スケルトンハウス‐きまぐれCafe

生活とビジネス

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103万円の壁と130万円の壁 

2014-04-19 07:14:38 | 社会・経済

 生計を一つとする世帯で、納税者本人の配偶者がパートタイマーや派遣社員といった非正規社員として働くとき、所得税や社会保険料を個別に負担しない、納税者本人の扶養内であることができるか否かが大きな問題となることがあります。

このことを語るとき、往々にして「103万円の壁」とか「130万円の壁」とか言います。

 これは一体どういうことを指しているのでしょう。

 サラリーマンであるご主人が主たる生計維持者であり、ご主人が納税者本人である場合、ご主人の扶養配偶者であることを維持しながらパート勤めなどをしているはずの奥様にとって、ご自身の収入がどの程度になれば、税金や社会保険料の負担という影響がでるのか大変気に掛かるところです。
 この影響の仕方で、収入の限度額を103万円或いは130万円に分けて考えることができます。

 給与所得に対しては、①給与所得控除65万円の他、給与所得額によって、基礎控除38万円又は配偶者特別控除額が認められます。
      『給与所得-(①+基礎控除38万円)』
   又は『給与所得-(①+配偶者特別控除額)』に課税されます。

 これを前提として、配偶者の給与収入の限度額を考察してみましょう。

1.103万円の壁

 基礎控除38万円と給与所得控除65万円を足すと控除合計額は103万円になります。
 控除が103万円あれば103万までは当然に、課税所得がゼロとなり、扶養内の配偶者となります。
 したがって、103万以内は所得税がかからず、社会保険は扶養内(年金は3号被保険者)で働けます。

 税法上では「配偶者控除」の適用となります。
 配偶者に所得があっても、配偶者の年間の合計所得金額が103万円以下であれば配偶者控除が受けられます。

2.130万円の壁

 配偶者の所得が130万円超になると扶養から外れ、所得税・住民税の他、国民健康保険や1号被保険者として国民年金の保険料を払わなくてはなりません。それらの出費は手取り額に大きく影響します。

 したがって、103万円を超える収入を得ながら、できるだけ扶養内としての扱いを維持したい場合には、収入合計の上限として130万円を意識することが必要となります。

 納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下で、かつ、配偶者の合計所得金額が103万円超130万円以下の場合に、配偶者の所得金額に応じた所得控除を受けることができます。
 税法上では「配偶者特別控除」の適用となります。
 また、130万円以上141万円未満の給与収入の場合には、社会保険としては納税者本人の扶養内配偶者とはなりませんが、税制上は「配偶者特別控除」の適用があります。

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 「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の場合の手取額の目安

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≪申告の方法≫

 「配偶者控除」も「配偶者特別控除」も納税者本人の年末調整で申告します。

(1)「配偶者控除」の場合

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(2)「配偶者特別控除」の場合

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 年末調整終了後に、給与等の追加支給や所得控除額の変更等が生じた場合や住宅借入金等特別控除申告書の提出があった場合等には、会社は1月に行う前年分の源泉徴収票発行までなら、年末調整の再調整を行うことができます。

 更に、これらの変更事項の発生・発覚が源泉徴収票発行後の場合や会社で再調整が行われなかった場合には、従業員(納税者本人)は各自で確定申告を行うことで調整することになります。


【今後の見通し】

 安倍政権は成長戦略の柱の一つとして『女性の活用』を掲げています。これを受けて政府は、配偶者控除の見直し検討に入っています。今年の年末に行われる“2015年度税制改正”で、配偶者控除額38万円の、廃止も念頭においた、減少を実施したいようです。

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『配偶者控除見直し案』見送り

 2014年6月6月24日の閣議で上記見直し案は決定される予定でしたが、安倍晋三首相の諮問機関である政府税制調査会が示した論点整理の中で、女性の就労拡大について『税制だけで解決を図るのは困難』とする結論を示したため、首相肝いり案ではあっても見送ることとなったようです。
 しかし、今後、いつでも成立しかねない問題です。毎年の成長戦略改訂時や税制改正議論において“火種”となり、燻ぶり続けそうです。



【関係サイト】

 ○ 国税庁HP:No.1191 配偶者控除

 ○ 国税庁HP:No.1195 配偶者特別控除

 ○ 国税庁HP:No.1410 給与所得控除

 ○ law.e-gov.go.jp
    ↓
  ・所得税法(昭和四十年三月三十一日法律第三十三号)
    ↓
  ・別表第五 年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表(第二十八条、第百九十条関係)<所得税法の附則>


 

 

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