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税制「103万円の壁」崩壊へ向けての検討開始

2016-09-03 08:04:52 | 社会・経済

 政府(財務省、厚生労働省等)と与党は、「103万円の壁」の元となっている所得税の配偶者控除(38万円)を廃止し、廃止による風当りを躱す目的での新たな所得税控除制度として「夫婦控除」を導入する検討を開始しました。「夫婦控除」の内容は何も決まっておらず、この検討において決定するようです。“配偶者控除”の廃止及び「夫婦控除」の導入は、2018年実施を目指しているようです。

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 10月には厚生労働省が所管する社会保険制度で「130万円の壁」を崩壊させ、「106万円の壁」を立てるとしたばかりなのに………



 それでは、「配偶者控除に代わる新たな税額控除制度」である「夫婦控除」とはどのような制度概念なのでしょう?

 2014年12月に政府税制調査会が導入の検討に入り、政府は15年度税制改正大綱に配偶者控除の廃止方針を盛り込み、16年度以降に新制度を導入するとしています。

 平成15年度税制改正の大綱(財務省)
五 個人所得課税配偶者特別控除のうち控除対象配偶者(合計所得金額38万円以下の配偶者)について
 配偶者控除に上乗せして適用される部分の控除を廃止する。
 (注)上記の改正は、平成16年分以後の所得税について適用する。


 現行の制度では、共働き世帯において、“主たる生計維持者の配偶者が得る年間所得が38万円(給与給与所得控除65万円とで、年収103万円)以下なら主たる生計維持者の課税対象となる所得から最高38万円を差し引き税負担を軽くすること” (配偶者控除)ができるようになっています。
 主たる生計維持者の配偶者が得る年間所得が38万円を超えると配偶者控除ではなく、「配偶者特別控除」が段階的に130万円まで設けられており、主たる生計維持者の配偶者が得る年間所得が下がるため、主たる生計維持者の配偶者がそれ以下に労働を抑えてしまうことや、給与支払側もこの制度を参考に配偶者手当ての支給基準を決めるといったことがあり、多くの場合、主たる生計維持者の配偶者である女性の社会進出を妨げているとの指摘があります。(大凡は、歳入の減少に苛立っている政府内部の論調だとは思いますが・・・)

 新制度(夫婦控除)案では、配偶者控除を廃止し、主たる生計維持者の配偶者が得る収入に関わらず一定額を主たる生計維持者の所得から差し引く(控除する)などとされています。
 ただし、その控除制度および額の規模などは、案には一切見込まれていません。憶測するに、現行より税収が減少する制度などへ移行することはないと思います。

 「配偶者控除38万円」の廃止は全貌が見えないため、何とも言い難いことではありますが、少なくとも専業主婦(夫)の世帯やパート労働している主婦(夫)の世帯にとっては“増税”となることは必至です。
 「103万円の壁」は近々無くなるのですから税金や健康保険や年金の負担を考慮して働き方を調整していた方は、その必要性が無くなると考えたほうがいいでしょう。

 現行の税率・社会保険料率などで試算

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 130万円までの配偶者特別控除が残されている場合の試算

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 「夫婦控除」などの優遇措置が明確になれば、試算の結果も変わってくると思いますが、現下では従来の“壁”に囚われず、勤務先が認めてくれる内容で、できるだけ沢山就業するとの考え方がいいのかも知れません。


【関係サイト】

 ○ 財務省HP 平成15年度税制改正の大綱



【関連記事】

 ○ 「106万円の壁」ができる=「130万円の壁」の崩壊/社会保険











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