子供達の元気はたいしたもんだ。
こちらの戸惑いなど全く関係なく、どんどん楽しみを見つけてしまう。
「あ、黒猫さんがいた ! 」
その声を合図にドドドッと一斉に走り出す。
広くはない事務所はあっという間に運動会状態。
窓辺でトロトロ昼寝中の無宇が薄目を開けた。
「おおー、なんと賢そうな黒猫さん」「ほんとに」「期待通りね」
小さな黒猫の周りに6人の子供がぐるっと集まってる。
「落ち着いて話そうか、一度みんな座ってみないかい」
冷静を装って、ありったけの椅子を並べた。
「ありがとございます ! 」
全く迷いのない清々しいほどの反応。
子供達は詰めながら椅子に座ってこちらに対峙した。
やっと話を聞いてもらえる。
無宇はまた微睡の中へ戻っていった。