行の行台子の稽古の時、唐物と一口に言っても序列がある事お話ししました。
「四ケ伝の稽古でも唐物点前と盆点で使う唐物は序列が違う、盆点の方が盆が付くし揉み手もあるでしょ」「行の行台子」で使われる唐物はこれらより序列が上ということでしょうね」
では「序列はどのように誰によってつくられたのかしら?、遠州かしら?」と何気なく言うと、生徒さんのお一人が「松平不昧も所持されているお道具の中でよい物を選定されたのでは」と言われました。
「姿・景色の良い、伝来がちゃんと分っているものが名品なのでしょうね」と私。
思いがけず生徒さんと素敵な高尚な会話が出来ました。
後で私も茶道辞典で調べてみました。
小堀遠州は【遠州蔵帳】で名物を選定しています。いわゆる中興名物と言われるものです。しかしこの正本は後で孫や数寄者などがメモを付け加えたりして分からなくなったそうです。
松平不昧は【雲州名物帳】でやはり収蔵していた道具を、宝物・大名物・中興名物・名物並・名物と五つの序列をつけています。
利休時代の前の東山御物は宝物でしょう。
明治になって高橋箒庵は「大正名品鑑」で名物茶入れ、名物茶碗を選定し図鑑にしました。名物の由来・伝来、実見記などを9編13冊で表しています