ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

人は経済原則で働くのか?

2008年05月21日 | 社会福祉士
 日本の社会保障が崩れていくのではないかということを心配する中で、20年ほど昔に教えられた「スウェーデン病」を思い出した。これは、スウェーデンでは国民負担率が高く、社会保障は充実しているが、そのことが、人は働く意欲をなくし、経済成長を妨げており、公園には仕事をしないでぶらぶらしている人が多く、こうした病の国になってはいけないということであった。ウィンブルドン5連覇を果たしたテニスプレーヤー「ビヨルン・ボルグ」は、高い税金を避け、スウェーデンに移住したのは、その当時の有名な話である。現在は、またスウェーデンで住んでいるという噂を聞いたことがあるが。

 この病は今どうなっているのか。現在、スウェーデンの依然として国民負担率が高く、大きな政府であるが、経済成長率は3%程度であり、日本の1%に比べてはるかに高い。同様に、ヨーロッパの多くの国は日本より国民負担率は高いが、経済成長率も高い。このことは、20数年前に言われた、国民負担率が小さいほど、国民は意欲を持って働き、経済成長率が高くなるという仮説は崩れたのではないだろうか。

 20数年前は、確かに日本の経済成長率は高かったし、同時に国民負担率も低かった。しかし現在では、スウェーデン病の仮説は当てはまらず、国民は富を得るという経済原則のみで働くのではないと考える。スウェーデンを例にすると、社会のために働くといった意識をもつことは十分に可能である

 小泉首相以降、国民の所得格差が大きくなり、一方で驚くべき高額所得者がおり、他方で働いてもワーキングプアーがいるといった状態になってきた。そのため、働く意欲を高めるために弱くした累進制を再度見直し、国際競争率を高めるために低くした法人税を再度引き上げ、国民や企業や一緒になり、超高齢社会を支えるために働く意義を見いだしていきたいと願い。

 こうした意見は、一見ユートピア思想であり、実現が難しいと思えるかもしれないが、国民が日本という国に誇りをもつことは、決して「日の丸」を見ることで可能になることはなく、社会のために企業も国民も働いているといった姿勢こそが、国民が日本を誇れることになると思う。