スケルトンハウス‐きまぐれCafe

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製造所固有記号

2015-05-30 07:33:41 | 社会・経済

 OEM生産されている食品類には、販売者名は明記されていますが、製造者名は記載されておらず、“製造所固有記号”なるものが記載されています。消費者はこの製造所固有記号を見ても、メーカーを知ることはできません。
 とても大きな課題が放置されているのではないでしょうか。

 製造所固有記号は、食品衛生法第19条に基づき、1959年(昭和34年)12月28日 厚生省令第37号「食品衛生法施行規則の一部を改正する省令」(第22次改正)により制定された基準(食品衛生法施行規則第21条第10項)です。
 原則としては、「製造所の所在地」及び「製造者の氏名(法人にあっては、その名称)」の表示が義務づけられました。
 その後、「食品衛生法に基づく表示について(平成24 年2 月24 日消食表第46 号)」で網羅的に規定し直し、上述の食品衛生法施行規則の規定は削除されています。
 消食表第46号では、別添1の「2 各記載事項」の「(3)製造所又は加工所の所在地の表示」及び「(5)製造所所在地、製造者氏名の例外的表示」として“製造所固有記号”の使用基準が規定されています。

(1) 自社工場(製造所)が多く、表示には本社の名称、所在地を記載する場合

(2) 製造を他社工場(製造所)に委託している販売者が、自社の名称、所在地を表示する場合

などには、表示面積の制約等の理由から例外的に、予め消費者庁長官に届け出た製造所を表す記号(製造所固有記号)をもって表示することができる


 大手スーパーマーケットなどの食品類にはPB商品が多く、OEMを委託している会社工場は、製造者が届け出た製造所固有記号ではなく、販売者が届け出た製造所固有記号で表示されています。


<原則通り、製造者名・製造所を明確に日本語で表示した例>

1_IMGP3953

 写真右は、スーパーIZUMIYAのPB商品ですが、本来の製造者を表示しています。


<本社を日本語で記載し、工場は記号で表示した例>

2_IMGP3957_2

 写真の製造所固有記号では、山崎製パン㈱阪南工場(大阪府羽曳野市)で製造。→これは、インターネット検索で判明したもの。
 自社ブランド製品の場合は、インターネットの検索で、「会社名」・「製造所固有記号」を検索キーワードとして照会することができる。


<OEM商品の記載例>

3_IMGP3963-2

 写真のパンは、どうやらフジパン製のようですが、店舗のサービスカウンター等で問い合わせしなければ、その場で製造所(会社名・工場)を知ることはできません。
 帰宅後にインターネットの「@ウィキ」など、製造所固有記号検索サイトで検索すれば判明しますが、販売現場で購入者が特別な行動を取らなくても知ることができるようにするのが、消費者庁の「消費者目線・国民目線」、そして経営における“お客様目線”といえるのではないでしょうか。

 OEM生産されるPB商品については、販売者が届け出た製造所固有記号を使うのではなく、製造委託先が独自に届け出た製造所固有記号を使うように改めてもらいたいところです。
 つまり、一つの製造工場に対し、その会社独自の商品とOEM商品との複数の製造所固有記号が割り振られた複数の存在を解消することから始めてもらいたいと思います。

 上の写真の製造所固有記号による「製造所固有記号@ウィキ」では以下の通り表示されます。
<J853>

4_Wiki-1

<フジパン株式会社 枚方工場>

5_Wiki-2

 現状では、商品陳列箇所において、製造所固有記号を消費者が独自かつ自由に知る手段は具備されていません。

 消費者庁HP‐食品表示『製造所固有記号Q&A』の問2-2「製造所固有記号を利用することにより、製造所が消費者には分かりませんが、どのようにすればよいでしょうか?」ではその回答として、

 「製造者及び製造所所在地の表示については、表示面積が小さいことにより全てを表示できないこと等を勘案して、例外的に製造所固有記号の表示に代えることができるとされています。そのため、各事業者は、消費者等から製造者及び製造所所在地についての問い合わせがあった場合には、すぐに回答できるよう、既に届け出ている製造所固有記号を一覧にまとめ、問い合わせ窓口に備えておくなどの対応が必要です。」

としています。

 このことからすれば、製造所固有記号の表示で済ますのは例外措置ということになります。

 ただし、製造所固有記号で表示されている場合は
①消費者が独自に製造者名・製造所所在地等を知る方法を具備する必要はなく、
②販売事業者は、消費者から問い合わせがあった場合に即答できるようにしておけばよい。
と考えているようです。

 明らかに販売者側に立った判断ではないかと思います。
 大して多くのスペースをとるわけではないので、販売者及び製造者には、原則に基づいて日本語で製造所の、製造者名、製造所所在地を明記することを強く要望するものです。

 また、消費者庁には届け出があり、認可した製造所固有記号についてデータベースを整理し、公開されることを重ねて要望するものです。

 更に、販売者には、商品バーコードをかざすだけで製造所が日本語で表示される、製造所固有記号検索装置を販売現場に設置することを義務付けされることを要望するものです。


===≪参考資料≫======================================================

― 1959年(昭和34年)、「製造所固有記号」制定当時の、雑誌『食品衛生研究』での抜粋記事 ―

“  製造所所在地および製造者の名称について略する方法は、従来認められていた自社の第1工場、第2工場などの場合は従来通りのアラビア数字、ローマ字、平仮名、及びこれらの組み合わせによる記号を製造所所在地(この場合は工場所在地)を管轄する都道府県知事を経て厚生大臣に届け出れば、その記号を用いることができる。この方法は従来より一々厚生大臣の承認をうけないですむだけ簡単になつたわけで上記方法による記号を使う場合は届出だけですむことになつた。
 また、販売会社が自社の名称と所在地を記載して製造所の名称所在地を略したい場合は、販売者である旨の標示をして上記記号を使つて記載する場合に限り、厚生大臣に届出すればよいことになつた。
(中略)
 この改正によつてみやげ物やカン詰などは、製造者の名称所在地は記号を標示すればよいことになるわけで販売上は便利となつてきたわけである(中略)。
 これは消費者に対しては窓口となる者の名称所在地を一つ、販売者でも製造者でもよいからその食品などの責任を持つ者を明記させ、一方取締上は製造者の名称所在地を行政庁において把握しておく必要があるわけで、まるつきり製造所の名称所在地を標示しなくてもよいというわけではない。 ”

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【関係サイト】

 ○ 食品衛生法に基づく表示について(平成24 年2 月24 日消食表第46 号)

 ○ 消費者庁 製造所固有記号Q&A

 ○ 製造所固有記号@ウィキ






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