鹿児島の自然と食

鹿児島の豊かな自然(風景、植物等)、食べ物、史跡を紹介します。

「フラガール」の町

2008-10-15 | エッセイ
最近、映画「フラガール」がテレビで放映されたので観た。
衰退する炭鉱産業から転換し、観光施設「常磐ハワイアンセンター」を設立するときの、ダンサーと教師の物語である。

フラダンスのダンサーを養成することになったが、全員、炭鉱の娘である。
指導者として、東京から、SKDにいた一流ダンサーが招かれる。
娘たちの踊りは、最初、箸にも棒にもかからないものだった。
教師と、娘たちや炭鉱マンたちとの対立。夕張に引っ越していく仲間。
教師は、東京に帰ると汽車に乗る。
ホームに集まり、フラダンスのしぐさで想いを伝える娘たち。
やがて、教師と娘たちの間に信頼関係が築かれ、プロのダンサーに成長していく。
落盤事故で父親が亡くなった日も、教師に教えを請い、踊ろうとする娘。

ハワイアンセンターオープンの日。
全員で、見事なフラダンスを披露する。
夕張の仲間から贈られた花の髪飾りを付け、腰を振って踊る蒼井優ちゃんのソロのダンスがカッコよかった。
最後は再び、全員でのダンス。
終わると、割れるような拍手と総立ちする観客。
その中には、ダンサーになることに強く反対し、勘当までした優ちゃんの母の姿もあった・・・

舞台となった福島県いわき市には4年間住んだ。
当時、常磐炭鉱は閉山となり、新しい工業都市を目指しているときだった。
種子島生まれの私たち夫婦にとって、福島県は未知の土地だった。
行く前は、会津磐梯山、鶴ヶ城、猪苗代湖くらいしか知識はなく、みちのくの、暗く寒いところという印象だった。

いわき市に、映画「喜びも悲しみも幾年月」や美空ひばりの「みだれ髪」の舞台となった、塩屋崎灯台がある。
ここから眺める海は、ふるさとの暖かい海とは違っていた。
親潮が流れるこの海は、夏でも冷たいことが多かった。

「喜びも悲しみも幾年月」の灯台守夫婦のように、私たち夫婦も流れ者だった。
長女と次女はこの町で幼稚園に入り、長男はこの町で生まれた。
出産の日も、私は仕事だった。
妻は、長女と次女を隣に預け、一人、タクシーで病院に行き、長男を産んだ。
ハワイアンセンターは、年間会員になり、よく通った。
プールで子供たちを泳がせ、温泉に入り、ハワイアンショーを見るのがお決まりのコースだった。
当時は、そんな物語があることなど知らずに見ていた。

映画のフィナーレのシーンを見ながら、妻が
「よく行ったねえ」
としみじみと言った。
コメント (4)
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