ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

介護予防の効果?

2008年05月11日 | ケアや介護
 改正介護保険で始まった「介護予防」であるが、先般厚生労働省の介護予防の委員会が、今後の検討の余地はあるが、この2年間で介護予防効果があったとの報告をしている。具体的には、1年間の変化であるが、以下のような結果となっている。

●特定高齢者
    維持・改善   悪化
改正前 96.5%  3.5% 
改正後 98.1%  1.9%

●要支援者
    維持・改善   悪化
改正前 84.8%  15.2% 
改正後 92.7%   7.3%

 そうあっては欲しいが、本当に効果があったのだろうか。とりわけ、要支援者は確かに変化しているが、法改正以降、認定がきつくなったとの評価があるが、それであれば、この結果も疑わしいことになる。さらに、この認定の厳しさは、市町村によって大きく異なるとの話もあるが、きつくない市町村でも同じような調査結果として、予防の効果が現れたかを検証していただきたい。

 さらに、効果があった部分について、何を行うことで効果を発揮できたかを明らかにする必要がある。具体的には、どのような高齢者は、利用者の意欲を高めることによって廃用症候群から脱却して効果を発揮したのか、あるいは、どのような高齢者は、具体的な「運動器の機能向上」、「口腔ケア」、「栄養ケア・マネジメント」により効果を得たのかを、是非明らかにしていただきたい。

 そうすれば、ケアマネジャーや居宅のサービス事業者は、より適切な支援が可能になるからである。

 ただ、私は介護予防が効果があったという結果には正直懐疑的である。財源抑制に向けて、要介護認定の厳しさから生じた結果ではないのかと案じている。同時に、そうであれば、利用者はサービス利用量の制限から、生活範囲が狭まられ、介護予防どころか介護悪化につながっていくことを懸念している。

さらに、費用対効果について考えてみることも必要である。地域包括支援センターで介護予防に追加的に費やした財源と、介護予防できたために安くなった財源とのすり合わせも重要である。ただし、費用対効果だけでなく、高齢者の健康寿命を伸ばすという視点でも議論が必要である。

 本当に介護予防に取り組むには、利用者の意欲を高めるよう、要支援者のケアプラン報酬を大幅に上げ、三ヶ月に一回でもよい家庭訪問ではなく、時間をかけて、利用者の「したいこと」、「好きなこと」、「できること」を引き出していく仕組みが不可欠である。