ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

韓国での社会福祉研究者の評価

2008年05月02日 | 社会福祉士
 日本同様に、韓国でも社会福祉系の学部が学科が最近まで急増してきたが、最近はその増加も弱まってきたという。日本ほどの落ち込みではないが、地方の大学では定員割れしているところもあるという。

 さらに、韓国の場合は、福祉系大学の教員になるのは難関である。まずは、博士の学位をもっていることが最低条件で、日本の学術振興会といったところが実施している教員採用に自ら登録することになり、学位がなければ登録できない。さらに、そこで、論文のランクづけがあり、その点数で評価が決まることになっている。その際に、日本の論文は評価外となっており、点数がカウントされないという。そのため、日本に留学して学位を取った人は、アメリカやイギリスで学位を取った人より、はるかに不利な状況にある。同時に、今後は、社会科学や人文科学の場合には、特に日本には留学生はやって来なくなるだろう。

 この韓国の評価は、自然科学の発想であり、英文ジャーナルしか評価されず、さらにそのジャーナルにもそれぞれランクがあろといった考え方である。当然、総説だけでなく、著書でさえも、ほとんど評価されないことになる。

 こうしたことは日本の自然科学ではもっともな評価方法であり、韓国は学問全体が自然科学の影響を強く受けていることになる。

 社会福祉の研究者の研究全体をいかに評価するのかは、大変難しい。例えば、日本でも博士の学位をもっていることが一定の研究者の条件になっているが、これとても果たして正しい基準であろうか。学位がなくても、素晴らしい業績を上げておられる研究者もおれば、学位はもっているが、さほで研究成果の評価できない方もおられる。また、査読付き論文かどうかが、良い論文かどうかの基準にされているが、査読付きでない論文でも、良い論文は山とある。但し、これらは、極端な例を示したに過ぎず、研究者の条件として、博士の学位や査読付き論文は重要であるが、そこには柔軟な姿勢が大切である。

 また、社会福祉の研究者も評価を受けることは重要で、研究者間での競争が不可欠で大切である。その際の、評価の基準については、もう一度原点に返って、考えてみる必要があるように思える。なぜなら、我々の研究は、人々のwell-beingを実現するためであり、それに向けて実践や政策にどの程度貢献したかが基準でなければならないからである。

 韓国でも、社会科学や人文科学が自然科学と同じような評価でよいとは考えられない。日本では、日本学術会議が5年程前の第19期に、社会科学や人文科学の研究の評価が自然科学と異なることを整理した対外報告書を出しており、これを韓国でも是非参考にして、制度変更をして欲しいものである。