場所です。

最後に孫と私の今展覧会でのお気に入りの絵ハガキを買いました。



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