ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

ホームヘルパー制度はどこへ行くのか

2008年05月12日 | ケアや介護
 朝日新聞が5月10日の朝刊で「去るヘルパー 縮む介護」というテーマで、ヘルパーの離職問題や人材難が取り上げられていた。確かに、離職には、ヘルパーの自己効力感(社会に役立っているという気持ち)を高めるために、上司によるスーパービジョンや研修も必要であるが、まずは一定の給与が支払われることが根本にあると考える。

 そのため、記者から電話でコメントが求められ、以下のような記事となった。

 「痛み伴う覚悟を」

 「事業所が廃業し、介護職の養成校が閉校にまで追い込まれていることは、介護保険制度が危険水域に入ったということだ。介護報酬が改善されず介護職の担い手不足がこのまま続けば、こうした状況はさらに拡大し、国民に不安をしいることになる。最後に困るのは必要なサービスが受けられない利用者だ。だが、介護報酬のアップは容易ではない。多くの調査で介護保険サービスへの利用者の満足度が高い ことを考えると、相応のサービスを受けるには痛みを伴う覚悟が必要という発想が必要なのかもしれない。国はどこまでのサービスを介護保険で保障するのか提示する必要があるが、従来の被保険者に加えて国民全体がどの程度の負担をし、どこまでサービスを求めるのかが問われている。」

 これについて、国民全体が相応のサービスを受けるには痛みを伴う覚悟が必要という発想が必要なのかもしれないということであるが、少し弱腰のコメントをした。後期高齢者医療制度でも保険料が高くなり、さらに追い打ちをかけて、介護保険の保険料も高くするという高齢者の怒りがちらつき、こうしたコメントになった。

 このコメントの気持ちの中味を、ブログで追加して説明しておきたい。

 4月22日と23日に「在宅サービス事業者は一致団結してこの難局に臨むべき」というテーマでブログに書いたが、サービス事業者、利用者団体、学識者で組織された介護保険制度研究会が、サービス事業者の実態調査を実施し、その結果をもとに、ヘルパーの介護報酬を大幅にアップしてくれるよう舛添厚生労働大臣に要望書を提出したが、その際での悶々とした気持ちが今も頭の中に残っている。

 基本的には、介護報酬を上げれば、高齢者の保険料負担が高くなるため、被保険者の方に対しては心苦しい。さりとて、民主党が現在提案している、特例措置として、租税を使って介護職の給与を一定期間二万円程度上げることとする「福祉人材確保法案」や、私も署名させて頂いた「高齢社会を良くする女性の会」の一時的に租税で給与を月三万円程上げる提案には大賛成ではあるが、実現するのには極めて難しいと思っている。

 正直なところ、後期高齢者医療に加えて高齢者への負担を強いることは難しいため、コメントでの「従来の被保険者に加えて国民全体が」負担する仕組みを意図しており、高齢者の孫世代にも応分の負担をしてもらい、さらには被保険者でも高額所得者や、さらには企業も可能な限り負担していくことが求められているのではないかという意味である。

 私は、ある程度、経済諮問会議での日本の方向に賛同してきたが、いき過ぎる結果となっているのではないといった思いになっている。今の気持ちは、「小さくもない、大きくもない政府」を目指していくべきではないのかと思っている。超高齢社会での舵をとっていくことは大変も難しいであろうが、もう一度日本が、人々が安心して生活できる「セフテイ・ネット社会」に戻していく時期にあるのではないのか。

 そのため、今後数回にわたり、こうした私の思いに関連する内容を取り上げてみたいと思っている。