心象風景 絵描きブログ

美術のこと、旅のこと、いろいろを心象風景を描くようにつづる絵描きの雑記。

「猫の手研究所」 通信 76

2023-03-04 23:14:18 | 記憶のかけら

無宇 納南 夜通 と一緒に暮らすようになって半年過ぎた。

近頃は夜明けが早くなって、起こされることが多い。

遅くまで起きていても猫時間は容赦ない。

もっと寝ていたいけれど、交互に寝床にやっ来る。

髪を噛んだりお腹の家に乗ったりする。

足指を噛んで 早く起きろと責め立てる。

目を覚ますと大きな猫の顔がいっぱい目の前にある。

お湯を沸かそうとすると、上から頭を触る。

びっくりするのを喜んでいるようだ。

まさしく 猫の手(だらけ)庵。さぁ、頑張って人間するか。


「猫の手研究所」 通信 75

2023-01-20 23:08:08 | 記憶のかけら

寒くなるとストーブ近くにみんなが集まる。

炬燵にみかん とばかりに ストーブの近くで伊予柑を剥いた。

ゴロゴロしていた猫達、いっせいに逃げ出した。

遠くからこちらの様子を見ている。

あ、猫ってみかんは苦手だった ?

申し訳ない。がしかし、剥きかけたのを食べないのは果物に失礼。

ということで、背中を向けて美味しく美味しく食べた。

そういえば、コーヒーも嫌いみたい。焦げた匂いが苦手か。

共生してるとはいえ、好みや習慣は違う。

気づかなかったのは申し訳ないが、許していただきたい。

食べ終わってまったりしていると、早速膝の上に来てくれた。

はー、しあわせ。今度からはこっそり食べるね。


「猫の手研究所」 通信74

2023-01-09 23:23:08 | 記憶のかけら

当研究所も静かな年明けを迎えた。

暮れにはあの少年たちとクリスマス会をした。

3つの謎を解明してそこそこ納得した彼らは、今は静か。

謎解きの楽しさを知るのと同時に、人々の暮らしを覗く傲慢さも感じたらしい。

若くしてそれを知るとはなんと賢い。羨むべき成長。

彼らはもっと広い視野で自分たちにできることを探している。

その一助になったのだとしたら光栄だ。

猫たちは日に日に可愛くいたずら上手に育っている。

うわーっ と驚いたり、にやつくほどチャーミングだったり・・・

こんな小さな箱を選んで入ってみせる愛らしさ。

子猫が育つことを考えると、箱だけじゃなく、この部屋も手狭になる。

先々を考えずに暮らしてきたこの生き方は気に入っている。

それ以上に、猫たちの命を預かる責任感も出た。

猫たちに人としての生き方を教えられたのか。

「猫の手研究所」のあり方を考える時が来た。


「猫の手研究所」 通信 73

2022-12-14 21:39:08 | 記憶のかけら

目覚めると、凝視されてる。

掛け布団の上、胸のあたりに何かがある。猫のおもちゃだ。

毎朝、陽が差す頃になると猫がおもちゃを運んでくる。

さあ 遊べ と言わんばかりにこちらを見る。目を逸らすことはない。

目覚めたのを確認すると、掌をそっと触る。

手のそばにおもちゃの棒がある。

これを振れ ということだ。

まだ眠い。でもこの信頼関係を裏切るなんてできない。

とりあえず、寝そべったまま棒を握る。

どこから現れたのか 3匹が揃っておもちゃを見つめている。

もう 振るしかない。えいっ。

布団の上を猫がドドドッとわたる。毎朝の儀式。


「猫の手研究所」 通信 72

2022-11-01 23:26:03 | 記憶のかけら

夜通が日差しを受けながら昼寝。しっかり丸くなってる。

冷える時間帯が増えて、陽だまりに猫がいることが多くなった。

寒さなんか気にしない元気な子供たちがやってきた。

「今度はおじさんにします」

「やたら通りすがりの人にプレゼントするおじさんがいます」

今回は目立って悪いことはないので、猫なしの取材となった。

きた時と同じように元気に出て行った。

話し声のない部屋になって、猫たちは熟睡してる。

そんなに寝ると、あとが大騒ぎになりそうで心配になる。

そう思いながら、いつの間にかこちらもうとうと。

勢いよく階段を登ってくる足音で目が覚めた。

「これ、貰っちゃいました」満面の笑みの少年。手には小さな植木鉢。