それから6年経った2001年に、再度障害保健福祉部から、「障害者ケアマネジメント体制整備検討委員会」の委員長を引き受けてほしいという依頼があった。そこでは、三障害を合わせた、ケアマネジメントのガイドラインを作りたいということであった。
その時に印象は、ここまで来るのに、数年間遠回りしてしまったとというのが実感であった。そこでの評価は、分科会で検討していくことは否定しないが、常に分科会の内容をまとめ、障害者全体に対するケアマネジメントをどのようにしていくのかを統括していく責任主体がなかったのではないということであり、怒りのようなものがこみあげてきたことを覚えている。ただ、当時の専門官の坂本洋一さん(現、和洋女子大学教授)に説得され、その重要性を分かっていたため、委員長をお引き受けすることにした。
この委員会には、以前に参加した1996年の委員会にはなかった雰囲気があった。それは身体・知的・精神の三障害の当事者の方が参加されていたため、専門家と衝突する場面も多くみられた。ただ、私にとっては、ここまで発言してくれる当事者の意見を出来る限り大切にして、まとめていったつもりである。同時に、これこそが、本来に委員会の仕組みであると実感すると共に、新鮮かつ面白いものがあった。
ただ一点、私と身体障害者の団体の方とで、意見の相違がみられた。それは、ケアマネジメントが必要かどうかといった根本問題に関わることであった。彼らは、当然ケアマネジメント不要論であった。そのため、委員会とは別に、インフォーマルに彼らと会って、話し合いをすることが多かった。この機会は、私にとっては、とても良い機会になったと思っている。
ある話し合いの時に、ある当事者の言葉が、今でも心のどこかにとげが刺さった状態である。それは「何が困っているかのニーズは、専門家より、本人が最もよく知っている」という言葉であった。このことは学問的には、利用者のフェルト・ニーズ、専門家のノーマティブ・ニーズ、両者を一致させるリアル・ニーズという概念で、ブラッドショーの考え方をもとに整理してはいたが、現実の専門家に利用者と一緒になりリアル・ニーズを作り上げていく人材がどの程度いるかを考えた時に、何も反応できなかったことを鮮明に覚えている。一方、現実には、主として身体障害者を対象とした場合には、自らがケアプラン費用をもらって、自らがサービスを手配するダイレクト・ペイメントの制度が海外で広がっていることも承知していた。
そうした中で、私はケアマネジメントを以下のように説明し、理解を求めた。ケアマネジメントは専門家と利用者の共同作業を実施していくものであり、ある利用者には、専門家が1%しか関与しない場合もあれば、別の利用者には、専門家が99%関与する場合がある。このことについて、ケアマネジメントは決して専門家が決めるものではないことを強調したが、理解してもらったのかどうかは分からないが、ソーシャルワークの視点が取り入れられたという思いであった。ソーシャルワーカーは。障害者のアンチ専門職の視点を見直してもらう人材になれるのではないかと思った。
こうして、「障害者ケアガイドライン」(2002年、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部)を作成することができた。
ここで、一応、三障害に共通するケアマネジメントの方向を示すことができたと思っている。ただ、その後、支援費から障害者自立支援法に至る中で、ここで述べたような仕組みを上手く作れていないのが現状である。そのため、多くの障害者の関係者が、必要な人にケアマネジメントが利用できる仕組みを作ることを訴えており、今回の障害者自立支援法の改正に期待をかけている。同時に、障害者から教えてもらった、「ニーズは利用者が最も知っている」という視点を大切に、ケアマネジメントを導入していただきたいと思う。
その時に印象は、ここまで来るのに、数年間遠回りしてしまったとというのが実感であった。そこでの評価は、分科会で検討していくことは否定しないが、常に分科会の内容をまとめ、障害者全体に対するケアマネジメントをどのようにしていくのかを統括していく責任主体がなかったのではないということであり、怒りのようなものがこみあげてきたことを覚えている。ただ、当時の専門官の坂本洋一さん(現、和洋女子大学教授)に説得され、その重要性を分かっていたため、委員長をお引き受けすることにした。
この委員会には、以前に参加した1996年の委員会にはなかった雰囲気があった。それは身体・知的・精神の三障害の当事者の方が参加されていたため、専門家と衝突する場面も多くみられた。ただ、私にとっては、ここまで発言してくれる当事者の意見を出来る限り大切にして、まとめていったつもりである。同時に、これこそが、本来に委員会の仕組みであると実感すると共に、新鮮かつ面白いものがあった。
ただ一点、私と身体障害者の団体の方とで、意見の相違がみられた。それは、ケアマネジメントが必要かどうかといった根本問題に関わることであった。彼らは、当然ケアマネジメント不要論であった。そのため、委員会とは別に、インフォーマルに彼らと会って、話し合いをすることが多かった。この機会は、私にとっては、とても良い機会になったと思っている。
ある話し合いの時に、ある当事者の言葉が、今でも心のどこかにとげが刺さった状態である。それは「何が困っているかのニーズは、専門家より、本人が最もよく知っている」という言葉であった。このことは学問的には、利用者のフェルト・ニーズ、専門家のノーマティブ・ニーズ、両者を一致させるリアル・ニーズという概念で、ブラッドショーの考え方をもとに整理してはいたが、現実の専門家に利用者と一緒になりリアル・ニーズを作り上げていく人材がどの程度いるかを考えた時に、何も反応できなかったことを鮮明に覚えている。一方、現実には、主として身体障害者を対象とした場合には、自らがケアプラン費用をもらって、自らがサービスを手配するダイレクト・ペイメントの制度が海外で広がっていることも承知していた。
そうした中で、私はケアマネジメントを以下のように説明し、理解を求めた。ケアマネジメントは専門家と利用者の共同作業を実施していくものであり、ある利用者には、専門家が1%しか関与しない場合もあれば、別の利用者には、専門家が99%関与する場合がある。このことについて、ケアマネジメントは決して専門家が決めるものではないことを強調したが、理解してもらったのかどうかは分からないが、ソーシャルワークの視点が取り入れられたという思いであった。ソーシャルワーカーは。障害者のアンチ専門職の視点を見直してもらう人材になれるのではないかと思った。
こうして、「障害者ケアガイドライン」(2002年、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部)を作成することができた。
ここで、一応、三障害に共通するケアマネジメントの方向を示すことができたと思っている。ただ、その後、支援費から障害者自立支援法に至る中で、ここで述べたような仕組みを上手く作れていないのが現状である。そのため、多くの障害者の関係者が、必要な人にケアマネジメントが利用できる仕組みを作ることを訴えており、今回の障害者自立支援法の改正に期待をかけている。同時に、障害者から教えてもらった、「ニーズは利用者が最も知っている」という視点を大切に、ケアマネジメントを導入していただきたいと思う。