坂本龍馬さん率いる海援隊・・・・・・ではなく、武田鉄矢さんをヴォーカルとする海援隊の楽曲の中に 『スタートライン』 という歌がある。
特別、武田さんのファンというわけではないが (失礼) 、母が転倒して大怪我を負った8年前から、私はこの曲のワンフレーズがどうしても忘れられない。
♪ 今 私達に大切なものは 恋や夢を語り合う事じゃなく 一人ぼっちになる為のスタートライン
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平成23年4月13日。 午後10時13分。
母が入所する施設より電話が入った。
「お母さんの容体が急変しました」
その時の私は、お風呂から上がって髪を乾かし終わり、冷蔵庫からビールを取り出そうかどうしようか迷っているところだった。
今思えば、ビールを飲んでなくて本当によかったと思う (笑)
その10分後、私は家を飛び出して車に飛び乗り、エンジンをかけた。
母のいる場所へと続く高速道路は、もうその時間ともなるとガラガラである。
節電対策によって道路照明が消えている個所も多く、前後に車も走っていない高速道路は、なんだか山道を走っているような錯覚を覚えた。
家を出てから20分後、施設に併設する病院へ到着。
母は眠っているように見えた。
穏やかな顔だった。
『午後10時55分、・・・・・・・・・・・・』 ご臨終です、 と言ったのだろうか。
よく聞き取れなかったが、不思議と涙は出てこなかった。
私は母の頭をなでながら、 『よく頑張ったね』 と声をかけた。
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和裁が得意だったお母さん。
童謡が好きだったお母さん。
旅行が好きだったお母さん。
トマトが嫌いだったお母さん。
12人兄妹の12番目に生まれ、12番目に逝ったお母さん。
8年かけて、私がひとりになるための準備をしてくれた頑張り屋のお母さん・・・・・・さようなら!