https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170703-00050049-yomidr-sctch
歯を削るドリルを取り付ける「ハンドピース」と呼ばれる金属製の柄を患者ごとに交換しているかどうか、全国1000人の歯科医にアンケートで東北大学歯学部などの研究グループが尋ねたところ、回答した700人のうち、52%の歯科医は「患者ごとに交換している」と答えました。
その他の回答は、「感染症患者とわかった場合や、血液などが付いた場合などに交換する」が合わせて33%、「消毒液で拭く」が13%。驚いたことに「何もしない」という回答も1人(0.1%)いました。
言い換えると、47%の歯科医が、感染症患者だとわからなかったり、前の患者の治療で血が出なかったりしなければ、ハンドピースを交換せず、また歯科医によってはアルコールなどでハンドピースの表面を拭くだけで、次の患者の治療を行う、と回答したということです。
アンケート結果は、ハンドピースの扱いだけでなく、歯科医の手袋やドリル(ポイント、バー)などの扱いもわかり、非常に興味深いです。
治療にあたり手袋を歯科医がはめて、治療が終われば患者ごとに交換するのは、当たり前のように患者は思っていますが、アンケートで「患者ごとに交換」は52%に過ぎません。
手袋を「全ての患者で使うが、患者ごとに交換していない」「患者によって使う場合もある」など、院内感染対策を考えると不適切な回答が47%。「手袋を使用しない」も1%(5人)いました。
■ドリルの歯「洗浄・滅菌」は64%
ドリルの歯であるポイント・バーといわれる部分の扱いを知ると、もっと驚きます。
このポイント・バーは、歯を削るという意味では、患者の体に接する所です。患者の治療が終わった後は、洗浄して唾液や血液などを落とし、さらに高温の蒸気が発生する装置に入れて、細菌やウイルスを100%なくす滅菌処理を取るよう学会の指針などで定められています。
このポイント・バーを指針通りに「洗浄・滅菌」しているとした回答は64%。残りは「(洗浄せず)滅菌のみ」「洗浄のみ」がそれぞれ3%、13%。「薬液消毒のみ」が20%という答えでした。
歯の神経を取る治療に使うリーマー・ファイルの扱いも、同じ傾向です。患者に使うのに当たり、使用後必ずしも洗浄・滅菌しているわけではないのです。
長年診療を行っている歯科医からすると、「洗っただけ」「消毒だけ」でも、これまで患者に感染などの問題が表面化したことがなく、何が悪いのか、ということなのだと思います。