心象風景 絵描きブログ

美術のこと、旅のこと、いろいろを心象風景を描くようにつづる絵描きの雑記。

足元を見られてる

2021-06-30 23:02:15 | 日記

歩道の敷石から ほんの10センチ上に、手作りっぽいレンガ。

しゃがみこんでよく見ると、人がいる。ふたりも。

子供か ? 老人か ?  どちらともとれるけど、手を繋いでる。

ここに はめ込むことを想定して 誰かが作ったようだ。

焼成すると縮むことは聞いていただろう。

でも、予想以上に縮んだね。

これを作った人は、ここを通るときは必ず見るね。

そして、周りの人の反応も見てるだろうね。

ごめん。あまりに低すぎて、よく見えなかった。

でも もう気づいたから大丈夫。これからはちゃんと見るよ。

だってさ、こちらの足元はいつも見られてるもんね。

手を繋いで一生懸命歩いているふたり、いいね。足取りが軽くなる。


「猫の手研究所」 通信 40

2021-06-29 23:27:37 | 記憶のかけら

休憩をとりながら一般道をくねくね走った。

目的地の町に入り、緊張感で胃が痛くなる。

初対面の人にあれこれ尋ねることを思うと、後悔しかない。

なんで こんな厄介なことを引き受けてしまったのか。

とはいえ、一応社会人として生き続けるには前に進むしか術はない。

途中の「道の駅」で、新鮮な刺身を買って、少し元気になった。

「道の駅」は駐車場でゆっくりできるので助かる。

猫殿もあちこち嗅ぎ回りながら楽しそうにしている。

お気に入りのおやつをおとりに呼び寄せた。

両手で抱き上げると、少しだけ抵抗したが、すぐ諦めた。

両手で猫殿を抱いていると、気持ちが落ち着いてくる。

猫殿もこちらの不安な気持ちを察して我慢してくれている。あったかい。

気持ちを切り替えて、いよいよ目的地へと向かった。

車道は広くはないけれど、どの家も手入れの行き届いた植え込み。

落ち着いた住宅街といったところか。

次の角を曲がれば、あの住所に辿り着くはずだ。ドキドキは最高潮。


「垂れこめる」雲

2021-06-28 23:57:28 | 日記

これが「垂れこめる」ってことか と初めて思った。

漢字を当てれば「垂れ籠める」としたほうがビッタリ。

全てが雲の中に覆い籠められてしまう閉塞感。

ビルが 街が 光を失っていく過程を見ている気分。

日食や月食より迫力ある。

この大きさと色から、重い 厚い 強い存在を思う。

経験で いずれこの雲は流れ去ると知っているからまだいい。

でも、経験で全てを理解していると思うことがいいとは限らない。

いつ どんな出来事が我々を覆い尽くすか わからない。

謙虚でいよう。真摯でいよう。感受性は磨こう。

い 厚い 強い存在を思う。


最高の休憩場所

2021-06-27 23:59:53 | 日記

雨の隙間を見つけて 涼を求めて寺の境内へ。

均整の取れた鐘楼の向こうに明るい空が見える。

こちらは木立に包まれた木陰で気持ちの良い風を感じている。

鐘は時を知らせるものだった ? 今は時間を意識しないでいい。

ぼんやり眺めていると、楼の足元で何かが動いた。

猫さんだ。あ、君も涼んでた ?

ちょっと邪魔しちゃったかな。こちらはますます楽しいけどね。

すっきりした気分で帰路についた。

涼んでいたのは我々だけじゃなかったと 気づいた。

足の蚊に喰われた部分がどんどん膨らんできた。

仕方ないね。施し施し。


溢れる気配

2021-06-26 23:35:17 | 日記

繁みの陰に 突然 水盤 ?   足が止まった。

大小の清潔な器に たっぷりの新しい水。

水は澄みきっていて、落ち葉ひとつも浮いていない。

猫だね。それもいっぱいの猫だね。

朝、この器を並べて水を注ぐ人の姿が目に浮かぶ。

人の姿が見えなくなると、最初の猫が登場。

その猫と入れ替わりに次の猫。

何時間か、そんな光景が続くに違いない。

昼、また誰かが新しい水の入った器を置いていく。

一日じゅう、何日も、何年も、そんなことが続く。

平和で幸せな妄想は果てしなく続く。