無宇 納南 夜通 と一緒に暮らすようになって半年過ぎた。
近頃は夜明けが早くなって、起こされることが多い。
遅くまで起きていても猫時間は容赦ない。
もっと寝ていたいけれど、交互に寝床にやっ来る。
髪を噛んだりお腹の家に乗ったりする。
足指を噛んで 早く起きろと責め立てる。
目を覚ますと大きな猫の顔がいっぱい目の前にある。
お湯を沸かそうとすると、上から頭を触る。
びっくりするのを喜んでいるようだ。
まさしく 猫の手(だらけ)庵。さぁ、頑張って人間するか。
無宇 納南 夜通 と一緒に暮らすようになって半年過ぎた。
近頃は夜明けが早くなって、起こされることが多い。
遅くまで起きていても猫時間は容赦ない。
もっと寝ていたいけれど、交互に寝床にやっ来る。
髪を噛んだりお腹の家に乗ったりする。
足指を噛んで 早く起きろと責め立てる。
目を覚ますと大きな猫の顔がいっぱい目の前にある。
お湯を沸かそうとすると、上から頭を触る。
びっくりするのを喜んでいるようだ。
まさしく 猫の手(だらけ)庵。さぁ、頑張って人間するか。
寒くなるとストーブ近くにみんなが集まる。
炬燵にみかん とばかりに ストーブの近くで伊予柑を剥いた。
ゴロゴロしていた猫達、いっせいに逃げ出した。
遠くからこちらの様子を見ている。
あ、猫ってみかんは苦手だった ?
申し訳ない。がしかし、剥きかけたのを食べないのは果物に失礼。
ということで、背中を向けて美味しく美味しく食べた。
そういえば、コーヒーも嫌いみたい。焦げた匂いが苦手か。
共生してるとはいえ、好みや習慣は違う。
気づかなかったのは申し訳ないが、許していただきたい。
食べ終わってまったりしていると、早速膝の上に来てくれた。
はー、しあわせ。今度からはこっそり食べるね。
当研究所も静かな年明けを迎えた。
暮れにはあの少年たちとクリスマス会をした。
3つの謎を解明してそこそこ納得した彼らは、今は静か。
謎解きの楽しさを知るのと同時に、人々の暮らしを覗く傲慢さも感じたらしい。
若くしてそれを知るとはなんと賢い。羨むべき成長。
彼らはもっと広い視野で自分たちにできることを探している。
その一助になったのだとしたら光栄だ。
猫たちは日に日に可愛くいたずら上手に育っている。
うわーっ と驚いたり、にやつくほどチャーミングだったり・・・
こんな小さな箱を選んで入ってみせる愛らしさ。
子猫が育つことを考えると、箱だけじゃなく、この部屋も手狭になる。
先々を考えずに暮らしてきたこの生き方は気に入っている。
それ以上に、猫たちの命を預かる責任感も出た。
猫たちに人としての生き方を教えられたのか。
「猫の手研究所」のあり方を考える時が来た。
目覚めると、凝視されてる。
掛け布団の上、胸のあたりに何かがある。猫のおもちゃだ。
毎朝、陽が差す頃になると猫がおもちゃを運んでくる。
さあ 遊べ と言わんばかりにこちらを見る。目を逸らすことはない。
目覚めたのを確認すると、掌をそっと触る。
手のそばにおもちゃの棒がある。
これを振れ ということだ。
まだ眠い。でもこの信頼関係を裏切るなんてできない。
とりあえず、寝そべったまま棒を握る。
どこから現れたのか 3匹が揃っておもちゃを見つめている。
もう 振るしかない。えいっ。
布団の上を猫がドドドッとわたる。毎朝の儀式。
夜通が日差しを受けながら昼寝。しっかり丸くなってる。
冷える時間帯が増えて、陽だまりに猫がいることが多くなった。
寒さなんか気にしない元気な子供たちがやってきた。
「今度はおじさんにします」
「やたら通りすがりの人にプレゼントするおじさんがいます」
今回は目立って悪いことはないので、猫なしの取材となった。
きた時と同じように元気に出て行った。
話し声のない部屋になって、猫たちは熟睡してる。
そんなに寝ると、あとが大騒ぎになりそうで心配になる。
そう思いながら、いつの間にかこちらもうとうと。
勢いよく階段を登ってくる足音で目が覚めた。
「これ、貰っちゃいました」満面の笑みの少年。手には小さな植木鉢。