ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

スクールソーシャルワーカーを「見える」ものに育てよう

2008年05月23日 | 社会福祉士
 今年、文部科学省は10/10の補助事業として、15億円で全都道府県の141地域に「スクールソーシャルワーカー」を配置する「スクールソーシャルワーク活動事業」を実施することになった。社会福祉士の新たな職域を拡充する絶好のチャンスが到来している。このチャンスを活かして、全国津々浦々の小学校・中学校等にスクールソーシャルワーカーが配置されていく契機にしていきたいものである。

 そのためには、学校現場で即活躍できる有能な人材を大学において養成していくことが緊急の課題である。具体的には、不登校児、被虐待児、いじめ等に対して、教師と連携を取りながら、ソーシャルワーカーとしての解決能力をもった人材を養成することである。

 そうした緊急性を感じているが、よくよく調べてみると、多くの社会福祉士を養成している社会福祉系大学では、既に「スクールソーシャルワーク論」なり「学校ソーシャルワーク論」といった名称で授業を開講していることが分かった。今までは学校や教育委員会で採用がない中で、さらには社会福祉士の受験科目でもないにも関わらず、そうした教育の必要性を感じて、地道に実施されてきた姿に敬意を表したい。同時に、そうした地道に努力されてきた大学に、この「スクールソーシャルワー活用事業」で光が当たることが強く願うものである。

 このようなスクールソーシャルワーク論に類する科目を置いている大学は、分かっただけでも、10数校もある。それらは北星学園大学、上智大学、日本社会事業大学、田園調布学園大学、東京学芸大学、関西福祉大学、立命館大学、兵庫大学、吉備国際大学、四国学院大学、大分大学、沖縄大学である。これらは個人的な調査で得られたものを頂いただけで、他の大学でも開講しているであろうし、漏れていればご容赦いただき、コメントでご一報いただきたい。また、大学院で、こうした科目を開設しているところもあると、聞いている。せっかく講義を開講しながら、埋没している部分に光を当てて、この良きタイミングを利用して、生き返らせていく必要がある。

 こうした大学では、さらに座学の科目だけでなく、演習や可能な限りの実習を加えることができれば、社会福祉士としてのジェネリックな教育を基礎にして、スペシフィックな学校領域での応用教育を追加することになり、一段とレベルの高いスクールソーシャルワーカーとして活躍できることをアピールしていくことが可能である。

 そのためには、社会福祉士の資格を得た上で、それらを修得した学生には何らかの資格が付与されれば、社会に対しては「見える」スクールソーシャルワーカー養成になると考える。同時に、ジェネリックゆえに見えにくかった社会福祉士を具体的にイメージすることにも貢献することができる。

 ただし、こうした議論の前提として、スクールソーシャルワーカー養成教育が、学校現場で効果を発揮するものであると、教師や他の人々から認められることが大事である。その意味では、教育内容の質を担保しながら、スクールソーシャルワーカーの養成を慎重に進めていかなければならないこともまた真である。