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旅行記、世相独言

日本では小指、中国では親指? 公用局と公安局 -北京-(異文化体験21 改革解放の国の旅2)

2012年04月07日 22時24分51秒 | 異文化体験_アジア
(写真はクリックで拡大します)

日本では小指、中国では親指? 公用局と公安局 -北京-  1994.9.15


 (北京中心部地図、天安門広場前道路を右に行くと国際貿易センターがある)

 国貿飯店の部屋の窓から国際貿易センターに隣接する公園が見える。起床して時差のためまだ意識朦朧の目に、太極拳の運動をする老人達の姿が飛び込んでくる。
そうだ、ここは中国なのだ!

 中国を実感させる朝の景色(参考)

 日本を出発して10日目、欧州から周ってきたのでカルチャーショックは余計に大きい。朝食に1階のレストランに行くとチャイナドレスに身をつつんだ若い女性が愛想良く出迎えてくれる。大きく割れたスリットに自然と目が行ってしまう。毎日朝食が楽しみだ。

 ホテル・レストランのウェイトレス嬢(イメージ写真)

 「ガス・チャイナ‘94」が、国際貿易センターの展示会場で始まった。今回は中国ガス協会からの強い要請に応えた出展である。中国の巨大市場を狙って英国やフランス、ドイツ等のガス会社からも大規模な出展がなされている。日本は、東京・大阪・東邦の都市ガス大手3社に日本ガス協会が冠をかぶせた形態で出展しているが、ややお義理色の強い出展なので展示内容やブースの広さにおいて欧州の企業ブースにやや見劣りがする。

 
(左)会場の国際貿易センター展示会場       (右)日本の出展ブース(準備中)   

 中国全土からガス関係者が来場するようで、会場は結構熱気に包まれている。中国語に翻訳した日本の技術資料は、資料マニアによってアッという間になくなってしまう。 天然ガス、都市ガス(石炭ガス)、石油ガス(LPG)等々、ガス種は違えど、日本から出展した炊飯器、給湯器や地下埋設物のマッピングシステム、レーダーロケータ等は、大いに感心を集め、各社説明員は質問攻めにあっている。
 私の出向元の会社と友好関係にある天津ガスの社長も展示会に出席しており、天津ガスにも是非来て欲しいと招待を受け、明日急遽天津に行くことになった。


   
(左)天安門広場に近接する北京の銀座「王府井」 (右)王府井の入口にあるマクドナルド

 今夕は展示会関係者の慰労会を北京ダックの有名店で行うことになっている。
 夕刻、スタッフの一人が土産物を買いに行くので通訳を貸して欲しいと言ってきた。集合時間までに戻ることを条件に許可する。6時半に北京ダックの店に全員集合するはずが、この2人が戻ってこない。どうしたのかと心配しているとお店に電話が入り、今北京市の「公安局」にいると言う。

 
(左)王府井の再開発が始まった東安市場      (右)現在の東安市場(参考)

 どうやら、北京一の繁華街「王府井」でネクタイの買い物中、通訳の女性の財布を獲ろうとしたスリを地元商店街の自警団が現行犯で捕まえ、公安局で事情聴取を受けていると言う。
 この時期、国慶節で中国全土から北京に悪党どもが上京し、治安が極度に悪くなっているとのこと。警察はスリを一網打尽にせんと厳しく取り調べを行っているようで、協力して欲しいとのこと。通訳の女性も裁判官をしている夫を呼び寄せ、どうやら大騒ぎとなっているようだ。

      
(いずれも参考写真)左:昔ここにあった「王府の井」 右:昔の面影を一新した現在の王府井

 二人の安全が確認されたので、我々は北京一と言われるこの店「Tuan Jie Hu(団結湖)」の北京ダックを大いに楽しんだ。

   
                 北京一と噂される「団結湖 Tuan Jie Hu」のパンフレット

 聞くところによると、中国のスリ達は親指の腱を切断することで、万一捕まった際、身障者扱いで刑が軽減されるようだ。日本では小指、中国では親指、いずれにせよ人騒がせな話で、我々の来訪の目的を管轄するのは「公用局」だが、このスタッフは「公安局」をしっかり調査して帰国した。