ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

教科書づくり雑感(1)

2009年09月07日 | 社会福祉士
 私は岡村重夫先生が大阪市立大学社会福祉学講座の伝統にして創り上げてきたことを、間違いなく一つ崩してしまったことがある。それは、「教科書は研究者が死ぬ前に書くものである」ということであり、「巷で横行している教科書づくりにタッチするな」という掟である。

 そのため、岡村重夫先生の研究業績を見られれば分かるが、教科書の類の業績は一切ない。先生を継がれた柴田善守先生は、教科書らしいものはないとは言えないが、最近の教科書の特徴である、一章づつ、酷い場合はさらに一節づつ分担執筆するのではなく、単著として書かれた物である。

 こうした教科書づくりが急激に活発化したのは、社会福祉士と介護福祉士の国家資格が導入されてから以降である。この時点で、私は岡村重夫先生が作られた伝統や掟を破ったことになる。そのため、国家資格が出来た20年前にも、教科書を書くことを依頼された時には、相当躊躇した。

 最近は、岡村重夫先生の忠告も忘れがちであるが、社会福祉士や介護福祉士という国家資格がつくられ、その人材に最低限教育しなければならない水準が付せられている以上、誰かがその仕事を担っていかなければならないと思っている。その故、こうした教科書等の業績は、研究業績というよりは教育業績に近いと考えている。

 そのため、監修・編集に携わる場合にも、執筆する場合でも、私個人としては、一般化しつつある新たな知見をできる限り広げていくことに努力している。また、少しでも岡村先生の掟を守るため、編集等に携わる場合には、若手の研究者には依頼せず、その領域で一定の研究枠組をもって、深く研究している人を人選するように努力している。

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