https://news.yahoo.co.jp/articles/3272a4cd6d2feb73bb4d4381986a858ea68d2253
予兆は、6月4日に神奈川県の三浦半島で起きた異臭騒ぎだ。「ガス漏れのようなにおいがする」など500件を超える通報があったが、いまだ原因は分かっていない。「異臭の原因は海底から噴き出たガスだろう」と話すのは、考古調査士の資格を持ち火山や地震活動に詳しいジャーナリストの有賀訓氏だ。
「南関東の地下一帯には国内埋蔵量の8割を占める広大なガス田が広がっています。地殻活動が活発化することで、ガスが噴き出す。三浦半島に接する相模湾が震源だとされる関東大震災(1923年)の際にも、今回と同じ場所からガスが噴き出したことがわかっているんです」
関東大震災の記録を詳細に記した大正震災志(内務省社会局編)には、地震の直後に測量船で行った相模湾の地盤調査に関する地図がある。そこには、三浦半島突端の城ケ島付近と東部の浦賀で海底からガスが噴出したと書かれていた。
相模湾付近には、東日本を覆う北米プレートと西日本の南方に広がるフィリピン海プレートが接する相模トラフがあり、そのトラフは東西で太平洋プレートとユーラシアプレートに繋がる。4つのプレートが複雑に絡み合う場所のため過去に何度も大地震を引き起こしてきたが、いままたその兆候が高まっていると言う。有賀氏が続ける。
「2013年には三浦半島の城ケ島近くで最大6mの海底隆起が見つかり、その2年後には箱根の大涌谷で観測史上初となる噴火が起きました。伊豆半島沖でたびたび発生する群発地震や、最近増えている千葉や茨城などを震源とする地震も相模トラフ付近。ここを震源とする大地震は70年周期で起きるとされ、前回の地震からすでに97年が経過しています。いつ起きても不思議はありません」
◆7月中旬に巨大地震が起きる可能性大
立命館大学・環太平洋文明研究センターで災害リスクマネジメントを研究する高橋学氏も、2011年の東日本大震災以来続いてきた北米プレートと太平洋プレート境界での地震の傾向が変化していると言う。
「ここのところ相模トラフ周辺で起きる地震が目立つようになってきました。5月20日から22日にかけて、あまり地震が起きない東京湾で7度立て続けにマグニチュード(M)3前後の地震が発生し、その後、約2週間ずつ間隔を開けて三浦半島の異臭騒ぎ、千葉県南部を震源とするのM4.2の地震があった。その8日後の6月24日早朝に発生したのが千葉県東方沖での震度5弱の揺れです。地下の異常は、すべて地震につながっていると考えるべきです」
高橋氏は、相模トラフ周辺域で7月中旬にも大きな地震が来るかもしれないと予想する。
「あまり地震が起きない場所でM3前後が連続して起き、その後2ヵ月程度の静穏期を挟んだ後に同じ場所でM3程度の地震が起きたら要警戒です。半日から3日後にM6.5以上の地震が起きることが多い。阪神・淡路、新潟県中越、熊本、鳥取県中部地震などもそうでした。
もし7月20日前後に東京湾でM3程度の揺れがあれば、その直後に相模トラフの周辺で大地震が起きるかもしれません」
これらの警鐘が杞憂に終わることを願う一方で、周期を考えれば、巨大地震がいつ起きてもおかしくない状況にあることは確かだ。震災への備えだけは、忘れてはならないのだ。
https://friday.kodansha.co.jp/article/119013
専門家たちが警鐘!「不気味な揺れ」頻出と首都圏巨大地震の関係
今年の地震回数は昨年の2倍以上。専門家が頻発する「不気味な揺れ」の原因を解説
日本列島各地の地盤で異変が起きていることは間違いない。
特に茨城県と千葉県ではM5クラスの中規模の地震が頻発している。地震学者で東京大学名誉教授の笠原順三氏が語る。
「この地震は、東日本大震災の余震活動です。これは太平洋プレートの沈み込みに関係しているものが多く、首都圏での大地震につながる危険性があります。1923年の関東大震災の際は、その1年ほど前に茨城県の龍ヶ崎でM7クラスの地震が起きている。今の状況はそのときの地震活動にやや似ていると思います」
長野県中部と岐阜県飛騨地方も要注意エリアだ。4月以降、震度1以上の地震がすでに170回以上も観測されている。
東海大学海洋研究所地震予知・火山津波研究部門長の長尾年恭教授が解説する。
「もともと長野と岐阜の県境は地震が起きやすい場所です。太平洋プレートとフィリピン海プレートに日本列島が押されると、このエリアで歪(ひず)みが解放される。ただし今回の群発地震はかなり大きい。身体に感じない地震を含めると4月23日から6月頭までで約1万8000回も起きている。長期化する傾向もあり、震源が浅いために揺れも大きいので、土砂崩れなどに警戒が必要でしょう」
また、下のマップには示されていないが、東京湾を震源とした小規模な地震が多発している。5月20日から21日にかけて、M2.6~3.5の地震が計6回も発生した。このエリアでは珍しい現象だ。
「それらは深さ20㎞ほどまでの浅いところで起きています。首都直下地震に関係していると言えるかもしれません。現段階で、政府が想定している震源ではありませんが、首都圏を襲う地震が起こるメカニズムを持っている場所です」(長尾教授)
その後、東京湾の地震は収まっているが、立命館大学特任教授の高橋学氏(災害史・災害リスクマネジメント)は「それが不気味なんです」と語り、こう続ける。
「それまで地震が起きていなかった場所で集中して発生した後、パタリと静かになる。それから約2ヵ月後に同じ場所でM3程度の地震が来る。その半日~3日後に巨大地震が来るというパターンはいくつも例があります。’95年の阪神・淡路大震災や’04年の新潟県中越地震、’16年の熊本地震、鳥取県中部地震などです。
東京湾をはじめ、房総半島沖から相模湾にかけて伸びる相模トラフ沿いの地震に要注意です。千葉県や茨城県南部の地震もこれに関係していると思われます。さらに相模トラフが剥(は)がれて南海トラフに連動することもありえる。私は数年以内に相模トラフと南海トラフで超巨大地震が発生すると考えています」
いつ巨大地震が起きてもおかしくない地域は他にもまだまだある。
「5月~6月に鹿児島の薩摩半島沖で震度4クラスの地震が起きています。これは熊本地震と同じ断層系が要因。今も歪みが溜まっているんです。紀伊水道(紀伊半島と四国の間にある海域)では、’17年から’18年にかけて身体に感じないM7近くの『ゆっくり地震』が発生していました。今年5月17日にもM4.6が観測されています。普段と違う地震が起こっている。これらは南海トラフ地震の予兆の可能性があります」(長尾教授)
前出の笠原氏はこう警告する。
「南海トラフの活動が活発になってきたと懸念しています。ただし南海トラフ地震より先に首都圏直下地震が発生する危険性のほうが高いのではないか。さらに言えば時間的には両方が接近して起きてもおかしくありません。首都圏の地盤が動くことで、南海トラフが動くということも十分ありえます」
京大教授が警告! 20年に首都直下地震の衝撃データ
講義を行っているのは、京都大学大学院人間・環境学研究科の鎌田浩毅(ひろき)教授(63)。本誌は彼の授業に潜入し、「2020年首都直下地震説」の根拠を聞いた。
「’11年の東日本大震災以降、日本列島の地下にあるプレートのあちこちに歪みが生じ、その歪みを解消しようと地震が頻発しています。震災以前に比べ、地震は約3倍に増えており、日本は言わば、『大地変動の時代』に入っているのです」
今と同じ『大地変動の時代』は平安時代にも訪れたことがあるという。
「869年、東日本大震災と同じ震源域で貞観(じょうがん)地震という巨大地震が発生し、その後、日本全国で地震が頻発しています。9年後の878年にはM7.4の内陸直下地震(相模・武蔵地震)も起きている(下表を参照)。これを現在に置き換え、’11年の9年後はいつかと考えると、来年の’20年になるわけです」
もちろん、首都直下地震は明日起きるかもしれないし、再来年に起きるかもしれない。だが、鎌田教授はあえて具体的な時期を挙げることで、人々の意識が防災に向くよう注意喚起しているという。
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下町地域の地盤は液状化しやすく、道路が使えなくなる恐れもあります。火災に関しては、木造住宅密集地域に住む人以外も警戒する必要がある。関東大震災では犠牲者10万人のうち9割が火災により亡くなりました。高層ビルが多い都心部では、ビル風によって竜巻状の炎を伴う旋風が次々と発生し、地震以上の犠牲者を出す危険性があるのです」略