祖母の家で使っていた漆器。お祝いの時に使ったのだろう。
真ん中に金蒔絵の亀と松竹梅、外輪に鶴。おめでた感、満載。
祖母の家にある食器は、同じものが何十枚もある。
古いだけに傷ついたり歪んだりしたものも多い。
親戚や客が集まる時は、さぞかし賑やかだったことだろう。
それを仕切っていた女性たちを思う。
何日も前から食事や酒や食器の用意をして、お運び、片付けに忙しかったはず。
漆の食器は後片付けが大変。ぬるい湯でていねいに布ふきして、さらに乾いた布でからぶき。
湿気をとってからでないとしまえない、と聞いた。
重ねる時も紙や布を使って、漆器同士が接触しないようにする。長期保管は木箱。
手入れは確かに気をつかうけど、今、いちばん欲しい食器でもある。
地震を思うと、軽くて割れにくい漆器は理想的と思えるから。