心象風景 絵描きブログ

美術のこと、旅のこと、いろいろを心象風景を描くようにつづる絵描きの雑記。

ジャック・カロの銅版画

2019-07-05 23:02:24 | 美術

坂本先生から、カロの版画についてお話を伺うことが何度かあった。

鋭い観察眼でものの形をとらえ、超絶技巧で、たくさんの作品を残している。

人物はわずか 2センチ。実物の版画を見て「こんなに小さかったのか」と驚いた。

それまでの銅版画はエングレービングという彫具は、詳細な描写には欠かせないとされていた。

カロは、その使い勝手に満足せず、エショップという針状の彫具を考えた。

それによって素早く繊細な描写による独自の表現をした。

わずかな線で人物の動きや羽飾りの揺れを感じさせている。

生涯の作品数は1400点とも。素早い描写力がそれを可能にしたのだろう。

クロッキーのような軽やかさは大きな魅力。このような表現をしたいと、強く思う。