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旅行記、世相独言

四川の怪味(ゴワイウェイ) - 上海&成都 - (異文化体験26 中国内陸部の旅4)

2012年11月21日 20時35分20秒 | 異文化体験_アジア

(写真はクリックで拡大します)

四川の怪味(ゴワイウェイ) -上海、成都― 1995.11.05~11.06

 中国内陸部・ガス事情調査団の活動が始まった。K団長以下地方のガス会社のメンバーで構成される9名の調査団である。

 5日は日曜日にもかかわらず上海煤気公司が快く浦東工場見学を受け入れてくれた。想像もつかない浦東大開発のエネルギーインフラとなる工場である。現在は石炭ガスが中心であるが、近い将来、黄海沖の海底ガス田から天然ガス、LNGを導入する予定とのこと。上海の大計画にはいささか度肝を抜かれた人も多いようだ。

 浦東大開発のエネルギー供給拠点 上海煤気公司浦東工場

  浦東地区と旧市街地を結ぶ南浦大橋
 着々と建設が進む高速道路、地下鉄等の都市インフラ


 午後15:50上海発成都行きSZ4502便の飛行機は、西側の飛行機。中国ではまだ旧ソ連等の東側の飛行機が飛んでいる。JTBには必ず西側飛行機の便を使うよう指示していたが、この目で確かめるまでは何の機材が使われるか分からない。19:05四川省の省都成都に到着し、宿舎の錦江賓館にチェックインする頃には暗くなっている。このホテルは国賓級も泊まる成都では最高級ホテルとか。

       
(左)成都のホテル「錦江賓館」(ジンジャンホテル)       (右)ホテルのルーム・キイ

成都にはまだ高層ビルは少なく、おなじみの自転車洪水が。

 機内食が出るわけでもなく腹ペコ状態の我々、早速ホテルのレストランで遅めの夕食。通訳で日本から同行の王さんは、日本在住5年で奥さんが日本人。王さんが是非本場の麻婆豆腐を賞味あれと勧めるので、やや年配者の多い団ではあるが皆さん好奇心旺盛で是非是非ということに。王さんが厨房と掛け合う。というのも通常日本人観光客には黙っていれば日本人向け味付けがなされるからのようだ。揚げ魚の辛子味噌あんかけ、魚の浮袋の鶏スープ煮等と共にいよいよ麻婆豆腐が出てくる。通常、赤味のある麻婆豆腐がやたらと赤黒い。言われなければ気がつかない。恐る恐るレンゲで手元に取り、口に運ぶと並みの辛さではない。食事が終わる頃には全員汗を何度も拭いながら、でも結構旨味のある味にご満足であった。

  奥のお皿が麻婆豆腐


 翌朝、成都煤氣總公司を訪問。周辺小規模ガス田からの天然ガスへの切替を進めていると言う。将来は西アジアやカスピ海周辺からの天然ガス導入に大いに関心を持っており、日本からの外資導入を熱望している。一方で国家財源が北京、上海等に偏投資されていることへの不満が大きいと感じられた。

 
(左)成都煤氣總公司 (右)会議場には必ず名刺交換しない数名の正体不明の人間が。共産党員だという。

 市内のレストランで昼食歓迎を受ける。上海ガスで内陸部に行ったら「白酒と乾杯にはご用心!」と聞いてきたが、郷に入っては郷に従え。5回までは乾杯を受けたが、もうだめ!随意、随意で押し通す。乾杯は文字通り盃を乾すということで、全部飲みましたと盃を逆さまにして相手に示す。随意は好きなだけ飲めばよい。白酒はトウモロコシやコーリャンの蒸留酒でアルコール度数50~60度。祝いの酒として宴席には必ず用意される。

     
(左)乾杯時は盃を逆さまにして相手に見せる (右)乾杯!を避けるためには極力目線をあわさないこと

  お店のウェイトレスさんたち

 午後は大口顧客、一般家庭顧客のガス設備の見学を事前にお願いし、ちゃんと用意されていた点は感心させられる。皆、赤い顔をして視察。
 大口顧客は我々の泊ったホテルの厨房。コックに操られた中華鍋がひっきりなしに火を吹き上げる。何種類もの調味料が何度も何度も鍋に叩き込まれ、悲鳴をあげながらハーモナイズする。こうして生れる複雑多彩な味の頂点とも言われるのが「怪味(ゴワイウェイ)」。
 
 四川料理が辛いと言う常識は半分正解で半分間違い。辛さでヒーヒー言いながら次の箸を出さずにはいられない旨味がある。厨房にはコークスとフイゴの大きな釜戸が残っている。四川の味の生みの親である。長年の人間の英知と火が生み出した味は、最近の電磁誘導の調理器では生み出せないもの。素材と調味料のハーモナイズが生み出す味にこだわる人は、火が不可欠のようだ。

  一般家庭(集合住宅)の厨房風景

 見学後、出発までの1時間少々は自由行動。ホテルロビーの椅子に腰掛けるとお昼のお酒が眠気を誘う。

 ホテルロビーで この後急速に眠気が襲う

 四川省の省都成都は三国時代の蜀の都で武侯祠や杜甫の旧居址「杜甫草堂」、古代水利施設等観光施設も多い。

 成都の観光施設一覧

 誰かが肩を揺するので目を覚ますと何と出発と言う。どうも1時間近くホテルロビーで寝ていた次第。

 夢の中での成都見物を終え、いざ出発!重慶へ。

コメント
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