ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

連載「アメリカの医療の光と影」から学ぶ(続き)

2008年05月15日 | ケアや介護
 李啓充先生の連載「アメリカの医療の光と影」の中で、おもしろいことがいくつもあり、ここでは、昨日に続けて、2点ほど、興味のある話を間接的に皆さんに伝えておきたい。

 1.昨日も書いた国民負担率は国民の所得の内で租税や保険料で払う比率のことであるが、海外では、このような用語は使われていないという。(第121回)

 アメリカで住む李先生は、国民負担率を日本では英語で「national burden rate」としているが、この和製英語をアメリカ人に尋ねると、怪訝な顔をするという。あえて尋ねれば、「国の中で障害者や失業者など国の負担になる人の割合ではないのか?」と答えたという。

 日本では、社会保障の方向を考える時には、必ず国民負担率がスタートになるが、これが世界の言語になっていないことがおもしろいだけでなく、いかに国民のセーフティ・ネットを作るのかの社会保障の原点に立って、日本の今後の超高齢社会のあり方を考えたいと思った。

 2.現在、介護保険で被保険者年齢を孫の世代まで年齢を下げることに対して、これは事業主と被保険者が保険料を折半することになることから、経営者側が負担が増加することに対して反対が強いとされている。

 このことは、企業にとっては、グローバリゼーションのもと、厳しい競争の中で経営していることは理解できるが、小泉前首相の政権が発足して以降、日本の企業はGDPに占める企業の純利益の割合が、-0.09%から5.53%に回復している。(アメリカにいながら、こうしたデータを入手しているのが素晴らしい)また、小泉政権後、人件費比率も徐々に低くなっている。(第126回)

 このようなことを考えると、もう少し、企業側が介護保険を含めて社会保障の保険料負担をしてくれても良いのではないかと、李先生の意見に賛同するものである。